消防法で定められている、ガソリン等の石油類、金属粉等の燃焼性の高い物質を危険物と呼びます。これらの取り扱いや、その立ち会い時に必要となる国家資格が危険物取扱者です。

今回は、危険物取扱者の難易度について詳しく見ていきたいと思います。

燃焼性の高い物質は、消防法によって危険物として定められています。これらの危険物を一定量以上取り扱う場合に必要となる国家資格が危険物取扱者です。また、ガソリンスタンドなど、資格非所有者が危険物を取り扱う場合にも資格所有者の立ち会いが必要となります。このように、日常生活内でも必要とされる場面があるため、需要の高い資格です。

危険物取扱者資格の概要

危険物取扱者は、取り扱いが可能となる危険物の種類によって甲種、乙種、丙種の3つに分けられています。
甲種は、危険物取扱者の中で最も取り扱える危険物の幅が広く、取得によって全ての危険物の取り扱い及び立ち会いが可能となります。ただし、甲種にのみ、学歴もしくは乙種の合格歴等の受験資格が設けられていますので、受験の際には注意してください。

乙種は、さらに第1類〜第6類に分けられ、それぞれ取り扱い及び立ち会いができる危険物が異なります。中でも、危険物取扱者を通してダントツで人気なのが、乙4と呼ばれる乙種 第4類です。乙4は、ガソリン等の引火性液体の取り扱いを可能とし、その有用性から需要が高く、人気も高くなっています。

丙種は、乙4からさらに取り扱える危険物の種類を絞ったものになります。丙種では、ガソリン、灯油、軽油、重油等の取り扱いのみが可能となり、立ち会い資格はありません。危険物取扱者の受験が初めてで、乙種だとちょっとレベルが高いと感じる方向けの資格です。

免状の種類 取扱いのできる危険物
甲種 全種類の危険物
乙種 第1類 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機化酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体
第2類 硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体
第3類 カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんなどの自然発火性物質及び禁水性物質
第4類 ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物性油類などの引火性液体
第5類 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンなどの自己反応性物質
第6類 過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体
丙種 ガソリン、灯油、軽油、重油など
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出典:出版社HP

危険物取扱者の難易度

危険物取扱者の難易度は、甲種が一番高く、丙種が一番易しくなっています。
甲種では、「危険物に関する法令」15問、「物理学及び化学」10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」20問で出題され、試験時間は150分間です。試験形式は全て五肢択一式ですが、試験範囲が広く、問題難易度も高いため、合格率は30%程度と比較的低くなっています。受験資格が設けられ、ある程度化学の知識がある方が受験されているにもかかわらず3人に1人程度しか合格できないと考えると、比較的難易度の高い試験であると言えます。ある程度まとまった学習期間が必要となり、目安としては2〜4ヶ月とされています。

乙種の試験は、「危険物に関する法令」15問、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」10問から構成され、試験時間は120分間です。試験形式は甲種と同じく五肢択一式です。合格率は分類によって大きく開きがあり、第4類では30〜40%程度であるのに対して、その他の類では約60%となっています。これは、受験者数の多さが影響していると考えられます。乙4の受験者の中には、会社や学校によって受験させられている例もあり、受験者のレベルとしては他の類と比べて高くありません。そのため、合格率が低くなる傾向が見られます。乙4だけ試験の難易度が高いということはありませんので、しっかりと勉強していけば合格も難しくないと思います。学習期間の目安としては2〜3ヶ月程度です。

丙種は、「危険物に関する法令」10問、「燃焼及び消火に関する基礎知識」5問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」10問で出題されます。試験時間は75分間、試験形式は四肢択一式です。問題数が少なく、内容も基礎的なものが多いので、危険物取扱者の受験が初めてで、物理や化学分野に自信がない方にはおすすめです。学習期間の目安は、1〜2ヶ月程度と言われています。

危険物取扱者を取得すると

危険物取扱者を取得するメリットとしてはどんなものがあるのでしょうか。
主なメリットとしては、資格手当等の昇給対象になるということが挙げられます。例えば、乙種 第4類を取得している場合、ガソリンスタンドのアルバイトでも時給が上がる場合があります。

また、職種によっては危険物取扱者の資格を所有していないと就けないものもあるため、就職で有利になるケースもあります。タンクローリーの運転手がその例に当たり、運転手もしくは同乗者が資格を取得している必要があります。他にも、工場等で危険物を扱う石油や化学メーカー等への就職の際にもアピールポイントとなるでしょう。

昇給の場合であっても就職の場合であっても、丙種より立ち会い資格のある乙種、乙種より扱える危険物の幅が広い甲種が重宝されます。難易度はその分高くなってしまいますが、スキルアップのためにより高いレベルに挑戦してみても良いでしょう。

危険物取扱者の難易度まとめ

今回は、危険物取扱者の難易度についてまとめてきました。

危険物取扱者では、乙種レベルであればそこまで難易度も高くなく、独学での合格も十分可能なレベルです。甲種は多少難しくなりますが、その分得られるメリットも大きいですので、挑戦してみるのもおすすめです。是非自分に合ったレベルで受験してみてください。

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出典:出版社HP