近年、スマート化が進んでいる住まいや暮らしに関するスペシャリストのことを、「スマートマスター」と呼びます。スマートハウスのプロフェッショナルとして働くには、「スマートマスター」という資格の取得が必要となります。

 

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スマートマスターの資格難易度や試験概要は、一体どのようなものなのでしょうか。

 

本記事では、スマートマスターに合格するためにおすすめの参考書を詳しくご紹介していきます。

 

スマートマスターの概要

スマートマスターとは、スマートハウスのスペシャリストのことを意味します。住宅に関する知識だけでなく、家電製品やエネルギーマネジメントに関する技術や商品の動向を理解し、横断的な知識を使って消費者のニーズに合ったスマートハウスの構築を支援します。一般財団法人である家電製品協会が実施している資格試験です。

 

スマートハウスの基礎 スマートハウスを支える機器・技術の基礎
試験時間 55分
問題数 15問 200点満点
合格基準 70%以上
試験方式 CBT
受験料 2科目9,400円(1科目6,200円)

 

スマートマスターは「スマートハウスの基礎」「スマートハウスを支える機器・技術の基礎」という2科目の試験で構成されています。こちらの2科目をどちらとも合格することによって、スマートマスターという資格の認定がされます。

 

スマート基礎ではスマートハウス概論からスマートハウスコア知識、スマートハウスを支える機器・技術の基礎ではスマートハウスを構成する各種機器やサービスおよびCS関連法規についての理解度が問われます。

 

受験資格は特になく、どなたでも受験することが可能です。試験日程は、原則毎年3月と9月に実施されています。

 

またいずれかの科目合格者に関しては、その後の2回(1年以内)の受験時に、合格した科目の試験が免除されます。

 

同団体が運営している家電製品総合アドバイザーあるいは家電製品総合エンジニアの資格保有者に関しては、「スマートハウスを支える基礎・技術の基礎」の試験が免除されます。さらに、「AV情報家電」「生活家電」の両資格を保有している場合にも「スマートハウスを支える基礎・技術の基礎」が免除されます。

 

スマートマスターの資格の有効期間は、5年間となっています。

 

スマートマスターの対策ポイント

スマートマスターの合格率は、30%ほどです。合格率を見る限りやや難しい資格であるように思えますが、しっかりと勉強することで合格は望めます。勉強期間の目安は、2か月ほどです。

 

スマートマスターに合格するための対策ポイントを見ていきましょう。

 

まずは、参考書を購入しましょう。最初の1か月で参考書を1~2周しましょう。

 

テキストでの学習が終わり次第、過去問題集で演習を繰り返しましょう。類題が出題されることが多いため、過去問演習は試験対策として非常に役立ちます。1か月で参考書を用いてインプットし、残りの1か月で演習をしながらアウトプットするというやり方がおすすめです。

 

スマートマスターのおすすめ参考書 – 合格体験記からも

それでは、スマートマスターを独学する上でおすすめ参考書・問題集3選を紹介します。

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1.スマートマスタースマート化する住まいと暮らしのスペシャリスト

 

スマートマスターの公式テキストです。スマートマスターを取得する上で必要な「スマートハウスの基礎」と「スマートハウスを支える機器・技術の基礎」の2科目の内容が収載されています。具体的な事例や最新情報も扱われているため、実務に役立つ知識が身に付く参考書です。

 

2.スマートマスター資格問題&解説集

 

スマートマスターの公式の問題集です。2科目各15問、全30問に関しての解答のポイントが丁寧に解説されています。スマートマスター資格試験の問題の傾向を掴むことができるため、試験対策の総仕上げにおすすめの1冊です。

 

3.家電製品教科書 スマートマスター テキスト&問題集 スマートハウスと家電のスペシャリスト

 

テキストと問題集が一体となっているため、スマートマスターの最短合格が目指せる試験対策書です。出題傾向に沿って試験に問われるポイントがわかりやすく解説されているため、効率よく学習を進めることができます。合格に必要な知識が確実に身に付く1冊です。

 

公式のテキストが「1」、公式の問題集が「2」となっています。1と2の併用がおすすめですが、1冊で試験対策をしたいとお考えの方には「3」がおすすめです。

 

