世界遺産検定試験は1級,2級,3級,4級と級があります。

ここでは問題に慣れるため、レベルを知るため一度問題を見てみましょう。

試験対策では法制度の改正などもあり古い問題からかわっているところもあり、最新のテキストで学んでみましょう。

1,2級

2級

▶︎世界遺産条約に関する、以下の問いに答えなさい。

・世界遺産条約を採択した会議(A)と、採択した年(B)の組み合わせとして、正しいものはどれか。〈2点〉

[1]

1A.国際記念物遺跡会議-B.1972年

2A.国際記念物遺跡会議-B.1978年

3A.ユネスコ総会-1972年

4A.ユネスコ総会-B.1978年

解答3

 

・世界遺産条約が採択されたのと同じ年に、スウェーデン王国のストックホルムで開かれた「国連人間環境会議」の説明として、正しいものはどれか。〈1点〉

[2]

1教育環境改善のための世界初の大規模な国際会議

2環境問題についての世界初の大規模な国際会議

3住宅開発に関する世界初の大規模な国際会議

4生物多様性保全のための世界初の大規模な国際会議

解答2


国連人間環境会議は、「かけがえのない地球 (Only One Earth)」をキャッチフレーズとして開催された国際会議。通称「ストックホルム会議」。IUCN(国際自然保護連合)による自然保護に関する国際条約案、ユネスコによる文化財保護の条約案がひとつにまとめられた。また、同年11月の世界遺産条約の採択のほか、国連環境計画(UNEP) 設立の契機となった。

 

・世界遺産条約に基づき登録される世界遺産に適用される10項目の登録基準を定めている指針として、正しいものはどれか。〈2点〉

[3]

1文化財の保全と自然保護履行のための作業指針

2世界遺産条約履行のための作業指針

3顕著な普遍的価値担保のための作業指針

4世界遺産条約の公平性担保のための作業指針

解答2

10項目の登録基準は、世界遺産に求められる「顕著な普遍的価値」を測るために用いられる。

 

 

 

 

▶︎ユカがコウタに書いた手紙を読んで、以下の問いに答えなさい。

コウちゃん、元気ですか?コウちゃん、なんて書くと、学生時代を思い出すね。今ではすっかり、お父さん、の方がしっくりきますが。でも沖縄の海を見ていたら、コウちゃんって久しぶりに呼びたくなったの。

私は(a)勝連城跡の城壁の上から海に(b)沈み行く夕日を眺めながら手紙を書いています。昔、ゼミの旅行で沖縄に来た時のこと覚えてる?教授の実家のある(c)平泉にするか沖縄にするか意見が分かれたときに、コウちゃんは強硬に沖縄を主張したよね。それが私にこの沖縄の夕日を見せたかったからだって知って、すごく感激したことを思い出していました。

子供たちが家を出たのを機に、(d)白川郷の実家に戻って住むというコウちゃんの提案には、すごく不安でしたが、今こうしていると(e)伝統的な街並を守ってゆくというコウちゃんの理想に、残りの人生を捧げるのもいいかなって思っています。

帰ったら早速、義母さんたちに相談してみようね。

急なひとり旅を許してくれてありがとう。これからもよろしくね!

2013年5月31日

ユカより



・下線部(a)「勝連城跡」に関し、12世紀ごろから琉球で勝連城などのグスクを築いた有力豪族の呼び名として、正しいものはどれか。〈1点〉

[54]

1禰宜

2按司

3宮司

4神長

解答2

 

・下線部(b)「沈み行く夕日」に関し、『テオティワカンの古代都市』において、夏至の日に太陽が真向かいに沈むように設計されている建造物として、正しいものはどれか。〈2点〉


[55]

1太陽のピラミッド

2月のピラミッド

3ケツァルコアトルの神殿

4ラ・シウダデラ

解答1

月のピラミッドは、テオティワカンの中央を走る「死者の大通り」の北端にある。ラ・シウダデラは、大通りの南端にある儀式場跡。そのほぼ中央に、アステカ族の文化農耕平和の神で、「羽毛のはえた蛇」という意味のケツァルコアトルをまつる神殿がある。

 

・下線部(c)「平泉」に関し、「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群』に含まれる資産として、正しくないものはどれか。〈1点〉

[56]

1毛越寺

2中尊寺

3西芳寺

4金鶏山

解答3

西芳寺は「古都京都の文化財」の登録物件。夢窓疎石が作庭した上下2段の庭園には、枯山水、池泉回遊式庭園が取り入れられている。苔寺の別名でも知られている。

 

[57]

・下線部(d)「白川郷」に関し、合掌造りの家屋の特徴として、正しいものはどれか。

1降雪の重みを支えるため屋根は60~80度の傾斜をもつ

2壁のみに釘を使用し、それ以外では金属を使用していない〈1点〉

33~5階建てが多く、日本の家屋としては比較的に大きい

4大家族制を維持するため、住居と手工業の作業場を別の家屋にしていた

解答3

 

