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試験の種類:
知識B級と知識A級:筆記試験で、選択問題と記述問題があります。試験時間は、知識B級が90分、知識A級が100分。
実践級:実践に基づく試験で、ロールプレイング形式を採用しています。知識A級合格者が受験資格を持っています。
出題範囲:
話し方の基礎、基礎技能、電話実務の3つの領域にわたっています。
話し方の知識領域では、話の仕方、感じの良さ、話の要約、敬語、言葉の使い分けなどが評価されます。
基礎技能領域では、明瞭な発音、整った口調、落ち着きのある話し方、分かりやすい話し方、端的な話し方などが審査されます。
電話実務領域では、感じよく出ること、相手の確認の仕方、用件の尋ね方、伝言の受け方、説明の仕方などが含まれます。
出題例:
知識B級の例:ある状況に関する最適な行動を選択する問題が出題されることがあります。
知識A級の例:電話での表現方法に関する問題が出題されることがあります。
Ⅰ話し方の知識(理論)1
1
販売課の風間陽太郎は新人から、電話でお客さまが言ったことに同意を示すときはどのように言うのがよいかと尋ねられた。次はこのとき風間が挙げた例である。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)「ごもっともです」
(2)「言えていますね」
(3)「おっしゃる通りです」
(4)「さようでございますね」
解答
(2)「言えてる (ね)」は同意を示す言葉ではあるが、仲間内の日常会話などで使う砕けた言い方である。「言えていますね」と丁寧な言い方にしても、仕事の電話でお客さまに言うのは不適当ということである。
2
ケーブルテレビ会社勤務の岸本理絵が電話に出るとお客さまからで,「接続が悪いのか画像を見ることができない」と言う。岸本がこれに応答して「見ることができない」を復唱する場合、どのように言うのがよいか。次の中から言葉遣いが不適当と思われるものを一つ選 びなさい。
(1)「ご覧できないということですね」
(2)「ご覧になれないということですね」
(3)「ご覧いただけないということですね」
(4)「ご覧になることができないということですね」
解答
(1)「ご覧」は「見る」の尊敬語。しかし、「ご~できる」は謙譲語 「ご ~する」の可能表現で、自分が相手 (のため) にできることをへりくだって言う言い方である。相手がすることについては使えないので不適当ということである。
Ⅰ話し方の知識(理論)2
1
事務機器販売会社の江崎透は、企業の総務部に電話をかけてセールスを行っている。このような場合江崎は、電話に出た担当者にまずどのように言うのがよいか。次の中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)「お仕事中, 申し訳ございません」
(2)「ご多用中, 申し訳ございません」
(3)「お忙しい中申し訳ございません」
(4)「お取り込み中、申し訳ございません」
解答
(4)「お取り込み中」は、不意の出来事や不幸などがあって身の回りがごたごたしていることをいう。セールスの電話をするとき、仕事中の相手を気遣う意味で言う言葉ではないので不適当ということである。
2
ショッピングセンター勤務の内山紀之はお客さまから、「駐車場の入り口にゴミが散らかっている」という電話を受けた。このような場合内山は、電話をくれたことへの礼をどのように言うのがよいか。次の中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)「ご報知いただきまして、ありがとうございました」
(2)「ご連絡くださいまして、ありがとうございました」
(3)「ご指摘いただきましてありがとうございました」
(4)「お知らせくださいましてありがとうございました」
解答
(1)「報知」とは, 知らせるという意味だが事故や事件が起こったときに使うことが多い。この場合は,お客さまからのゴミが散らかっているという知らせである。あえて使う言葉ではないので不適当ということである。
Ⅱ基礎技能(理論)1
1
営業課の元木達彦は先輩から、ビジネスの電話での話し方は友人と話すのとは違うので注意するようにと言われた。次はこのとき先輩が言ったことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)相手の頼み事を引き受けるとき, 「了解です」と言っているが、「承知いたしました」 と言うのがよい。
(2)相手の話に納得する相づちを打つとき,「確かに」と言っているが、「なるほどです」というのが良い。