スマートマスターのおすすめ参考書のまとめ

ここでは、スマートマスターの合格を目指す上でおすすめの参考書・問題集3選を解説してきました。

 

スマートハウス関連のビジネスに携わっている方だけでなく、エネルギーや住宅関連の業界を志望している学生の方も、ぜひ取得に向けた勉強を始めてみてはいかがでしょうか。

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1章スマートハウス概論

総論

1.1“スマート”を求める背景

1.エネルギー問題に端を発する “スマート”

 

(1)日本のエネルギー事情

日本は、エネルギー源の中心となっている化石燃料の多くを輸入に依存せざるを得ないという、基本的な問題を抱え続けている。この問題は、「石油価格の制御不能な変動による産業「競争力への影響」ばかりでなく、輸出国地域における紛争などにより、万が一、日本への石油搬送が停滞すると、日本の産業活動や国民の生命にまで影響が及ぶ深刻なものであるとの認識が必要である。このような基本認識の下、政府は、2002年6月に「エネルギー政策基本法」を制定し長期的・総合的かつ計画的にエネルギー政策を推進している。

政府は、2003年10月に策定した「第一次エネルギー基本計画」以降、ほぼ3年おきに同計画を見直し、「第三次エネルギー基本計画」を策定した2010年度には、全エネルギー源に占める化石燃料の比率を62%にまで低減するに至った。この水準は、1973年に惹起した石油危機当時の数値(76%)に比べて、さらに2割近い低減に成功していることを示している。もちろん、その背景には、その間の原子力発電の台頭があることは説明するまでもない。

 

(2)エネルギーに関する認識を一変させた東日本大震災と福島原発事故

大きな変換点となったのは、2011年3月に発生した東日本大震災および福島原子力発電所の事故である。エネルギー自給率改善の流れは一変し、再び化石燃料を主体とするエネルギー源構成を余儀なくされている。2012年度の化石燃料の構成比は、前述の石油危機当時の数値を上回る88%に達しており、国家・国民にとって喫緊の課題となっている。さらにこの出来事は、地球温暖化防止の世界的取り組み(気候変動枠組条約締約国会議)における

 

 

わが国の位置づけにも大きな影響を及ぼしている。

このような未曾有の状況下で、さらに長期的視点に立ち、かつ国を挙げて総合的で実効ある計画として策定されたものが、電力システム改革など将来にわたる重要な方針を盛り込んだ第四次エネルギー基本計画(2014年4月決定。以下、「第四次基本計画」という)である。

 

(3)現在のエネルギー政策はどうなっているのか?

第四次基本計画は、現下の地域紛争状態や化石燃料価格の変動を前提とし、次のような総合的観点でエネルギー政策の抜本的な再構築を目指している。その中に、スマートコミュニティやスマートハウスといった“スマート”をコンセプトとした消費段階におけるエネルギー政策が明確にうたわれている。

<第四次基本計画の要点(要約)>

1.エネルギーミックス(種別・地域)によるエネルギー資源の安定確保

2.エネルギー消費の低減

3.電力システム改革によるエネルギーの効率的・弾力的な運用の確立

具体的推進論として「スマートコミュニティ・スマートハウス」、「スマートグリッド・スマートメーター」などの“スマート”が並ぶ

4.再生可能エネルギーの活用促進

5.化石燃料の効率的活用(高効率火力発電等)と水素社会へのアプローチ等

つまり、スマート冠の現代的名称の背景には、国としての不退転のエネルギー政策があり、この計画は全産業が一丸となって取り組むべき日本の産業としての道標であるとの認識が必要である。

 

 

一口メモ

1973

1973年度

2015年度

業務部門2.4倍各部門の省エネの取り組み

建築物の省エネ化BEMSによる見える化・エネルギーマネジメント

家庭部門・1.9倍住宅の省エネ化HEMSによる見える化エネルギーマネジメント

運輸部門・1.7倍次世代自動車の普及、燃費改善交通流対策・自動運転の実現

エネルギー消費全体1.2倍

産業部門0.8倍低炭素社会実行計画の推進工場のエネルギーマネジメントの徹底

オイルショック時と比較すると、実質GDPが2.6倍に増加する中 で、エネルギー消費の増加は1.2倍にとどまっており、これは省エネが進んできた結果である。ただし、業務部門や家庭部門のエネルギー消費量は増加してお り、省エネの取り組みを進めていくことが必要である。

