診療報酬請求事務能力認定試験とは

診療報酬請求事務能力認定試験とは、日本医療保険事務協会が実施している医療保険事務に関する検定試験です。分野は「医科」と「歯科」に分かれています。厚生労働省後援のため、医療保険事務関連としては最も知名度が高く評価も高い資格です。請求額を正確に計算する力のほか、保険制度や法令に関する知識、専門用語が求められる資格となっており難易度が高い資格となっています。

レセプト(診療報酬明細書)は医療機関の収益に直結するため、算定漏れや誤請求があると返戻・査定につながり、結果として医療機関の経営面にも影響します。そのため現場では「正確に請求する力」「ルールを理解したうえで判断する力」「短時間で処理する力」が求められ、この試験はそれらを総合的に評価する試験だと言えます。

この診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務に関連する資格の一つですが医療事務に関する資格は他にもたくさんあります。資格によって難易度や評価、試験形式(会場・在宅・CBTなど)や学べる領域が少しずつ異なります。今回はそれらの資格について診療報酬請求事務能力認定試験との違いも交えながら紹介していきたいと思います。

他の資格との違いは?

医療事務の資格として診療報酬請求事務能力認定試験の他に以下のようなものが挙げられます。

・メディカルクラーク
・医療事務認定実務者試験
・医療事務管理士技能認定試験

これらの資格についてそれぞれ説明していきたいと思います。なお、医療事務関連資格は「窓口・会計・接遇を含む総合型」「レセプト作成・点検に強い請求特化型」「医科/歯科/調剤など領域特化型」に大きく分けられます。自分が目指したい職場(病院・クリニック・歯科・調剤薬局など)や、将来的に担当したい業務(受付中心か、レセプト中心か)に合わせて選ぶと、資格取得後に活かしやすくなります。

メディカルクラーク

概要

この資格は受験者数が最も多く試験の規模が最大となっています。診療報酬請求事務能力認定試験は公益財団法人日本医療保険事務協会が認定する資格でしたが、メディカルクラークは一般財団法人日本医療教育財団が認定する資格となっています。診療報酬請求事務能力認定試験ほどの認知度・評価はありませんがメディカルクラークは40年以上の歴史があり、医療事務資格の中でスタンダードな資格の1つとなっています。
また、医療事務の求人では「医療事務資格保有者歓迎」と書かれていることも多く、メディカルクラークは“入口の資格”として選ばれやすい傾向があります。基礎から学べるため、未経験から医療事務を目指す際の足がかりとしても取り組みやすいでしょう。

試験内容

カルテとレセプトを確認しながら誤りを指摘するような診療報酬請求事務の関する知識が求められます。その他にも医療機関の窓口業務において重要とされる患者さんへの対応・院内のコミュニケーション能力についても問われます。
つまり、レセプトの知識だけでなく、受付・会計・接遇など“現場で必要な幅広い力”を評価しやすいのが特徴です。

合格率

診療報酬請求事務能力認定試験の合格率は30%前後と医療事務資格の中で最も難易度の高い試験となっています。一方でメディカルクラークの合格率は、50~60%程度です。
合格率が高めな分、比較的取り組みやすい資格と言えますが、逆に「レセプトに強い即戦力」という点では、より難関の資格に比べ評価が分かれることもあります。

受験方法

診療報酬請求事務能力認定試験と異なりメディカルクラークは、自宅で受験して試験翌日までに答案用紙を日本医療教育財団に郵送で返送する在宅試験となっています。
在宅で受けられることで受験ハードルは下がりますが、時間配分を自己管理する必要がある点には注意が必要です。

このように異なる点はいくつかありますがどちらの資格も医療事務資格の中で人気の資格の一つとなっています。目的としては、メディカルクラークが“総合的な医療事務”に寄りやすいのに対し、診療報酬請求事務能力認定試験は“レセプト実務の精度”を強く示しやすいと言えるでしょう。

医療事務認定実務者試験

概要

この資格は医療事務の経験がないという方におすすめの資格となっています。初学者でもチャレンジしやすい代表的な資格です。全国医療福祉教育協会が主催しており他の資格と比べると比較的易しい試験となっています。そのため最初にこの試験を受けてからより難易度の高い診療報酬請求事務能力認定試験を受験する方も多いようです。
基礎を一通り学べるため、医療事務の用語・制度・流れに慣れたい方や、いきなり難関試験に挑戦するのが不安な方に向いていると言えます。

