臨床心理士とは問題をかかえたクライエントと信頼関係を築きながら、クライエントに寄り添い、専門的な心理療法を用いて心の問題の解決に努める仕事です。クライエントの些細な変化にも気づく必要があり鋭い観察力やコミュニケーション能力などが求められます。臨床心理学に興味があり臨床心理士になりたいと思っている方もいると思います。

では臨床心理士になるためには試験などを受けなければならないのでしょうか。今回は臨床心理士になる方法についてご紹介していきたいと思います。

臨床心理士のなり方

受験資格

臨床心理士になるためには日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格する必要があります。しかしこの試験には受験資格があり誰でも受験できると言うわけではありません。
その受験資格というものが以下のいずれかを満たさなければならないのです。

・指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を満たしている者
・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
・医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者

また臨床心理学部がある大学に合格するより大学院へ進学する方が難易度は高めです。そのため、おすすめは臨床心理学がある大学に進学することです。

試験について

受験資格を取得した後は試験に合格する必要があります。
試験は一次試験と二次試験に分かれていて一次試験が筆記、二次試験が面接となっています。それぞれについて簡単に説明していきたいと思います。

一次試験

一次試験は、100題のマークシートによる2時間半の「多肢選択方式試験」と、決められた字数の範囲内で論述する1時間半の「論文記述試験」の2種類が実施されます。多肢選択方式試験の出題内容としては、心理学の基礎的知識の他、臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域援助・それらの研究調査という臨床心理士の4つの基本業務に関する基礎的・基本的な専門知識があります。

また臨床心理士としての基本的な姿勢や態度などもきかれます。論文記述試験は1時間半で実施されます。心理臨床ついてのテーマが1つ出題され、それに対して小論文で回答します。一次試験で落ちてしまうと二次試験の受験資格が与えられません。そのためしっかりと対策をしていく必要があります。

二次試験

二次試験は2人の面接委員による「口述面接試験」となっています。もちろん専門知識や技術についても聞かれますが臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、専門家として最低限備えておくべき人間関係能力があるかどうかチェックされています。一次試験、2次試験含め最終的な合格率は60〜65%でありそこまで難易度の高い試験ではないと言えるでしょう。

ランキングも確認する
出典:出版社HP

資格の更新

臨床心理士は試験に合格したからといって永久的に資格が手に入るわけではありません。5年ごとに資格の更新が義務付けられているのです。資格の更新方法としては臨床心理研修会など日本臨床心理士資格認定協会が主催する研修会などに参加したり、一般社団法人日本臨床心理士会や都道府県単位の臨床心理士会が主催する研修会への参加、日本臨床心理士資格認定協会が認める関連学会における諸活動の参加があります。

詳しくは公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会のホームページをご参照ください。

資格更新制度を設けることで心理臨床の質を維持・向上することができると考えられます。

やりがい

臨床心理士が向き合うクライエントは小さな子どもから高齢者までとさまざまな年代の方です。そのようなクライエントの中には複雑な事情を持っていて心の問題を解決するために多くの時間を必要とする方もいると思います。しかしサポートしていくうちに少しでも回復の余地が見られると非常にやりがいを感じられるようです。人の役に立つということを感じられる瞬間は臨床心理士にとって喜びを感じられる瞬間とも言えます。

臨床心理士になる方法まとめ

臨床心理士になる方法についてご理解いただけたでしょうか。臨床心理士の試験は範囲も広く、効率よく知識を習得していかなければいけません。また受験資格も一般的な資格と比較するとハードルが高めに設定されているため目指したいならば準備が必要になります。また更新の必要であり生涯資格ではありません。

しかし臨床心理士はクライエントの力になることができやりがいのある仕事であるとも言えます。毎日勉強時間をし、継続して学習し続けていくことが臨床心理士になる1番の近道であるとも言えるのではないでしょうか。

ランキングも確認する
出典:出版社HP