HEMS: Home Energy Management System BEMS Building Energy Management System

出典:経済産業省資源エネルギー庁日本のエネルギー2017

図1-Aわが国の最終エネルギー消費量の変化率

 

 

(4)さらに高度で具体化を進める「エネルギー革新戦略」と

第四次基本計画を補完する「第五次基本計画」

2016年4月、省エネ、再エネをはじめとする関連制度を一体的に整備する目的で「エネルギー革新戦略」が策定された。図1-2は、エネルギー革新戦略におけるスマートハウス関連施策の要点(抜粋)である。

 

<狙い>

○エネルギーミックスでは、①徹底した省エネ(=石油危機後並みの35%効率改善)、②再エネ最大導入(=現状から倍増)等野心的な目標を設定。

○これを実現するためには、市場任せではなく、総合的な政策措置が不可欠。関連制度の一体的整備を行うため、「エネルギー革新 戦略」を策定。エネルギー投資を促し、エネルギー効率を大きく改善する。⇒これにより、強い経済とCO2抑制の両立を実現。○本戦略の実行により、2030年度には、省エネや再エネなどのエネルギー関連投資28兆円、うち水素関連1兆円の効果が期待。

 

徹底した省エネ

全産業への産業トップランナー制度の拡大と中小企業住宅・運輸における省エネ強化

<産業>

○産業トップランナー制度を流通・サービス業に導入し、今後3年で全産業の7割に拡大

→第1弾としてコンビニで制度の運用開始

今年度中にホテル等を対象追加の検討WG立ち上げ

○中小企業の省エネ支援(設備投資、相談窓口)

→27補正、28当初予算で約1000億円措置

<住宅>

○新築過半数ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化(2020年まで)蓄電池を活用した既築ZEH化改修も検討

○リフォーム市場活性化の中で、省エネリフォーム倍増2020年まで)27補正で100億円措置

○白熱灯を含む照明機器のトップランナー化(2016年度)→WGを立ち上げ、検討を開始

<運輸>

○次世代自動車の初期需要創出、自動走行実現等

<国民運動>

○関係省庁一丸となった省エネ国民運動の抜本強化

 

国民負担抑制と最大限導入の両立

<FIT法改正>

○コスト効率的、リードタイム長い電源の導入拡大

○FIT電気買取後は原則として市場取引を行う->今常会に提出・審議

<系統制約解消>

○計画的な広域系統整備・運用ルール整備→地域間連系線の運用ルールの見直し

<規制改革>

○環境アセスメント手続き期間の半減

規模要件や参考項目の見直しの検討開始

<研究開発>

○世界最大の7MW浮体式洋上風力の運転開始(2015年12月)

<各府省庁連携プロジェクト>不能な変動 ○再エネ閣僚会議(2016年3月)を受け、各府省庁連携プロジェクト推進

 

電力分野の新規参入とCO2排出抑制の両立

業界の自主的枠組み>

○電力業界の自主的枠組み

→電気事業低炭素社会協議会立ち上げ

(販売電力量99%をカバー<後押しする制度整備>

○省エネ法(発電効率向上)

○高度化法(販売電力低炭素化)

○透明性担保措置

→高度化法・省エネ法の告示改正

→国内ガス流通インフラ整備等(LNG 天然ガス市場の育成発展)

 

再エネ・省エネ融合型エネルギーシステムの立ち上げ

<産学連携の場の創設>

○エネルギー・リソース・アグリゲーションビジネス・フォーラムを設置(2016年1月)

(民間企業約50社参加)

アクションプランの実施(2016年度中)>

○エネルギー機器の通信規格の整備

○ネガワット取引市場創設

(2017年中)のルール策定

○新たな計量ルールの整理→専門検討WG等で検討開始

 

地産地消型エネルギーシステムの構築

○地域資源や熱の有効利用、高度なエネルギーマネジメント等の地域の先導的な取組を支援

○特に、自治体主導プロジェクトを関係省庁連携で重点支援

出典:経済産業省

図1-2エネルギー革新戦略(概要)