(3) 相手の言う通りだと認めるとき,「ごもっとも」と言っているが、「おっしゃる通りです」と言うのがよい。
(4) 相手に簡単な頼み事をしたとき, 「よろしくどうぞ」と言っているが 「どうぞよろしくお願いします」と言うのがよい。
解答
(2)「確かに」も「なるほど」も不適当。両方とも相手の話に納得したときの相づちだが、相手の意見を下に見て評価しているような言い方。また、「なるほどです」と「です」を付けた言い方はない。
2
新入社員の奥寺京子は先輩から,電話機は感度がいいので周囲の音を拾い、相手に聞こえることがあるから気を付けるようにと言われた。次はそのことについて奥寺が考えたことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)電話を取り次ぐとき、送話口を手で押さえるのではなく、電話を保留にするのがよいのではないか。
(2) 電話をしている人の近くでは、昼休みでも大きな声で話したり笑ったりしてはいけないのではないか。
(3)係長から話し掛けられたとき隣の席の人が電話中だったら隣を指さして係長に「後で」と伝えるのがよいのではないか。
(4) 課長と談笑している取引先の人の声が大きいとき電話をかける用があれば少し離れた場所に移ってかけるのがよいのではないか。
解答
(3)周囲の音を拾うのだから、電話をしている隣で話をしたらその音声は当然入る。このような場合、場所を移すとか、小声で話すなどの配慮をすればよいこと。隣の人を指すのも係長と話すのを後回しにするのも不適当ということである。
Ⅱ基礎技能(理論)2
1
佐藤俊は先輩が,「電話で頼んだところ, けんもほろろに断られた」と言っているのを聞いた。この「けんもほろろ」とは、どのようなことか。次の中から適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1) 関係のない余計なことを言うこと。
(2)感情的になって投げやりな調子で言うこと。
(3)何を言っているか分からない言い方のこと。
(4)冷たい態度で相手の話を受け入れる気がないこと。
解答
(4)
2
松山佳子は得意先から「19日の2時」に面談したいという電話を受けた。このとき「19日2時でございますね」と復唱して確認するにはどのような言い方(区切り方)で言うのがよいか。次の中から適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)「ジュークニチ,ニジ, デゴザイマスネ」
(2)「ジュー, クニチ, ニジ, デゴザイマスネ」
(3)「ジューク, ニチニ,ジ, デゴザイマスネ」
(4)「ジューク, ニチニ,ジデゴザイマスネ」
解答
(1)日時の確認をするときは、「日」と「時」のそれぞれを単位として区切った言い方が分かりやすいので、(1)が適当ということである。
Ⅱ基礎技能(理論)3
1
次はコールセンターの篠塚久が新人に,電話でしっかりとした話し方をするための心掛けとして教えたことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1) めりはりのある調子で端的に話すこと。
(2)「えーっと」などの余計な言葉は言わないこと。
(3) 抑揚のない言い方にして口調をきつくすること。
(4)「~ですぅ」のような語尾を伸ばす言い方をしないこと。
解答
(3)しっかりとした話し方とは、めりはりのあるはっきりした調子の話し合いのこと。抑揚のない言い方とは一本調子の平板な言い方。しかも口調をきつくすると、感じの良くない話し方になってしまう。従って(3)のように教えたのは見当が違っていて不適当ということである。
2
販売課の榊原哲は, お客さまと電話で話しているとき「えっ?」と聞き返されることが多い。次は榊原が, 聞き返されないためにはどのようにすればよいか考えたことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)専門用語は、分かる人以外には使わないのがよいのではないか。
(2)お年寄りなど相手によっては, 少しゆっくりと話すのがよいのではないか。
(3)はっきり聞こえるように,整然と文を読み上げるように言うのがよいのではないか。
(4)小声にならないように気を付けて, 大事な部分では少し声を大きくするのがよいのではないか。
解答
(3)聞き返されるのは、理解できない、早口や声が小さくて聞き取れないなどがあるから。そうならないようにすれば聞き返されることは防げる。電話だから話しかけるような話し方は必要なのに、「整然と文を読み上げる」はそうでない逆の話し方になるので不適当。
Ⅱ基礎技能(理論)4
