司法試験法務・法律資格・検定

司法試験とは、弁護士、裁判官、検察官という法律の専門家(法曹三者)を目指す人が必要な学識、その応用力を有するかどうかを判定する国家試験です。

司法試験というと誰もが聞いたことのある試験ではないでしょうか?
文系最難関、国家試験の中でもとても難易度の高い試験と言われています。

司法試験について聞いたことはあっても、その内容について詳しく知らないという人も多いはず。
この記事では、司法試験とはいったいどんな試験なのか、その内容について紹介していきます。

司法試験とは?試験の概要について

受験資格

司法試験は現在、誰もが受験することができる試験ではなく、受験資格があります。
司法試験の受験資格は、法科大学院(ロースクールとも呼ばれます)を修了するか、司法試験予備試験という試験に合格することの2つがあります。

予備試験は受験資格がなく誰でも受験することができる試験で、法科大学院よりも時間や費用がかからないという点でメリットはありますが、最終合格率が4%とかなり合格率が低く、難易度がとても高い試験となっています。

ちなみに、受験資格は5年間有効です。受験資格取得後5年間は毎年受験することができます(平成26年までは5年で3回までという受験回数の制限がありました)。

この2つの受験資格については別の記事で詳しく紹介しているので、司法試験の受験資格について気になる方はこちらをご覧ください。
「司法試験 受験資格」の記事のリンク

出願から合格発表までの流れ

司法試験は毎年1回、例年5月中旬に実施されます。
(令和2年度の試験は、新型コロナウイルスの影響で8月に実施されました。)

例年の試験スケジュールを、公表されている令和4年度の試験を参考に見ていきましょう。

令和3年

11月8日

試験公告
11月8日〜12月1日 願書交付
11月17日〜12月1日 願書受付
令和4年

5月11日〜15日

試験実施
6月2日 短答式試験成績発表
9月6日 合格発表

例年、これと大きく変わることはなく、5月に試験があり、その約半年前に出願、9月に合格発表という流れとなっています。

試験内容

司法試験には、短答式試験と論文式試験の2種類の試験があります(昔の司法試験や予備試験にあるような口述試験は、司法試験では実施されません)。

短答式はマークシート式、論文式は筆記試験で実施されます。
先に短答式が実施されるなどのように日程が分かれているわけではなく、同一の日程で論文式も短答式も一気に受験します。試験日程について詳しくはこの後に紹介します。

短答式の科目は次の3科目です。
・憲法
・民法
・刑法

論文式の科目は全部で次の8科目です。
・公法系科目:憲法、行政法
・民事系科目:民法、商法、民事訴訟法
・刑事系科目:刑法、刑事訴訟法
・選択科目:倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の8科目の中から1科目を選択

このように科目数が多いのはもちろんですが、各科目で勉強すべき内容、範囲もかなり広いため、全体的な勉強量は膨大です。

試験日程

試験は例年、5月中旬の水曜から日曜の計5日間にわたって行われます。

令和4年度の試験日程は次の通りです。

5月11日(水) 論文式試験 選択科目(3時間)

公法系科目第1問(憲法)(2時間)

公法系科目第2問(行政法)(2時間)

5月12日(木) 民事系科目第1問(民法)(2時間)

民事系科目第2問(商法)(2時間)

民事系科目第3問(民訴法)(2時間)

5月13日(金) 休み
5月14日(土) 論文式試験 刑事系科目第1問(刑法)(2時間)

刑事系科目第2問(刑訴法)(2時間)

5月15日(日) 短答式試験 民法(75分)

憲法(50分)

刑法(50分)

このように、試験実施日は計4日間にもわたる長丁場で、しかも1科目2時間の試験を1日に2〜3科目受験するので、特に前半2日間は、朝から日が暮れるまで試験を受けることになります。
かなり体力的にも精神的にもハードな試験です。

合格基準

まず、短答式試験で合格点を取る必要があります。この合格点は例年変動しますが、参考として、令和3年度は99点(満点175点)でした。

なお、短答式では、各科目で満点の4割以上の得点(憲法20点、民法30点、刑法20点)を取る必要があります。1科目でもこの点数未満だと不合格になります。

短答式で合格に必要な点数を取った人だけが論文式の採点対象になり、短答式と論文式の成績を総合して合否が判定されます。
最終的な合格点は一応公表されていますが、その年の受験者の状況などにより合格点は変動するので、あまり参考にはなりません。
合格者数が毎年1,500人程であるというのは変わらないので、合格するためには、相対評価の中で総合成績が上位約1,500人の中に入ることが必要になってきます。

なお、論文式でも短答式と同様、合格に必要な最低得点があります。各科目で素点の25%点(公法系科目50点、民事系科目75点、刑事系科目50点、選択科目25点)が必要です。

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出典:出版社HP

合格率

司法試験の合格率はだいたい20~30%程度です。
近年は受験者数が減少しているのに伴い、合格率も増加傾向にあり、令和3年度では合格率が40%を超えました。

以下は直近10年分の合格者数、合格率のデータです。

受験者数 短答合格者数 合格者数 合格率
平成24年 8,387人 5,339人 2,102人 25.1%
平成25年 7,653人 5,259人 2,049人 26.8%
平成26年 8,015人 5,080人 1,810人 22.6%
平成27年 8,016人 5,308人 1,850人 23.1%
平成28年 6,899人 4,621人 1,583人 22.9%
平成29年 5,967人 3,937人 1,543人 25.9%
平成30年 5,238人 3,669人 1,525人 29.1%
令和元年 4,466人 3,287人 1,502人 33.6%
令和2年 3,703人 2,793人 1,450人 39.2%
令和3年 3,424人 2,672人 1,421人 41.5%

司法試験の難易度、合格率については別の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はぜひこちらをご覧ください。
「司法試験 難易度 合格率」の記事のリンク

受験費用

受験手数料として28,000円が必要です。

試験合格後

司法試験に合格した人の多くは司法修習に進みます。裁判所、検察庁、法律事務所などで約1年間の修習を行い、弁護士、裁判官、検察官になります。
もっとも、司法試験合格者の進路はこれに限られません。企業や自治体に勤める人、企業内弁護士として企業に勤める人など、その進路は様々です。

司法試験合格後の進路については別の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はぜひこちらをご覧ください。
「司法試験 合格後」の記事のリンク

司法試験の概要まとめ

ここまで、司法試験の内容について紹介してきました。司法試験についてあまり知らなかったという人も、司法試験とはどのような試験であるか、全体像をイメージできたのではないでしょうか。
司法試験に興味のある方、これから司法試験を目指そうと思っている方はぜひ参考にしてみてください。

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出典:出版社HP