 

第五次エネルギー基本計画

一口メモ

2014年4月に策定された第四次エネルギー基本計画から約4年が経過し、現在政府では第五次エネルギー基本計画策定に着手している(2018年3月現在)。第四次エネルギー基本計画の基調を踏襲しつつ、これまで推進してきた再生可能エネルギーの活用をさらに進めるとともに、スマートハウス領域に関しても、これまで以上にエネルギー効率を高めるための技術革新や、再生可能エネルギーの活用拡大としての自家消費率向上などを狙った施策が進められると考えられる。

 

2.“さらなるスマート”を求めて

政府は、中長期的なエネルギー政策として2030年度をひとつのターゲットとし、2013年度比で原油換算5,030万k1程度の削減を目指している(図1-3参照)。これは大幅なエネルギー消費効率改善を果たした石油危機並みの35%の改善が必要となる。1990年から2010年が約10%改善であったことからも非常に高い目標といえる。その内訳を見ると(図1-4参照)、家庭部門においては、約2割(1160万k1削減) を占めており、家庭部門だけで見ると、2030年には、2013年比で約27%の最終エネルギー削減が目標になっている。

その舞台が家(住まい)であるが、27%という高い削減目標を達成するためには、従来の方法だけでなく、住まいそのものの“パラダイムチェンジ(規範の変革)”が必要である。そして、この新しいパラダイムが「スマートハウス」である。

 

・2030年度に最終エネルギー需要を対策前比で原油換算5,030万kl程度削減(▲13%)

・オイルショック後並みのエネルギー消費効率(最終エネルギー消費量/実質GDP)の改善(35%)が必要

エネルギーミックスにおける最終エネルギー需要

 

エネルギー消費効率の改善

1970年、1990年、2012年のエネルギー消費効率を100とする出典:経済産業省資源エネルギー庁

図1-3エネルギーミックス(長期エネルギー需給見通し)における省エネ対策

全体<省エネ量▲5,030万kl>

2015年度時点で△6.0百万k1(進捗率:11.8%)

産業部門<省エネ量1.042万kl>

2015年度時点で▲119万kl(進捗率11.5%)

主な対策

LED等の導入[33.0万kl/108.0万k1(30.6%)]

・産業用ヒートポンプの導入[3.1万kl/87.9万kl(3.5%)]

・産業用モーターの導入[4.0万kl/166.0万kl(2.4%)]

・FEMSの活用等によるエネルギー管理の実施

[6.2万kl/67.2万k1(9.2%)]

 

業務部門<省エネ量1.226万kl>

2015年度時点で▲126万k1(進捗率10.3%)主な対策1/228.075kl(21.4%)

・LED等の導入[49.0万kl/228.0万kl(21.4%)]トップランナー制度等による機器の省エネ性能向上[25.0万k1/278.4万k1(9.0%)]

・BEMSの活用等によるエネルギー管理の実施

[29.5万kl/235.3万kl(12.5%)]

 

家庭部門<省エネ量1.160百万kl>

2015年度時点で▲111万k1(進捗率:9.5%)主な対策

・LED等の導入[60.0万kl/201.1万k1(29.8%)]

・トップランナー制度による機器の省エネ性能向上[10.8万kl/133.5万k1(8.1%)]

・HEMSの活用等によるエネルギー管理の実施 [0.7kl/178.3万kl(0.4%)]

 

運輸部門省エネ量1,607百万kl>

2015年度時点で▲241万k1(進捗率15.0%)

主な対策

・次世代自動車の普及[59.1万kl/938.9万k (6.3%)]

・その他の運輸部門対策

[181.5万kl/668.2万kl(22.0%)]

(内訳)

貨物輸送[74.4万kl/337.6万kl(22.0%)]

旅客輸送[107.1万kl/330.5万kl(32.4%)]

出典:経済産業省資源エネルギー庁

図1-4エネルギーミックスの省エネ対策の進捗状況

 