1
次は営業課の朝岡敬太が、電話で連絡をするとき重要な部分をどのように言えばよいか考えたことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1) 言う前に少し間を置いて際立たせるのがよいかもしれない。
(2) 強く印象に残るように, きつい調子で言うのがよいかもしれない。
(3) 聞き間違いのないように, 少しゆっくり言うのがよいかもしれない。
(4) 相手が聞き漏らすかもしれないので、繰り返し言うのがよいかもしれない。
解答
(2)重要な部分が強く印象に残るように考えたのはよいが,きつい調子の言い方は感じがよくないので不適当ということである。
2
次は、営業課の立花ユイが取引先からの電話で、相手の言ったことを確認するために言った言葉である。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)「来月ハッカは不在だ」 と言われて「ニジューニチ (20日) ですね」
(2)「ワンケース追加注文したい」と言われて ヒトケース (1ケース)ですね」
(3)「明日の13時に取りに行く」と言われて「明日のゴゴイチ(午後一)ですね」
(4)「金曜日に届けてもらいたい」と言われて「今週ニジューニニチ (22日) の金曜日ですね」
解答
(3)「13時」を確認するには「午後1時」と言えばよい。「午後一」は午後一番ということで,
ビジネスでは一般的に昼休み後の午後1時ぐらいのことだが、決まった時刻を指す言葉ではなく、時間の幅がある。従って、「午後一」では確認にならず不適当ということである。
Ⅱ基礎技能(理論)5
1
次の下線部分は藤沢敬子が電話で話すときに使っているカタカナ語である。藤沢は先輩から「カタカナ語は使わないように」と言われたが、言い換えるとかえって分かりにくくなる (言い換える必要がない)ものがある。それを一つ選びなさい。
(1)「お得な情報をデーリーで更新しています」
(2)「私どものメールアドレスをご案内いたします」
(3)「オファーを頂ければ, すぐに企画検討いたします」
(4)「電話はウイークデーの9時から5時までつながります」
解答
(2)「メールアドレス」とは,電子メールの識別表示のこと。カタカナ語として定着している言葉なので,言い換えるとかえって分かりにくくなる。
2
次は奈良ひさ子が, 出張中の課長に電話で報告するとき心掛けていることである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)特に重要な箇所はゆっくり言って、必要に応じて繰り返している。
(2)概要と結論を言い、詳細については必要なことだけ言って, その他は省略している。
(3)報告が幾つかあるときは,その数を先に言った上で,重要なものから報告している。
(4)内容が課長に間違いなく伝わったかを確かめるため, 課長に復唱してもらっている。
解答
(4)復唱とは, 相手が言ったことを確認のため繰り返して言うこと。自分が言ったことが間違いなく伝わったかどうかを確かめるには,自分が繰り返して言うなどしないといけない。 相手に,ましてやこの場合,上位者の課長に復唱してもらうなどは不適当ということである。
Ⅲ電話実務(実技)1
1
風戸直人は電話を取り次がれたが、仕事の手が離せなくて1分近く かかって受話器を取ったところ, 待たせるなぁ」と不愉快そうな感じの声がかすかに聞こえた。このような場合風戸はどのように対応すればよいか。次の中から適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)「申し訳ありません。取り次いだ者に少しお待ちいただくと言わせるべきでした」と言う。
(2)「1分もかからなかったはずですが,待ち時間は長く感じますのでご容赦ください」と言う。
(3)用件を尋ねる前に,余計なことは言わず「大変お待たせして申し訳ありませんでした」と言う。
(4)「お待たせしてご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。今後は注意いたします」と言う。
解答
(3)取り次がれた電話にすぐに出られればよいが、手が離せず待たせることもある。そのような場合は余計なことは言わず待たせたことを謝ればよい。1分近く待たせたのであれば、 「大変」と付け加えておくのが適当ということである。
2
お客さまサービスセンターの峰岸はるかは先輩から、苦情の電話への対応として次のように言われた。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)お客さまからの信頼を得るために, 積極的な対応の仕方をしておいた方がよい。
