ビジネス会計検定試験は1級,2級,3級があります。ここでは最初に問題を見てみましょう。
また直近の試験は試験範囲や法令なども変化しているため必ず最新のテキスト、問題集を読み、学んでいきましょう。
1級
第1章ディスクロージャー
3XBRLについて
例題1-3
次の文章が正しければ○を,誤っていれば×を付しなさい。
ア.すべての大会社は,貸借対照表および損益計算書を公告するか電磁的方法により公開しなければならない。
イ.合同会社は計算書類を作成しなければならない。
ウ.株式会社は臨時計算書類を作成しなければならない。
解答
ア.×
1.○
ウ.×
解説
ア.有価証券報告書を提出しなければならない会社は,そのような義務を負っていない。
イ.合同会社であっても貸借対照表、損益計算書,社員資本等変動計算書 を作成しなければならない。
ウ.臨時計算書類の作成は会社の任意である。
第2章財務諸表と計算書類
6純資産の期中変動額
例題2-5
連結株主資本等変動計算書の表示について, 以下の問に答えなさい。
1.当期の連結株主資本等変動計算書と連結損益計算書は,どのように関係しているか。
2.当期の連結株主資本等変動計算書と連結貸借対照表は,どのように関係しているか。
3.当期の連結株主資本等変動計算書と前期の連結貸借対照表は,どのように関係しているか。
4.少数株主持分の変動事由としては,何が考えられるか。
解答
1.当期の連結株主資本等変動計算書と連結損益計算書は,連結株主資本等変動計算書に示される利益剰余金の変動事由たる当期純利益を媒介にして連係される。
2.当期の連結株主資本等変動計算書と連結貸借対照表は,連結株主資本等変動計算書の末尾に示される「純資産の当期末残高」を媒介として 結びつく。
3.当期の連結株主資本等変動計算書と前期の連結貸借対照表は,連結株 主資本等変動計算書に示される「純資産の前期末残高」を媒介として結びつく。
4.少数株主持分の変動事由として、少数株主利益の計上,連結子会社の増加(減少)による少数株主持分の増減,連結子会社株式の取得(売 却)による持分の増減,連結子会社の増資による少数株主持分の増減などがある。
解説
1.四半期連結財務諸表は, 四半期連結貸借対照表と四半期連結損益計算書および四半期連結キャッシュ・フロー計算書から構成される。四半期末日の貸借対照表と3カ月間の損益計算書、および会計年度の期首から累計した期間の損益計算書とキャッシュ・フロー計算書が開示される。
2.実績主義は,四半期を独立した期間とみなし、四半期の経営成績と財 政状態などの情報を提供するために四半期財務諸表を作成するという立場である。したがって,原則的に年度の財務諸表と同じ会計処理 をする。 予測主義は,四半期を年度の一構成部分として位置づけ, 年度の業績予測のために四半期財務諸表を作成する,と考える。した がって,四半期財務諸表では,年度財務諸表と異なる会計処理が適用される場合がある。
3.企業業績は季節ごとに変動する場合があるので,当該四半期の連結損益計算書と直前四半期の連結損益計算書を比較すると同時に、前年度の同一四半期における連結損益計算書を比較することが必要である。
2四半期連結財務諸表の分析
第3章財務諸表項目の要点
5ヘッジ計算
例題3-1-1
金融資産の会計に関する次の文章のうち,誤っているものはいくつあるか。選択肢から選びなさい。
ア.商品等の売買または役務の提供の対価に係る金銭債権(受取手形,売掛金など)は,原則として,その商品等の受渡しまたは役務提供の完了によりその発生を認識する。
イ.関連会社株式は,個別財務諸表においては取得原価で評価されるが,連結財務諸表においては持分法により評価される。
ウ.その他有価証券の評価差額については,時価が取得原価を上回る銘柄類の評価差額は損益計算書に計上し, 時価が取得原価を下回る銘柄の評価差額は純資産の部に計上することができる。
エ.金融資産がその消滅の認識要件を充たした場合には,当該金融資産の消滅を認識するとともに,帳簿価額とその対価としての受取額との差額を当期の損益として処理する。
オ.その他有価証券の価格変動リスクをヘッジした場合,ヘッジの効果を財務諸表に適切に反映させるため、ヘッジ対象である資産または負債に係る相場変動等を損益に反映させることにより,その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する方法が原則として採用される。
(選択肢)①1つ②2つ③3つ④4つ⑤5つ
解答②
解説
ウとオが誤り。その他有価証券の評価差額については,部分純資産直入法によれば評価損を損益計算書に計上し、評価益を純資産の部に計上することができる。また,オの方法は時価ヘッジであり,ヘッジ会計の原則的処理方法は繰延ヘッジである。
5トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価基準
例題3-2-1
「棚卸資産の評価に関する会計基準」に関する以下の文章の()内に当てはまる言葉を書きなさい。
通常の販売目的で保有する棚卸資産は,(1)をもって貸借対照表価額とし,期末における(2)が(1)よりも下落している場合 には,当該(2)をもって貸借対照表価額とする。
