作業療法士の概要

作業療法士はリハビリテーション職の一つです。厚生労働大臣の免許を受けて、医師の指示の下に「作業療法」を行います。具体的には「指を動かす・食事をする・入浴する」など、日常生活を送る上で必要な機能回復をサポートします。では作業療法とはそもそもどういうものなのでしょうか。

作業療法について

理学療法士及び作業療法士法において、身体又は精神の障害に対し、応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作、(折り紙、木工、陶芸、編み物など)、芸術(音楽、絵画、塗り絵、書道、俳句など)、遊び(トランプ、将棋、リバーシ、パズルなど)やスポーツ(散歩、体操、ゲートボール、ダンスなど)などの「創作活動やレクリエーション」、日常動作(食事、料理、掃除、読書など)である「生活活動」などの「行為(作業)」を行わせることを作業療法の定義としています。

治療目的

作業療法士は、リハビリテーションの現場において、心身に障害を持つ人々が、日常生活や社会生活を送れるように心身機能の回復をサポートします。作業療法の目的として大きく分けて4つあります。

【心身の機能の改善】
運動機能や知覚機能、感覚機能を改善させることで、日常生活に必要な運動能力を高めます。それによって基本的動作能力を回復させます。

【認知能力の改善】
時間や物の把握、周囲の状況認識や動作の手順など、日常生活に必要な認知能力を高めます。また、患者さんが知的障害者の場合は、レクリエーションなどを通して、感情表現の発達も同時に促します。

【生活技能の向上】
食事、着替え、入浴や洗顔、トイレなど身辺動作や家事動作など、日常生活をおくる上患者さんが必要とする動作の訓練をします。具体的には自分で食べる練習や自力でトイレを使う練習をします。また、手工芸や楽器演奏など少し高度な作業による機能の向上も行います。

【社会技能の向上】
実際の活動を通じて、社会へ適応し患者さんがより豊かに生きられるようにサポートします。具体的には地域コミュニティへの参加の支援や実際の仕事場に近い環境での就労支援などを行い、自立生活や職場復帰を目指します。

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出典:出版社HP

仕事内容

作業療法士の主な仕事は、患者さんの回復段階に合わせて異なります。回復段階は「急性期」「回復期」「維持期」の3つに分かれています。それぞれどのように患者さんをサポートしていくのかみていきましょう。

急性期

そもそも急性期とは、病気の発症や事故・手術から数日〜約1カ月の期間のことを指しています。病気や怪我の初期段階からリハビリテーションを開始します。そうすることでこころと体の基本的な機能の改善をサポートし新たな機能の低下の予防につながります。急性期のリハビリでは手足などを動かすことによって、心身の機能が低下を予防するものがメインとなります。そのため、作業療法士は理学療法士と協力しながら、まずは患者さんがベッドから起き上がれるようにサポートします。さらに全身管理も必要なため、医師や看護師と連携を取りながら、慎重にリハビリを進めていくことが重要です。ベット起き上がれるようなったら、患者さんの状態に合わせて食事、排泄の訓練をします。

回復期

回復期とは急性期の作業療法を経て、最も回復が見込まれる時期のことです。病気の状態が安定したらより具体的な生活をイメージして心身の機能の維持・回復に向けたリハビリを行います。具体的には手足の麻痺のケースは、器具などを使って身体を動かす練習をしたり、基本的な動作ができた患者さんにおいては退院後の生活のために、食事・入浴・着替えなどより多くの生活動作を身につけられるような訓練を行います。つまり生活していくために必要な能力の開発や手段の獲得を通じてその人なりの生活方法を考え習得するサポートを行います。

維持期

維持期とは病気の発症から半年ほど経ち、回復のスピードがゆるやかになる時期のことです。維持期のリハビリは、生活の質の向上がメインです。リハビリを通して生きがいをみつけ豊かに生きられるように支援します。また、散歩など日常の基本動作の練習に加え、一緒にものを作ったりレクリエーションをするなど患者さん同士の交流も大切にしながら、社会に適応できるコミュニケーション力を養っていきます。その人にあったより生活しやすい環境づくりしていきます。

作業療法士の内容のまとめ

作業療法士の仕事や目的について理解していただけたでしょうか。作業療法士はその人なりのその人らしい生活を作業を通じて作っていく私たちの生活には欠かせない存在です。みなさんも作業療法士という職業に興味を持ってみてはいかがでしょうか。

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出典:出版社HP