3.さまざまな可能性を秘めたスマートハウス

それではこれからの住宅はどのように変化していくのだろうか。ひとつの“家(家庭)”を単位として、建築物としての省エネ性を高め、そこに、エネルギーを創り、蓄え、省く機能、すなわち「エネルギーの創蓄・省」を実現するというひとつのパラダイムが出来上がっていく。その具体的な目標が「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH:Zero Energy House)」である(ZEHについては、「スマートハウスのコア知識1章省エネ住宅、目指すはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」にて詳説する)。また、家を取り巻く“街”や“電力などのインフラ”の変化にも注目する必要がある(図1-5 参照)。前述のとおり、第四次基本計画で は、電力システム改革に取り組み、これまで市場ごとの縦割り型産業構造の中で構築されてきまた電力供給市場に市場競争原理を導入するとともに、個々の家庭との連携により、合理的に電力消費を抑制する仕組み「ディマンドリスポンス」が盛り込まれている。

ディマンドリスポンス(Demand Response):需要家エネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備など)の保有者、もしくは第三者がその需要家エネルギーリーソースを制御することで、電力需要パターンを変化させること(詳細は「スマートハウス概論2章中心課題たるエネルギー問題」で説明)。「デマンドレスポンス」と表記される場合がある。

また再生可能エネルギーの活用拡大に加え、家庭の太陽光発電システムやIoTを活用し、節電した電力量を売買できる「ネガワット取引市場』も活動を始めている。

IoTを活用して需要家群を統合することであたかも発電所(仮想発電所、VPP: VirtualPower Plant)のように機能させる構想も検討されている。詳細は「スマートハウスのコア知識6章スマートハウスの中核システムHEMS」で説明するが、この構想では、これまでエネルギーの需要家でしかなかった家庭が、エネルギーの供給者としての役割を担う可能性を示唆するものである。

一方、それぞれの家庭などの電力需要者側に対しては「エネルギーマネジメントシステム(EMS:Energy Management System)」を導入し、家の中で稼動する設備や家電製品などの電力消費を管理し抑制する計画である。一般的な家庭では 「HEMS(ヘムス):HomeEnergy ManagementSystem」を導入し、家庭内の家電製品などによる電力消費状態を可視化すると同時に、電力事業者などからの要求(信号)に応答することで、ディマンドリスポンスを実現させる仕組みを目指している。(EMSの詳細は 「スマートハウス概論2章2.4エネルギーの管理」を参照)

家庭内では、このHEMS機器(コントローラー、モニターなど)がネットワークの中心となり、家庭における最適なエネルギー需給状態をつくり上げるとともに、ビッグデータとの連携などにより、「見守り」、「ヘルスケア」、「ホームセキュリティ」といったさまざまなサービスを生み出すことが想定されている。

 

ECHONET Lite で実現するホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)

家庭で使うエネルギーをかしこく管理するシステムのことです。HEMSの導入により、電気の発電量や、ガス・水道の使用量をモニター画面などで 「見える化」したりHEMS対応の家電や住宅設備を「制御することができるようになる。HEMSのデータを利用した新たなサービスが提供されることで、家や生活の質が高まっていく。

 

さまざまな住宅設備がインターネットとつながり、新しいサービスが生まれる「IoT住宅」HEMSを活用したIoT住宅は、太陽光発電や蓄電池、エアコンなどのさまざまな住宅設備が、インターネットとつながることで、新しいサービスが生まれ、より快適で安全・安心な新しいライフスタイルが大きく広がる。

 

ECHONET Liteは、中小ビルや店舗などの設備管理システムへの適用を拡大

中小ビルや店舗の空調、照明などの設備管理システムへの適用を目指して規格の拡張を進めている。

 

図1-5これからのスマートハウス~スマートコミュニティのイメージ~

 