通常の販売目的で保有する棚卸資産について,(3)による簿価切下額は(4)とするが,棚卸資産の製造に関連し不可避的に発生すると認められるときには(5)として処理する。
解答
①取得原価
②正味売却価額
③収益性の低下
④売上原価
⑤製造原価
第4章財務諸表の作成原理
6財務諸表における認識と測定
例題4-1-1
次の文章が正しければ1を,誤っていれば2を選びなさい。
ア.概念フレームワークは,個別テーマごとに設定されている会計基準間の整合性をとるために必要とされる。
イ.内的整合性は,会計基準間での整合性を問題としており,新たな会計基準の設定にあたり,常に既存の会計基準との整合性を考慮することを要請するものである。
ウ.株主資本は純利益を生み出す正味のストックであり,純資産は包括利益を生み出す正味のストックである。
解答
ア.①イ.②ウ.①
解説
イが誤り。内的整合性は,「会計基準」と「会計基準全体を支える基本的考え方や基礎的概念」との整合性を問題としている。また新たな会計基準を設定する場合には,既存の会計諸基準に基づく会計情報に意思決定有用性が認められている場合には,既存の会計諸基準を支える基本的考え方や基礎概念と整合する会計基準を作成すればよいが,そうではない場合には基本的考え方や基礎概念そのものの見直しを要請する特性である。
第5章財務諸表分析
4売上高利益率の分析
例題5-5
シャープの連結損益計算書に基づいて、平成19年3月期と平成20年3月 期の百分率損益計算書を作成することにより,シャープの売上高純利益率 平成19年3月期から平成20年3月期へと変化させた項目のうち、影響力が最も大きかったものを指摘しなさい。
解答
次の百分率損益計算書の[当期(平成20年3学期)−前期(平成19年3学期)]の欄のうち、最も大きな数値の変化を生じているのは、売上原価の−0.7%である。この結果は、売上高純利益率を低下させた最大の要因が、売上原価の割合の上昇であることを明らかにしている。
2古典的な安全性評価の指標
例題5-14
シャープの連結貸借対照表に基づいて,平成20年3月期末現在の流動比率と当座比率を算定し,シャープの債務返済能力を評価しなさい。
解答・解説
①流動比率=流動資産1,642,622流動負債1,431,371=1.1476→115%
②当座比率当座資産967,376流動負債1,431,371=0.6758→68%
(当座資産=現金及び預金388,785+受取手形及び売掛金503,199+割賦売掛金78,974+有価証券2,492−貸倒引当金6,074=967,376)
流動比率が100%を超えているから短期的な債務返済能力に関して切迫しした問題はないが,当座比率は100%を割り込んでいるから万全とまではいえない。
4キャッシュ・フロー計算書の分析
例題5-18
シャープの連結財務諸表に基づいて,平成20年3月期の経常収支比率を算定し、資金繰りからみたシャープの安全性を評価しなさい。
解答・解説
経常的収入(売上高3,417,736+売上債権の減少3,931)
+利息及び配当金の受取額8,939=3,430,606
経常的支出=経常的収入3,430,606
営業活動からのキャッシュ・フロー323,764=3,106,842
経常収支比率=経常的収入3,430,606÷経常的支出3,106,842=1.1042→110%経常収支比率は100%を大きく上回っているから,資金繰りからみた安全性に問題はない。
第5節不確実性の分析
2サステイナブル成長率
例題5-21
シャープの平成20年3月期の連結財務諸表に基づいて, 平成20年3月期 のサステイナブル成長率を算定しなさい。
解答・解説
ROE=当期純利益101,9226÷自己資本の期中平均1,207,357=0.0844
ROEの計算の詳細は第2節参照。
配当性向支払配当額30,538÷当期純利益101,922=0.2996
支払配当額は,当期の連結株主資本等変動計算書に「剰余金の配当」として掲載されている。
サステイナブル成長率=ROE 0.0844×(1配当性向0.3)=0.059085.9%5.9%は,あくまで平成20年3月期のデータに基づく計算値であり,ROEや配当性向が変化すればサステイナブル成長率も変化する。
第6章企業価値分析
4株主資本コストの推定
例題6-4
カッコ内に入る数値を計算しなさい
企業
A社
B社
C社
D社
株主資本コスト
(a)%
6.2%
11%
5.7%
無リスク利子率ベータ
1.5
1.4%
(c)%
1.7%
ベータ
1.5
1.2
1.8
(d)
リスクプレミアム
4%
(b)%
5%
5%
解答
a:7.5,b:4,c:2,d:0.8
5負債コストの推定
例題6-5
E社の当期末における有利子負債は1,000億円,前期末における有利子負債は1,200億円、当期の支払利息は21億円であった。なお,実効税率は40%と仮定する。この場合,1E社の負債コストはいくらか。また,2負債の節税効果を考慮した負債コストはいくらになるか。
解答
①1.91%:21/(1,000+1,200)/2=0.0191
②1.14%:0.019×(1-0.4)=0.0114