中小企業診断士(以下、診断士と略する場合もある)とは、試験に合格すると、経済産業省大臣に登録される国家資格です。
経済産業省令において、経営診断または助言を行う者として規定された、経営分野での国家資格は、中小企業診断士のみです。
中小企業に適切な経営の診断及び経営に関する助言を行う、経営コンサルタントです。

中小企業に限らず、経営に関する知識を有しており、日本版MBAなどと言われています。
そして、中小企業と行政機関・金融機関の橋渡しをする、企業経営の適正化において、重要な役割に位置付けられています。
中小企業診断士は、現役の会社員や、退職後のシニア層からも人気の資格です。

中小企業診断士を取得したのちは、開業して、業務を行う人もいれば、企業内診断士として、企業の経営の中枢に近いポジションで活躍する人もいます。

中小企業診断士のお仕事は、資格の取得後、どのように役に立つでしょうか。

学習した内容はどのように役立つ?

中小企業診断士には、他の士業と異なり、独占業務がありません。独占業務を持っている資格ですと、企業より依頼があった場合は、倫理上、無碍に断ることはできないとされています。それゆえ、逆に考えると、独占業務がないので、診断士はそれに縛られずに、さまざまな形で、自由に活動することができます。主な活動は、企業診断やそれに関わる全般的な仕事・本や記事の執筆活動・講演会や診断士や販売士などの資格の講師業です。

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出典:出版社HP

診断士の試験内容は役に立つ?

他の士業は法律に関する勉強を徹底的にしますが、中小企業診断士の試験では、企業経営に必要な法律の知識を学び、実務上、必要となる考え方や知識も同時に学ぶので、試験勉強の知識=(イコール)実務における知識としてすぐに役立ちます。
診断士の試験では多くの経営に関する学習をします。試験科目(1次)は下記の通りです。

①経済学・経済政策:マクロ経済学・ミクロ経済学
②財務・会計:簿記の基礎・財務諸表等の理解と分析など
③企業経営理論:戦略論・組織論・マーケティング論
④運営管理(オペレーション・マネージメント):生産管理・販売管理
⑤経営法務:企業経営者にまつわる様々な法律(例:会社設立や知的財産など)
⑥経営情報システム:通信情報に関する基礎知識や経営情報管理
⑦中小企業経営・中小企業政策:中小企業の経営特性や経営課題

2次試験では、中小企業の診断及び助言に関する実務の事例から、診断士として必要な応用能力を測ります。企業概要が書かれている与件文を読み、問題点や改善点など経営戦略を考えます。筆記の形式は短答式または論文式です。その後、口述試験を行います。
内容は下記の通りです。

①事例Ⅰ(組織・人事)
②事例Ⅱ(マーケティング・流通)
③事例Ⅲ(生産・技術)
④事例Ⅳ(財務・会計)
*口述試験は筆記試験科目からランダムに出題される10分間の面接試験が行われます。

このように、1次試験・2次試験の対策の学習を通じて、経営に関する知識全般が身につきます。これらの学習は、経営コンサルタントとして、企業経営の事象、問題や課題を、様々な面から分析し、アプローチ・分析する能力を高めるための基礎として、とても役立ちます。

養成課程は役に立つ?

試験に関連する話として、診断士の試験の特徴として、養成課程・登録養成課程というものがあります。事前に書類審査や面接などで、審査を受けます。受講が決定した1次試験合格者が、養成課程で半年、1年ないし2年学ぶことによって、2次試験、口述試験そして、登録の際に必要となる実務補修研修が免除になります。

2次以降が免除となるのですから、それと同等、それ以上の知識を得ることができる場となり、とても役に立ちます。費用は200万近くと非常に高いですが、1年間、1次試験の科目を更に深掘りし学習します。平日、夜間とみっちり時間を費やします。会社員などですと、会社の業務の一環として認められない限り、両立はできないでしょう。養成課程は中小企業診断士として、診断・助言する能力を、実務レベルに高める点で役に立ちます。そして、終了後、即、診断士として活動できます。

中小企業診断士 役に立つのまとめ

・中小企業診断士は国に認められた経営コンサルタントです。
・試験勉強を通じ様々な、中小企業の経営に関する知識を幅広く身につけます。
・1次試験合格者は、養成課程を受講するという道もあります。2次試験・口述試験が免除となり、すぐに診断士として活動できます。
・試験合格後、独立後も、資格取得で身につけた様々な知識が直結して、実務において役立ちます。

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