(2)上の人に電話を代われと言われたら, すぐに係長に代わってもらった方がよい。
(3)応対の途中でも、対応しきれそうになかったら先輩に代わってもらった方がよい。
(4)無理な要望は後で課長が断るので, 要望には取りあえず全て応じておいた方がよい。
解答
(4)無理な要望というのは峰岸には対応しきれない要望のこと。であればすぐに課長などに対応してもらうのがよい。お客さまの要望に全て応じておいて後で課長が断るなどのちぐはぐな対応は、お客さまに不信感を与えることになり不適当ということである。
Ⅲ電話実務(実技)2
1
次は片岡裕司が、取引先に電話したときに行ったことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)取引先の部長に尋ねたいことがあったとき、部長の秘書に電話をして部長につないでもらった。
(2)取引先の担当者に電話したとき外出中と言われたので、教えてもらっていた携帯電話の番号にかけ直した。
(3)取引先の担当者に電話したとき、課長に確認して返事すると言われたので、課長に代わってもらって直接尋ねた。
(4)取引先の担当者に連絡したいことがあったとき、担当者が留守だったので電話に出た人に伝言を頼んでその人の名前を尋ねた。
解答
(3)課長に確認して返事するというのは、課長に意見を聞いたり承認を得るなどがあり, 担当者だけでは決められないから。従って,この場合は担当者からの返事を待つしかない。それなのに課長に代わってもらうなどは筋違いで不適当ということである。
2
次の「」内は平岩春菜が、課長あてにかかってきた電話に出て取り次ぐとき課長に言ったことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)友人のEと言う人からのとき「ご友人のE様とおっしゃる方からお電話です」
(2)Mと名乗り尋ねても社名は言わず、話し方からセールスかと思われるとき
(3) 取引先であるD社のHと名乗る人だが, Hという人は知らないとき「D社からですが、 H様とおっしゃる初めての方からお電話です」「会社名はおっしゃらないM様という方からお電話です」
(4) 尋ねても名前は言わず, 知り合いとしか言わない人からのとき「お名前はおっしゃいませんが、お知り合いという方からお電話です」
解答
(3)取引先からの電話だから, 平岩がH氏を知らなかったとしても課長は知っているかもしれない。平岩は「D社のH様からお電話です」と言って取り次ぐだけで用は済む。「初めての方」などは余計なことで不適当ということである。
Ⅲ電話実務(実技)3
1
池谷洋平は、車で来社するお客さまに電話で道案内をすることが多い。次は池谷が先輩から、 車で来社する人への道案内の仕方として教えられたことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)分かりやすいが遠回りの道より、分かりにくくても近道の方を案内すること。
(2)「○○から○分」と時間で説明するのではなく,「○○から○キロ」のように距離で説明すること。
(3)幹線道路は交差点名を言って案内するのでよいが細い道の曲がり角は目印になるビルや看板を伝えること。
(4)「北へ向かって」と方角で案内するのではなく、「○○方面へ向かって」のように案内標識に書かれている地名を言うこと。
解答
(1)道案内ということだから近辺の案内であろうし、車での来社だから,差し支えるほどの遠回りにはならないと思われる。それなら少々遠回りでも分かりやすい道の方がよいことになる。分かりにくくても近道を案内するなどは不適当ということである。
2
寺内桃子が所属する営業課の課長は外出が多い。次は寺内が、外出中の課長から電話で 「留守中の報告をしてもらいたい」と言われたときに行っていることである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
(1)伝言は、「○時に○○様から〜」のように受けた時間も伝えている。
(2)込み入った内容のときは,「込み入っています」と前置きしてから報告している。
(3) 報告はあるが急ぎでないときは, 「今のところ報告事項は特にありません」と言っている。
(4)返事を求められている件で差し支えのないものは、課長の返事を自分が先方に伝えようかと尋ねている。
解答
(3)急ぎでなくても報告はあるのだから,「報告はあるが急がない,どうするか」と尋ねるのがこの場合の報告の仕方。報告があるのに「報告事項は特にない」などと言うのは不適当ということである。
参照:公式テキスト(書籍/PDF/無料等)