試験内容

接遇とマナーに関する知識、医療機関の各種制度に関する知識、医療事務業務に関する知識、診療報酬請求に関する知識が求められます。実技試験としては診療報酬明細書作成する能力も問われます。
ただし難関資格に比べると、実技の難易度や出題の細かさは比較的抑えられていることが多く、まずは“土台作り”として活用しやすい試験です。

合格率

合格率としては60%から80%程度となっています。
合格率が高い分、学習計画が立てやすく、短期間でも達成感を得やすいのがメリットです。

受験方法

対象の通学受講生は学校、スクールの教室等で受験することも可能ですが基本的には在宅受験となっています。
在宅中心なので、仕事や家事の都合で会場に行きにくい方でも挑戦しやすいでしょう。

療事務認定実務者は、医療事務に関する基礎的な知識が身についていることを証明できる資格です。難易度も低く手のつけやすい資格と言えるのではないでしょうか。他の資格を受ける前の第一ステップとしてもピッタリの資格であると言えます。

医療事務管理士技能認定試験

概要

この試験は技能認定振興協会(JSMA)が実施している日本で初めての医療事務の資格です。メディカルクラークと同様に長い歴史があり、認知度も高い資格となっています。
診療報酬請求事務能力認定試験と同様に医療事務管理士認定試験は医科・歯科の2つの試験があります。
歴史ある資格で、医科・歯科の両方がある点は、将来的に働く領域の幅を広げたい方にとって魅力になりやすいです。

試験内容

医療保険制度・公費負担医療制度などの法規についての知識や医療保険制度などの保険請求事務についての知識、各臓器の組織・構造などの医学一般についての知識が問われます。その他にもレセプ作成などの実技試験もあります。
医療事務の基礎から請求実務まで幅広く問われるため、学習する範囲は広めです。レセプトの基礎力を身につけたい方にも向いています。

合格率

50%程度となっていて医療事務の資格の中でも平均的な合格率の資格となっています。
難しすぎず易しすぎない中間的な位置づけで、学習の成果を形にしやすい試験と言えます。

受験方法

会場試験の他、決まった日にちに家で受験する在宅試験と好きな時に好きな場所で受験できるインターネット試験があります。特にインターネット試験は忙しい方にぴったりな受験方法であると言えます。
受験方法が複数あるのは継続学習しやすいポイントで、予定に合わせて受験計画を組みやすいでしょう。

この試験は日本で初めて医療事務としての能力を保証する資格で歴史ある資格です。インターネット受験もでき受験資格も必要ないためチャレンジしやすい資格なのではないでしょうか。

関連資格10個

医療事務分野は「医科」「歯科」「調剤」「介護」「診療情報」など領域が広く、職場によって求められる知識が変わります。ここでは、診療報酬請求事務能力認定試験とあわせて検討されやすい関連資格を10個まとめます。目的別に選ぶことで、学習が無駄になりにくく、就職・転職でもアピールしやすくなります。

1. 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
2. 医療事務認定実務者試験
3. 医療事務管理士技能認定試験
4. 医科医療事務管理士(医科分野に強い資格として選ばれやすい)
5. 歯科助手資格(歯科領域で受付・補助業務に関わりたい方向け)
6. 調剤薬局事務資格(調剤報酬・薬局の会計処理に関心がある方向け)
7. 診療情報管理士(診療情報・DPC・統計などに関わる専門職寄りの資格)
8. 医療秘書技能検定(医師のサポートや文書・秘書業務に強い)
9. 介護事務管理士(介護保険請求の理解を深めたい方向け)
10. 登録販売者(医薬品販売の知識として、医療・薬関連の理解を広げたい方向け)

 

ポイント

今回は医療事務の資格についていくつか紹介しました。診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務の資格の中で最も難しい資格ですが評価はとても高い資格となっています。しかし医療事務の資格には他にもたくさんあります。難易度や受験方法などを考えながら自分に合った資格を目指してみてはいかがでしょうか。
まずは取り組みやすい資格で基礎を固め、その後に診療報酬請求事務能力認定試験でレセプト実務力を証明する、というステップを選ぶ方も多いです。逆に、最短で高評価の資格を狙いたい方は、最初から診療報酬請求事務能力認定試験に集中して学習し、過去問演習と時間配分対策を徹底するのが近道になります。