4.「暮らす人の幸せを追求する家」がスマートハウスのコンセプト

エネルギーの消費を抑制することだけがスマートハウスの目的であるかのように捉え、「スマートハウスの定義=ZEH」のように説明する向きもあるが、本テキストでは、あえて、もっと 高度で幅広い“スマート”、すなわち「究極のインテリジェントハウス」をテーマとする。現下の日本は、前述のエネルギー問題もさることながら、「少子高齢化問題」や「介護問題」、さらには人口減少に伴う「国際的な産業競争力の相対的低下」など、さまざまな問題を抱えて●いる。今、国は「超スマート社会の実現/Society5.0(「一口メモ」参照)」という新たな道しるべをたてて、新しい産業の育成と人々の生活の質の向上に取り組もうとしている。これらを遂行するプロセスで生み出される、いわゆる“スマートビジネス”は、将来に向けて、事業として大きなポテンシャルを秘めている。そして、家とエネルギー、家電・IT、車、さらには、台頭著しいIoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)、ロボット、ビッグデータなどの多様な技術と経験を必要とすることから、元来、日本が得意とする異分野間の技術を連携融合する力を生かし、関連する各産業の壁を低くすることができれば、日本が国際的優位性を確立できる事業分野といえる。各産業の英知が結集され誕生する「究極のインテリジェントハウス」は、独居老人の生活を見守り、人々の生活の安全・安心を生み出すなど、今、わが国が抱える問題に対するソリューションにもなり得るものである。したがって、本テキストでは、エネルギー消費の効率を追求する狭義のスマートハウスではなく、エネルギー問題の解決を含み、暮らす人の幸せを追求する「究極のインテリジェントハウス」を志向して解説する。

 

一口メモ

Society5.0

Society5.0とは、狩猟社会、農業社会、工業社会、情報社会に続く、以下のような新たな経済社会をいう。

①サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させることにより、

②地域、年齢、性別、言語等にzよる格差なく、多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供することで経済的発展と社会的課題の解決を両立し、3人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会

出典:内閣府「Society5.0実現に向けて」

 

5.エネルギー側面から見たスマートハウス

(1)家自体の省エネルギー

前述のようにエネルギー供給のインフラ整備や家電製品の省エネ化をはじめとするエネルギーの創蓄省を進展させても、生活の器である「家」そのものに問題があっては、これらの効果を大きく損なってしまう。国としても、支援金や減税などを制度化して「家自体の省エネ」を促進している(詳細は「スマートハウスのコア知識1章省エネ住宅、目指すはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を参照)。家としての基本事項については「スマートハウスのコア知識1章省エネ住宅、目指すはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)および2章住宅・建築の基礎」にて説明している。また、スマートハウスといっても必ずしも新築物件とは限らない。むしろ、リフォームやリノベーションという形で進展するほうが数のうえでは多くなると考えられるため、「スマートハウスのコア知識3章新築・リフォームにおける省エネルギー化・インテリジェント化の実践」において、リフォームの実践を説明している。なお、ZEHに関しては、関係各省庁(経済産業省 国土交通省・環境省)が連携して新たな施策を打ち出している。こちらに関しては「スマートハウスのコア知識1章 省エネ住宅、目指すはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」で詳細を説明Into A(espidol)Toll

する。

(2)スマートハウスの構成要素

1)家の中の中核機器「HEMS」

エネルギー管理システム(EMS)のうち、一般住宅向けを「HEMS」という。HEMSはHAN(Home Area Network)と連携して、家庭内で使用される各種電気機器のエネルギー使用状態を可視化(見える化)したり、家庭内の電力使用を自動制御してエネルギー効率の向上を図るという「家庭内のエネルギー司令塔」の役割を果たす。また、電気事業者などからの信号に応じて、「ディマンドリスポンス」を実現するとともに、家電などの使用状態や人の動きを捉えるセンサーなどから得た情報(データ)を活用した多様なサービスの展開が検討されている。

2)電力システムとの連携機器「スマートメーター」

■実態を収集、電気事業者にそのデータを送信し、家庭へもそのデータをフィードバック (見える化)するための機器である。いわば家庭と電力供給事業者をつなぐインターフェース機器ともいえる。 既に各家庭への設置工事は各地域の一般送配電事業者単位で進められており、遅くとも2024年度末にはほとんどの家庭への設置が完了する計画になっている。

(3)エネルギーの創・蓄省(創エネ蓄エネ・省エネ)

1)創エネ

各家庭でエネルギーを創ることを「創エネ」と表現している。現在、太陽光をはじめとする自然エネルギーが注目され、実用化が進展している。(詳細は、「スマートハウス概論2章2.2エネルギーの創造」で説明)

