臨床工学技士とは

臨床工学技士とは「医療工学技士法」で定められている国家資格です。医師の指示のもとで血液浄化装置や人工呼吸器、人工心肺装置などの生命維持管理装置を操作したり、院内にある医療機器が安全に正しく使用できるように保守点検を行います。
現在、医療機器の存在は医療を支えるものとなっており、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士の存在は重要なものとなっています。

ではそのような重要な存在である臨床工学技士はどのようになるのでしょうか。

小野 哲章
出版社 ‏ : ‎ 金原出版; 第3増補版 (2019/1/29)
、出典:出版社HP

 

受験資格

臨床工学技士になるには臨床工学試験に合格する必要がありますがその試験には受験資格が必要です。
受験資格を得るためには次のような方法があります。

① 3年制の専門学校・短大で学び指定されたカリキュラムを修了する
② 4年制の大学で厚生労働大臣が指定する科目を修了する

3年制の専門学校・短大のほうが早く資格を取得することができ、かかる費用も少ないですが、4年制の大学の方が時間をかけて学ぶことができ、より幅広い専門知識も習得できます。

どちらのほうがよいかは自分次第とも言えるでしょう。

国家試験について

試験は、臨床工学技士法に基づいて、年に1回、毎年2月下旬~3月初旬、日本各地の指定された試験場で実施されます。合格基準のボーダーは60%前後と言われています。

出題内容

出題される内容は大きく分けて9つに分類されます。

①医学概論
呼吸・循環・泌尿器・胸部外科が中心になります。脳神経・消化器・内分泌・感染症などに関連する知識も出題されます。

②臨床医学総論
医学概論と同様、呼吸・循環・泌尿器・胸部外科に関連する知識が中心になります。脳神経・消化器・内分泌・感染症などに関連する知識も出題されます。

③医用電気電子工学
交流を含む電気回路の基本、増幅器、センサの基本、機械要素、機械に関する基礎力学、流体に関する基礎力学、関連する物理現象などが出題されます。

④医用機械工学
医用電気電子工学と同様、交流を含む電気回路の基本、増幅器、センサの基本、機械要素、機械に関する基礎力学や流体に関する基礎力学、関連する物理現象などが出題されます。

⑤生体物性材料工学
生体の電気的・力学的・機械的特性や人工透析・人工心肺・人工血管などに使用される特殊な材料について問われます。

⑥生体機能代行装置学
人工透析・人工心肺・人工呼吸器・高気圧酸素療法装置やそれに関連する機器などについて出題されます。

⑦医用治療機器学
ペースメーカー、電気メス、大動脈バルーンポンピング装置、レーザ治療器、超音波メスなどについて出題されます。

⑧生体計測装置学
心電計、血圧計、パルスオキシメータ、筋電計、脳波形などについて出題されます。

⑨医用機器安全管理学
医療機器の電気事故、医療ガスの事故を防ぐための法令、安全管理方法などについて出題されます。

合格率

合格率は70~85%と比較的高く、しっかりと知識を頭に入れていくことができればそこまで難易度は高くないと思います。

勉強方法

絶対に解かなければいけない問題は過去問です。実際に過去に出題された問題のため出題傾向が掴みやすいです。過去問を説きながら周辺の知識や苦手分野を発見することでより効率的に勉強できると思います。

小野 哲章
出版社 ‏ : ‎ 金原出版; 第3増補版 (2019/1/29)
、出典:出版社HP

まとめ

今回は臨床工学技士の国家試験について紹介しました。出題範囲や受験資格について理解していただけたでしょうか。臨床工学技士を目指したい方はしっかりと過去問を解いて試験対策に努めましょう。