毒物及び劇物取締法で指定されている物質を含む製品を扱う場合、毒物劇物取扱責任者を設置しなければなりません。毒物劇物取扱責任者として従事するための資格を得る方法の一つに、同名の資格試験に合格することがあります。

今回は、毒物劇物取扱責任者を取得した場合の就職へのメリットについて詳しく見ていきたいと思います。

毒物劇物取扱責任者はどのように取得する?

毒物劇物取扱責任者は、毒物及び劇物取締法で指定されている物質を含む製品を製造、輸入、販売を行う場合に設置が義務付けられている役職です。毒物劇物取扱責任者には同名の資格試験があり、それに合格することで毒物劇物取扱責任者として従事する資格を得ることができます。

毒物劇物取扱責任者は、一般、農業用品目、特定品目の3つの区分に分かれています。一般区分では、全ての指定毒物及び劇物を取り扱うことができます。また、製造、輸入、販売の全てが許可されるのも一般区分のみとなっています。農業用品目では、厚生労働省令で指定された毒物及び劇物のみ、製品の種類も農業納品に限って取り扱いが可能となります。また、製造を行うことはできず、輸入、販売のみが許可されます。特定品目では、厚生労働省令で指定された特定品目のみの取り扱いが許可され、こちらも輸入、販売のみが可能となります。

毒物劇物取扱責任者の試験の特徴として、都道府県ごとに試験形式等が大きく異なるという点があります。以下には東京都の例を参考として載せますが、ご自分が受験される地域の情報をよく確認してください。

一般 農業用品目 特定品目
受験資格 なし
試験内容 筆記試験:「毒物及び劇物に関する法規」、「基礎化学」、「毒物及び劇物に性質及び貯蔵その他取扱い方法」

実地試験:「毒物及び劇物の識別及び取扱方法

試験時間 2時間 1時間30分
試験形式 四肢択一式
合格基準 筆記 50点以上(100点満点)、実地 50点以上(100点満点)

かつ

合計 120点以上(200点満点)

筆記 45点以上(90点満点)、実地 30点以上(60点満点)

かつ

合計 90点以上(150点満点)

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出典:出版社HP

毒物劇物取扱責任者の就職へのメリット

そもそも、毒物劇物取扱責任者の試験自体に受験資格はありませんが、以下に該当する方は毒物劇物取扱責任者に就けませんので注意してください。

• 18歳未満の方
• 心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
• 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
• 毒物若しくは劇物または薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者

また、薬剤師や、厚生労働省で指定した学校で、応用化学に関する学科を修了している場合は、すでに毒物劇物取扱責任者の資格を有していますので、受験前に一度該当するかどうか確認してみてください。

毒物劇物取扱責任者は、毒物や劇物を取り扱う企業では設置が義務付けられているため、化学メーカーへの就職の際にはアピールポイントとなるでしょう。主な仕事内容としては、工場などで使用されている毒物及び劇物の種類や量を把握し、適切に管理及び取り扱いを行うことになります。ただし、前述の通り学科によっては卒業するだけで要件を満たすため有資格者の数は多い上、責任者は各事業所に一人いれば問題ありません。そのため、この資格を持っているだけで就職が確実となるような資格ではないでしょう。

毒物劇物取扱責任者を社内で設定する場合には、既に就職している場合でも取得を求められる場合があります。試験自体の難易度はそこまで高くないですし、責任者になることで昇給の可能性もあるので、チャレンジしてみるのもおすすめです。

毒物劇物取扱責任者取得後におすすめの資格

 

毒物劇物取扱責任者の資格を取得した後、さらにキャリアを拡大するために取得を検討できる資格にはいくつかあります。ここでは、関連性が高く、キャリアに役立つ可能性のある資格をいくつか挙げてみます。

  1. 危険物取扱者: 毒物や劇物と同様に、危険物の取扱いに関する知識を深めることができます。工場や研究施設などでの安全管理の知識を広げるのに役立ちます。燃焼性の高いガソリン等の石油類、金属粉等の物質は、消防法によって危険物として定められています。これらの危険物を一定量以上取り扱う場合に必要となる国家資格が危険物取扱者です。また、ガソリンスタンドなど、資格非所有者が危険物を取り扱う場合にも資格所有者の立ち会いが必要となります。このように日常生活でも必要とされる場合があるので、需要の高い資格です。
  2. 薬剤師: 医薬品に関する専門的な知識を持つ薬剤師は、毒物や劇物に関する深い知識を持っていることが期待されます。薬剤師としての資格は、医療業界や研究分野でのキャリアを拓くのに役立つでしょう。
  3. 環境管理士: 毒物や劇物の取扱いにおける環境への影響を理解し、環境保全に対する専門的な知識を身につけることができます。
  4. 化学分析技術者: 化学物質の分析に関する専門技術を身につけることで、研究所や分析センターでのキャリアが可能になります。
  5. 品質管理(QC)・品質保証(QA)の資格: 製品の安全性と品質を保証するための知識や技術が学べます。製造業などでのキャリアに役立ちます。

これらの資格は、毒物劇物取扱責任者としての基礎知識を活かしつつ、さらに専門性を深め、多様な職業領域への道を開くことができるでしょう。

 

毒物劇物取扱責任者の就職に関するまとめ

今回は、毒物劇物取扱責任者の就職に対するメリットについてまとめてきました。

毒物劇物取扱責任者は、化学メーカー等へ就職する場合にはアピールポイントとなる資格です。もし就職を考えている場合には、資格習得を目指してみてはいかがでしょうか。

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出典:出版社HP