高齢者社会が続く日本において、介護・障害を持ったままでも快適に過ごせる住環境は非常にニーズが高い分野です。
今回は、そんな住環境を提案できる「福祉住環境コーディネーター」という資格について紹介していきます。

渡辺 光子 (著)
日本能率協会マネジメントセンター 、出典:出版社HP

 



1.福祉住環境コーディネーターについて

福祉住環境コーディネーターとはどんな資格なのでしょうか?

∟東京商工会議所が認定する民間資格

福祉住環境コーディネーターは国家資格ではありません。東京商工会議所が認定する民間資格ですが、高齢者が増えていく世の中で需要が増している資格です。
ですが、2級を取得することで介護保険における「住宅改修費支給申請」に必要な「住宅改修費支給申請の理由書」を作成することができるなど、有資格者にしかできない仕事が請け負えるようになります。

∟医療・福祉・建築についての知識が必要

福祉住環境コーディネーターの主な仕事は、高齢者や障害者が住まう住宅で、安全性・快適性を高めるためのアドバイスを行うことです。
また、障害の程度に合わせた福祉用具や介助用品についての情報提供を行うこともあります。
これらのアドバイスを的確に行うためには、建築関係だけでなく、医療や福祉についての知識・社会制度についての知識などを網羅する必要があります。

∟職場によっては資格取得を必須にする場合も

特に介護関係の会社に就職する際などは、入社から○年以内にこの資格を取得するように、など条件に据えられている場合があります。
これから高齢者の自立を支援する動きなどが活発化することが予想されます。それに合わせたリフォームの依頼や、「自分に合ったアドバイス」を求める動きはどんどん増えていくでしょう。
この資格を持つことで、スキルアップにつながることは間違いありません。

2.給料について

福祉住環境コーディネーターの仕事は、それ一つで独立することはありません。基本的に介護業界か建築業界のいずれかに就職し、その上で資格を活かす形になります。

∟月給25万〜

福祉住環境コーディネーターのお給料は、おおよそ25万〜となっています。
介護・福祉業界か建築・不動産業界化によって収入には開きが見えそうですが、介護・福祉関係の業界の方がこの資格に対する重要度が高そうですね。



∟資格手当の有無

残念ながら、福祉住環境コーディネーターになっても資格手当はない場合がほとんどです。

渡辺 光子 (著)
日本能率協会マネジメントセンター 、出典:出版社HP

 



3. 取得までの流れ

福祉住環境コーディネーターの資格は3級・2級・1級に分かれています。

∟試験概要

いずれも受験資格に学歴や年齢の制限がありません。また、3級から存在していますが3級を持っていなくても2級に挑戦することも可能です。
1級は2級試験に合格した場合のみ受験できます。

受験には専用サイトから事前に申し込みをします。
希望受験日の7日前まで受け付けられていますが、各時間に定員があるため先着順で埋まってしまった場合は希望時間に受験できなくなることもあります。

3級・2級

IBT方式(自宅などで受験できる方法)またはCBT方式(テストセンターに出向いて受験する方法)のどちらかを選択して受験します。

出題形式はいずれも、多数の選択肢から問題文にあったものを選ぶ多肢選択式です。

合格基準点は70点以上と言われています。

1級

CBT方式のみで受験できます。

出題方式は多肢選択式と記述式の2つが取り入れられています。

合格基準点は、選択式・記述式それぞれ70点以上とされています。

∟試験日程

こちらも3級・2級と1級で異なります。

3級・2級

例年7月と11月の年2回開催されています。
2週間程度の日程が公表されますので、その期間中ならどの日でも自由に試験を受けることができます。

1級

12月ごろに1日だけ開催されます。日にちが指定されているので、3球・2級のように自分のスケジュールに合わせて受験することができません。

∟費用

1級 12,100(税込)
2級 7,700(税込)
3級 5,500(税込)

 



4.難易度について

福祉住環境コーディネーターの試験については、公式テキストが販売されていてその中から出題される形式になっています。

3級・2級は約半分近くが合格できていますが、1級は全体の1割の合格率に留まっています。

∟学習方法

基本的には公式テキストの読み込みと、過去問の繰り返しになります。
3級はテキストの読み込みだけでも十分ですが、2級ではテキストの範囲が広がることもあり合格率がやや下がる傾向にあります。
一夜漬けよりも、3ヶ月程度は見積もってコツコツと学習を積み重ねるのがおすすめです。

∟取りやすさ

テキスト上の知識だけでなく、実際に仕事として触れている方が理解が深まり取りやすさが上がります。
福祉業界にいる人などは、取りやすさが高いといえるでしょう。

しかし、1級からは建築に関する知識が必要になってきます。これまで福祉関係の知識でアドバンテージを取っていた人も、ここで大きなストップがかかってしまうようです。



∟活かしやすさ

現場で知識を活かす場合は、2級の取得を目指しましょう。
2級を取得すると前述したように有資格者にしかできない仕事がいくつか任せてもらえるようになります。

渡辺 光子 (著)
日本能率協会マネジメントセンター 、出典:出版社HP

 



福祉住環境コーディネーターってどんな仕事?給料は?難易度や試験日程についてのまとめ

以上が福祉住環境コーディネーターの概要になります。
主に福祉・介護業界では業務の幅を広げるために取得される方が多いようです。1級になると現場以外の仕事にも目が行き届くことになりそうですね。

自分の可能性を広げるための一歩として、ぜひ取得目指して頑張ってください!