主要な再生可能エネルギーについては、一定の条件の下、それぞれが発電した電気を電気事業者が所定の価格で買い取る制度(固定価格買取制度)が設けられており、普及を後押ししている。(固定価格買取制度の詳細は、「スマートハウスのコア知識7章7.1太陽光発電システム」で説明)

 

2)蓄エネ

蓄電システムを使うと、太陽光などのエネルギーを電気として蓄える(蓄電する)ことができる。このシステムを活用することで、太陽光発電ができない夜間でも電気を使用できるとともに、停電時などでもためた電気を使用することができる(詳細は、「スマートハウス概論2章2.3エネルギーの蓄積」で説明)。とりわけ太陽光発電との組み合わせにより、発電されたエネルギーをより有効に活用するためには必要不可欠な関係にあり、「創(エネ)蓄(エネ)連携」として普及しつつある。(創蓄連携システムについては、「スマートハウスのコア知識7章7.4創蓄連携で広がる用途、サービス」で説明)

 

3)省エネ

前述のとおり、スマートハウスの中では、HEMSによってエネルギーの使用実態が可視化(見える化)され、スマートメーターとの連携により、家庭における最適なエネルギー需給状態をつくり上げることを目指しているが、エネルギーを消費する家電製品や住宅設備などの機器自体もエネルギー消費を削減するものへと進歩している。したがって、各消費段階にて「1(機器)を上手に選ぶ」ことと2機器)を上手に使う」ことが重要である。(上記1、2の視点については、「スマートハウスを支える機器・技術の基礎1章暮らしに新たな付加価値を生み出す機器」を参照)

 

6.新たな付加価値(インテリジェンス)を生み出す機器とサービス

従来、単体で語られることが多かった家電製品などの機器は、生活の場である“家”を舞台とし、今まさに進展しつつある「IoT」、「AI」、「ロボット」そして「クラウドコンピューティング(クラウド)/ビッグデータ」などの革新的な技術により大きく変化しようとしている。例えば、単体でのエアコンは、住人の操作(指示)により、住人の好みの温度に室温をコントロールしてくれる製品だが、スマートハウスの中では、窓から差し込む日差しを感知し、かつ 天気予報から取得した気温・湿度さらには花粉飛散などの情報に基づき、照明器具、換気扇、空気清浄機などと連携をとりながら、学習済みの住人の好みの室内環境を実現する統合コントロールができるようになる。つまり、これらの機器は、お互いに連携しあい、それぞれに経験値を積むことで、さらには外部の巨大な頭脳(ビッグデータ)を活用することなどにより、その働きが飛躍的に拡大することが期待されている。このようにIoTやAIなどの革新的な技術によって新たな機能を持った家電製品などにより、家自体があたかも大きなロボットのように、自立的に住人の生活をサポートする、まさにスマートなインテリジェントハウスが当たり前となる時代がもう間近に迫っている。

「IoT」、「AI」、「ロボット」そして「クラウド/ビッグデータ」などの技術は、そのひとつが革新的であるけれども、さらに重要で注目すべきは、これらはお互いにつながることで、さらに大きな力を発揮するということである。

 

では、スマートハウスの中で、これらの革新的技術は、私たちの生活をどのように変化させるのだろうか?その試みは、まだまだこれからのことであるが、想像するのはそれほど困難なことではない。家が人々の生活の場であることを前提とすると、工業や商業のように効率性や 経済性ばかりを追い求めるわけではないだろう。住まう住人のニーズを実現するために、これら革新的技術が活用されることは必至である。詳しい説明は「スマートハウスを支える機器・技術の基礎1章と2章」に譲るが、例えば、大型化が進むテレビは、テレビ放送の受像機としてだけではなく、HEMSモニターやインターネット情報を映し出すあらゆる情報の窓となり、部屋の壁と一体となって設置されることや、高齢者の生活支援のためのロボット機能(歩行支援や入浴支援など)がオプションとして選択できることなどは、容易に想像できるところである。さらに、HEMS機器や通信ネットワークを利用しての「独居老人の見守り」や「健康管理 (ヘルスケア・在宅医療)」、「くらしの安全・安心の確保(ホームセキュリティ)」といった将 来にわたる国民共通の問題を解決するサービスの展開が期待されている。