社労士はつらい仕事?

社労士とは社会保険労務士の略称で、社会保険労務士法に基づいた国家資格です。
企業経営に必要な要素「人・モノ・お金」の人に関するエキスパートです。労働や社会保険に関する法律と人事労務管理を専門とします。
独立開業もできることもあり、学生、主婦、定年退職後の方など幅広く人気の資格です。

資格取得にはトータル1000時間の学習時間が必要とされています。その上、試験合格率も10%未満と低く、合格まで非常につらい道のりとなります。
しかし、試験勉強だけでなく、合格後もつらい道のりが待っているという声もあります。

果たして、努力をして社労士になっても、社労士として働くのは本当につらいのでしょうか?

社労士にはいくつかの働き方があります。①独立して開業社労士として働く。②企業や社労士事務所で勤務社労士として働く。というのが代表的な2つです。

それぞれの仕事内容や、特徴などからつらいと言われている理由考えてみましょう。

開業社労士はつらい?

試験合格後、社労士事務所の経験を経て独立する人もいれば、未経験のまま独立する人もいます。

開業社労士がつらいと言われているのは、顧客獲得が難しいことです。数名の中小企業では、社労士の必要性を感じず、経営者が労務管理をしている場合や、他の士業(主に税理士)の紹介で、すでに顧問社労士がいるケースがほとんどです。
士業の交流会に積極的に参加し、横の繋がりを探したり、生命保険会社や地域の会館などで小さなセミナーを開き、集客をするなど、地道な営業活動が必要なことがつらいと言えるところです。

しかし、一度、何かのきっかけが掴めると、紹介が続き、複数顧客の契約に至るケースもあります。
そうはいっても、その契約の中には、方針が合わない経営者が、便利に都合よく使いたいという場合もあるので、本当に自分がやりたい仕事であるのか、合法的な労務管理をしている会社であるかなどの精査が必要です。ここを怠ると、最悪の場合、社労士法に抵触し、自身の資格を失う場合もあります。
そういった見極めをしながら、顧客獲得活動を行わなければならないのは、社労士がつらいと言われる一つでしょう。

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出典:出版社HP

勤務社労士はつらい?

社労士業界は忙しい世界です。忙しさについていけず、辞めていく人が多いのが実情です。

開業社労士の場合は、自分の受託できる範囲で仕事を組むことができますが、社労士事務所や企業内社労士ではそうはいきません。
絶え間ない手続きや給与計算が次から次へと発生します。しかし、時間や処理する人の数に限りがあるので、必然的に残業や休日出勤が発生してしまいます。また、専門性や経験が見込まれて採用されるため、細かく上司から指導を受ける機会はあまりありません。そして、正確な作業が要求されます。手続きや給与が誤ると、顧客からも上司からも厳しい叱責を受けます。

教えを乞うことがあまりできず、厳しい上司も多く、正確さを求められる仕事であるため、つらいと言われるのでしょう。

しかし、自分の目標を見据え、最低○年は頑張るという意気込みで臨むと、独立開業社労士としての道も開けます。
実務を必要レベルまで身につけるのは最低2年必要と言われています。

またそのように実務を身につけることがどうしてもつらいという人には、試験合格後、全国社労士連合会が行う事務指定講習(有料)を受講することにより、実務全般を身に付けることができます。この講習を受講すれば、社労士の登録の要件である実務経験2年とみなされるため、受講後はすぐに社労士として、登録が可能になります。

仕事内容はつらい?

社労士には独占業務があります。1号業務・2号業務と言われているものです。

1号業務は事業主や労働者が提出すべき書類の提出代行業務。2号業務は事業主や労働者からの委託を受けて、行政機関等への書類の提出、調査および陳述の代理をする事務代理です。そして3号業務は労務管理や社会保険法令にまつわるコンサルティング業務となります。3号業務は独占業務ではありませんので、社労士でなくても行うことができます。

最近はAIの台頭や企業の電子申請義務化により労務管理・給与管理ソフトも進化し、1・2号業務はなくなるという噂もあり、社労士の仕事がなくなっていくという説があるのが、つらいと言われる1つです。

では、本当に社労士の仕事内容はつらいのでしょうか。

社労士の業務は多岐に渡ります。法改正が多く、つらいと言う人もいますが、正直なところ、全てを正確に把握するのは困難です。
開業社労士がそれぞれ強みとしている分野が異なるのもその業務の広さによるものです。
労働法、労働者派遣、年金、業種特化(建設業などの複雑な業種)など、自分の興味次第で、自分の得意分野を重点的に掘り下げ、特化させていくことができます。

今の流れでは、働き方改革関連法の導入によるコンサルティング業務や労務監査、コロナ禍における企業買収や合併時における労務デューデリジェンスなどの、新規分野の業務も社労士が中心となっています。

社労士はつらい仕事かのまとめ

つらい試験勉強・つらい営業活動・つらい実務習得など、確かにつらい局面はありますが、社労士として、社会への問題意識は何なのか、自分の強みをどう特化させて行くのかなど、方向性を明確にして歩んでいくことで、時代に沿った、やりがいのある仕事を自ら作りだすことができるのが、社労士の仕事です。

また、社会保険制度を持続し、改善させるという大きな役割も担っています。

今、コロナ禍では、会社制度が整っていなかったことにより、助成金を受け取る権利を得ることもできず、嘆いている中小企業が数多くあるため、今まで以上に、社労士の力が必要とされています。そういった相談等の行政協力の依頼も多くあります。

とてもやりがいのある仕事が数多くありますので、是非、この機会に資格を取得してみてはいかがでしょうか。

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