「『樹木医』の資格を取りたい!」

「樹木医の試験って何をするの?」

「感染症の中でどうやって試験しているのか?」

 

日本緑化センターが主催をしている「樹木医」という民間資格。

有資格者の数は約3,000人と、あまり一般的には知られていない資格の一つです。

 

この樹木医について、

興味・関心がある皆さんと一緒に、受験資格や試験内容について見ていきたいと思います。

 

出版社 ‏ : ‎ 日本緑化センター; 改訂4版 (2014/6/1)
、出典:出版社HP

 

 

樹木医とは

樹木医とは、樹木に関する専門医だとイメージがしやすいと思います。

 

樹木の状態について診断・治療を行う医者としての側面と、

樹木の生理・生態に精通しているので、

調査・設計管理・維持管理業務にも携わる側面もあります。

 

この他にも、樹木の保護・育成、またそれに関する知識の普及や指導も行っています。

 

近年、地球環境に関する関心が非常に高まっていることも相まって、

注目度が上がりつつある資格の一つでもあります。

 

受験資格

樹木医の試験の正式名称は

「樹木医研修受講者選抜試験」となります。

 

試験については、あとで詳しく述べますが、

筆記試験を行う第1次審査合格後、第2次審査に関わる研修に

参加可能であることが前提となっています。

 

これを踏まえた上で、

この選抜試験を受験するには、いくつかの制限があります。

 

1.業務経歴が7年以上である。

2.樹木医補の資格認定後、業務経歴が1年以上あること

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

1.業務経歴が7年以上である。

ここでいう「業務経歴」とは、

・造園業や林業等の従事者

・国、地方公共団体の農林・緑化関係職員

・農林業や緑化関係の会社職員

・大学や研究所の教職員、研究員

・農林高校や専門学校の教職員

などが具体的な例となります。

 

このように、樹木の調査や研究、診断・分析、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計に関する実務や研究に従事していた期間が7年以上であることが、受験資格の一つです。

 

2.樹木医補の資格認定後、業務経歴が1年以上あること

「樹木医補」というのは、樹木医補の資格養成機関として認定を受けた大学や専門学校で、

樹木に関する指定された科目を履修・取得し、卒業した人が認定を受けることができます。

 

そのため、資格養成機関の認定を受けた学校を卒業した人は、学校卒業後、樹木医補としての業務経歴が1年以上あれば、受験資格を満たすことができます。

 

また、樹木医補は、樹木医の選抜試験時に優遇措置を受けることができます。

受験資格の点でも、必要な業務経歴に7年以上と1年以上では大きく差がありますし、

後に説明する受験料についても、樹木医補は優遇措置が施されています。

 

試験

この樹木医の資格の合格率は、およそ20%とかなり低くなっています。

合格するためには、入念な試験対策が必要になると考えられます。

 

では、樹木医の試験はどのようなものなのでしょうか。

 

樹木医の試験は大きく分けると、2つあります。

 

1.第1次審査(選抜試験)

2.第2次審査(研修・面接・資格試験)

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1.第1次審査(選抜試験)

最初の試験である選抜試験では、業績審査と筆記試験が行われます。

 

業績審査とは、業務経験の事例に基づく書類審査です。

こちらは、自分が今までどんな業務経験をしてきたのかという審査なので、

これといった対策は必要はないでしょう。

 

筆記試験は、択一式と論述式を90分ずつ、午前と午後に分けて行われます。

また、試験が午前・午後に別れてはいますが、

感染症対策のため、昼食時間が確保されませんので、注意してください。

 

午前は択一式の試験を行うこととなっており、

一般教養、樹木医研修科目に関係する専門分野について、この他にも生物の知識などが問われます。

 

午後は論述式の試験で、問題が3つ出題されます。

この試験では、樹木医が身につけるべき知識や技術についてであったり、文章能力についての試験になっています。

 

選抜試験の合格基準は、

択一式試験の正答率が5割以上となっています。

 

つまり、択一式試験の正答率が5割を満たさない場合、論述式試験の審査対象外となり、

不合格となります。

 

2.第2次審査(研修・面接・資格審査)

選抜試験に合格すると、第2次審査に進むことができます。

 

まず、最初に行うのが研修です。

この研修は2週間程度、16科目についての講義や実習が行われます。

研修終了後、研修科目16科目についての筆記試験、樹種の識別に関する適正試験も行います。

 

研修科目16科目の筆記試験は、100点満点中60点以上が合格となります。

また、3科目以上の不合格科目がある場合には、不合格の判定がされます。

 

研修終了後の試験に合格すると、

樹木医としての適性等を図る面接試験が行われ、

最後に、研修試験と面接試験の結果に基づく資格審査をします。

 

これら、全ての審査をクリアすると、晴れて合格となります。

 

ただし、令和3年4月現在、感染症対策も相まって、第2次審査で行われる研修が

一部、WEB開催となる可能性もあります。現在、申込を考えている方は、ネット環境を整える準備が必要となることを確認してください。

 

ここまでの流れを図にするとこのようになります。

 

試験日程

令和3年度(2021年度)の日程を例に試験日程について、図で見ていきましょう。

 

今年度の研修に関しては、感染症対策に配慮し、研修が2回に分かれて実施されます。

感染症対策のため、今後も変更があるかもしれませんので、詳しい日程等については、

日本緑化センターをご確認ください・

 

受験料

受験料は、先ほども述べましたが、

第1次審査においては樹木医補に優遇措置が施されています。

 

第1次審査

18,000円

*樹木医補の場合、15,000円

 

第2次審査

110,000円

 

この他、交通費、宿泊費、テキスト代(8,500円+税)などが必要となります。

 

合格後

第2次審査に合格後、

樹木医登録をすることで、樹木医としての認定がされます。

 

樹木医と認定されると、「樹木医登録者名簿」に登録され、

林野庁や環境省といった省庁、都道府県や政令都市などの地方公共団体に名簿が送付されます。

 

また、2019年度以降に認定された樹木医の方は、登録を更新するよう義務付けがされています。

 

そのため、樹木医登録の有効期間が5年間となります。

また、この樹木医の登録更新にも条件があり、

5年間で樹木医CPD単位が100単位以上の取得が必要とされています。

 

樹木医CPDとは、樹木医自身の知識や技術、社会貢献などから評価されるものです。

 

そのため、合格後もCPDプログラムとして認定・登録がされている研修や講習等に参加したり、

自身の自己研鑽を継続的に行ったりすることで、単位を取得し、

登録更新する必要があります。

 

似た制度に造園CPDというものもありますが、

樹木医CPDは樹木医の専門性を高めること、個人の専門性を評価すること、

積極的な活動への期待など、が目的とされています。

出版社 ‏ : ‎ 日本緑化センター; 改訂4版 (2014/6/1)
、出典:出版社HP

 

樹木医の試験のまとめ

今回は、樹木医の試験について詳しく見ていきました。

自分が受験資格に該当するのか、研修期間に必ず参加できるのか、

日程や費用も余裕を持つことが重要です。

 

試験の難易度も決して高いわけではないようなので、

試験対策もしっかり行って、資格取得を目指しましょう。

 

また、試験合格後も、登録更新の際に評価が行われるので、

日々の活動や自己研鑽が必要になる資格でもあります。

 

自然環境に対する興味・関心が高く、

日々、努力を積み重ねることができる人が向いている資格かもしれません。