・下線部(e)「伝統的な街並」に関し、「麗江の旧市街』で外敵の侵入から街を守る役割も担って作られているものとして、正しいものはどれか。〈2点〉

 


[58]

1水路

2城壁

3縄張り

4防風林

解答1

麗江は、中国南西部の雲南省にある、 中国の少数民族 納西族によって築かれた都市。街に は城壁がなく、張りめぐらされた水路には外敵の侵入を防ぐ役割もあると考えられている。

 

1級

▶︎文化的景観に関する、以下の問いに答えなさい。

・文化的景観のカテゴリーのひとつである、「人間が意図的にデザインした景観」を意味するものとして、正しいものはどれか。〈1点〉

[12]

1関連する景観

2意匠された景観

3残存する景観

4有機的に進化する景観

解答2

「文化的景観」とは、「人類が長い時間をかけて自然とともにつくり上げ、人間の文化と強く「結びついた景観」を指す概念。1992年の登録審査から採用され、これまで自然遺産としては登録されなかった自然環境でも、文化遺産として登録することが可能となった。「意匠された景観」のほかに「有機的に進化する景観」「関連する景観」のカテゴリーがある。

 

・次の3つの説明文から推測される文化的景観として、正しいものはどれか。〈2点〉

 


-15~18世紀に建設された王家の夏用離宮や庭園が残る

-バロック様式の離宮は、 フェリペ2世の王領地であった16世紀に建設が始まった

-白磁のタイルで覆われた間やイスラム風のアラブの間などの見事な装飾が特徴である

[13]

1ロワール渓谷

2シントラの文化的景観

3レドニツェ=ヴァルチツェの文化的景観

4アランフエスの文化的景観

解答4

 

・「紀伊山地の霊場と参詣道」が文化的景観としての価値を認められた理由として、正しいものはどれか。〈2点〉

[14]

1鉱物の生産から搬出にいたる一連の遺産群が、独特の土地利用を示している

2公家文化を受け継ぐ寺社が点在する景観は、華やかな王朝文化を伝えている

3山岳地域と沿岸地域の双方の文化が調和している

4建造物群と自然が一体となった景観が、1,000年以上にわたって保存されている

解答4

 

1級



▶︎世界遺産条約と世界遺産委員会に関する以下の問いに答えなさい。

「世界遺産条約履行のための作業指針」が採択された年(A)と、その会議(B)の組み合わせとして、正しいものはどれか。〈2点〉

[40]

1A.1972年B.世界遺産センター総会

2A.1972年-B.第1回世界遺産委員会

3A.1977年-B.世界遺産センター総会

4A.1977年-B.第1回世界遺産委員会

解答4

作業指針では、「顕著な普遍的な価値」や価値を評価する登録基準、真正性や完全性などの定義が示されている。さらに、世界遺産リストへの申請や登録の手順などの実務的な手続きのほか、会議や委員会などの機関条約など関連する事項が細かく示されている。

 

・世界遺産条約締約国会議の開催時期として、正しいものはどれか。〈2点〉

[41]

2年に1度開かれるユネスコ総会会期中

22年に1度開かれる世界遺産委員会会期中

3毎年開かれるユネスコ総会会期中

4毎年開かれる世界遺産委員会会期中


解答1

世界遺産条約締約国会議は、世界遺産条約を採択した全締約国による会議。2年に1度、西暦の奇数年に開かれるユネスコ総会の会期中に開催される。世界遺産基金への分担金の決定世界遺産委員会委員の選定のほか、世界遺産委員会から提出された活動報告書を受理する。

 

次の文章中の空欄(A)に当てはまる語句を《語群A》から、空欄(B)に当てはまる語句を《語群B》から、それぞれ選びなさい。〈各2点〉

世界遺産委員会は、正式名称を「顕著な普遍的価値を有する文化遺産及び自然遺産の保護のための(A)」という。世界遺産委員会では、各国から世界遺産リストへの登録を推薦された遺産に対し、「登録」「(B)」「登録延期」「不登録」の4段階で決議を行う。

《語群A》

[42]

1作業委員会

2政府間委員会

3国際委員会

4審議委員会

解答2

 

《語群B》

[43]



1準登録

2追加調査

3情報照会

4評価保留

解答3

「情報照会」は、世界遺産委員会が推薦国に追加情報を求める決議国は3年以内に世界遺産委員会に推薦書を提出して再審査を受けることができるが、それを過ぎると新たな登録推薦とみなされ、世界遺産センターへの推薦となる。「登録」は、物件に顕著で普遍的な価値があるとして世界遺産リスト登録を認めるもの。「登録証期」は、より綿密に評価調査を行う必要があるか、推薦書の本質的な改定が必要だとする決議で、世界遺産センターへの推薦書の再提出から、改めて1年半の審議に付される。「不登録」は、世界遺産リストに登録するのはふさわしくないと判断した決議。新たな科学的情報が得られた場合や、別の登録基準によって推薦書を作成し直した場合などの例外を除き、再推薦は認められていない。暫定リスト登録物件だった「武家の古都・鎌倉」は、ICOMOSの勧告が「不登録」だったことから、再推薦が困難になる世界遺産委員会での「不登録」決議を回避するために、2013年6月に推薦を取り下げた。

 


1級

▶︎日本の文化遺産に関する以下の問いに答えなさい。

・『白川郷・五箇山の合掌造り集落』における合掌造り家屋の建築的特徴として、正しいものはどれか。〈3点〉

[82]

1こけら葺構造

2組積構造

3校倉造り

4ウスバリ構造

解答4

ウスバリ構造とは、屋根を形成する三角形の骨組構造の小屋組と、屋根や上階部分を支える基礎構造である軸組とを分離する構造のこと。小屋組の底辺(床)の部分をウスパリという。

 

・「広島平和記念碑(原爆ドーム)』で見られる建築様式の組み合わせとして、正しいものはどれか。〈2点〉

[83]

1ゴシック・リバイバル-モデルニスモ

2ゴシック・リバイバル-ゼツェッション

3ネオ・バロック-モデルニスモ

4ネオ・バロック-ゼツェッション

解答4

ネオ・バロックは、19世紀後半にヨーロッパで新古典主義に代わって興った様式。建築では、湾曲した壁面や曲線 楕円を強調した華麗で変則的なデザインが特徴。ゼツェッションは、19世紀末にドイツやオーストリアで興った総合芸術運動。既存の伝統的保守的な機構や様式から離れて新しい芸術を目指したことから、「ウィーン分離派」と呼ばれた。原爆ドームとなっている建物は、広島県物産陳列館として1915年に完成。ゼツェッションの影響を受けたチェコの建築家、ヤン・レツルが設計した。楕円形のドーム、曲線を描くファサードや外壁にはネオ・バロックの、直線的・幾何学的な柱頭や窓枠にはゼツェッションの影響が見られる。

 

・「古都京都の文化財』に含まれる「二条城」の二の丸庭園を作庭したと考えられている人物として正しいものはどれか。

[84]

1金森宗和

2小堀遠州

3夢窓疎石

4小川治兵衛

解答2

小堀遠州は、江戸時代初期の大名で、茶人、建築家、造園家でもあった。茶道では、遠州流の祖。豊臣秀吉、徳川家康に仕え、江戸幕府の作事奉行となり、二条城や仙洞御所、駿府城などを造営した。金森宗和は江戸時代初期の茶人で、小堀遠州と親交を結び、宗和流を開いた。

 

1級

▶︎危機遺産に関して、以下の問いに答えなさい。

・次の3つの説明文から推測される世界遺産として、正しいものはどれか。〈2点〉

-ロヴツェン山という天然の要害にあった商業都市である

-スラヴ諸国で最初の航海士学校が設立された

-大地震により世界遺産登録と同時に世界初の危機遺産リストにも記載された

[67]

1ザモシチの旧市街

2コトル地方の歴史的建造物と自然

3モスタル旧市街の石橋と周辺

4リヴィウ歴史地区

解答2

コトルは、アドリア海に面したコトル湾の最奥部に位置する商業都市。紀元前から海洋貿易によって栄えた。2003年に、危機遺産リストから脱している。地震による被害で登録と同時に危機遺産となった世界遺産には、イランの『バムとその文化的景観』(2013年に危機遺産から脱した)とチリの「ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群」がある。

 

問67に関して、世界初の危機遺産登録が行われた年として、正しいものはどれか。〈2点〉

[68]



11979

21983年

31988年

41992年

解答1

 

・今年(2013年)危機遺産に登録された「東レンネル」にあるテガノ湖の特徴として、正しいものはどれか。〈2点〉

[69]

1島の面積の3分の1を占める

2塩分が強すぎるため生物が棲んでいない

3海が近いにもかかわらず淡水湖である

4海水と淡水が混ざり合う汽水湖である

解答4

レンネル島は、環状のサンゴ礁が隆起して生まれた東西約86km、南北約15kmの島。島の総面積のおよそ5分の1を占めるテガノ湖は、汽水湖特有の生態系をもつ。

 

・絶滅の危機にあるキタシロサイの生息地として知られる危機遺産として、正しいものはどれか。〈2点〉

[70]

1イシュケル国立公園

2ガランバ国立公園

3W国立公園

4セルー動物保護区

解答2

コンゴ北東部の「ガランバ国立公園」に生息する絶滅危惧種のキタシロサイは、その角が漢方薬として高額取引されるため、密猟で15頭まで減り、1984年に危機遺産となった。政府の密猟取締りと保護対策の成果で1992年に危機遺産から脱したが、隣国スーダンの内戦に伴う反政府軍や難民の流入により、環境が悪化。1996年に再び危機遺産となった。