土地家屋調査士とは不動産の調査、測量、登記に関する専門家です。様々な業務がある中で最も特徴的な仕事は、土地の境界を定める手続きの代理です。専門的な知識に加えて、営業の能力が求められるとともに、利害関係者間の調整役を務める必要があるため、コミュニケーション能力が重要な職業です。
今回は、土地家屋調査士を目指す過程で大きなハードルとなる、土地家屋調査士試験の難易度と勉強時間について紹介したいと思います。
土地家屋調査士試験の特徴
土地家屋調査士試験は、大きく分けて筆記試験と口述試験の2種類の試験があります。口述試験は筆記試験合格者のみが対象で、筆記試験で合格できる程度の基礎力を身につけられれば、問題ないでしょう。
メインとなる筆記試験は、午前の部と午後の部があり、午前の部は測量や作図の問題が出題され、午後の部では、法律の問題や土地・建物の調査結果を形式に沿って書く問題が出題されます。
土地家屋調査士試験の難易度
試験の難易度は結論から言うと、難しいレベルと言えます。不動産系の国家資格の中では、マンション管理士や宅建よりも難しく、不動産鑑定士よりも簡単、というポジションです。
難しいとされる理由としては、以下のものが挙げられます。
・合格率が低く設定されている
・出題科目の中に、法律や測量、作図など、比較的難しい分野が複数含まれる
・出題範囲が広い
・各科目で基準点が設定される
合格率は例年8〜9%台で推移しており、近年は受験者数の減少傾向から9%後半となることが多いです。また、作図に慣れていない方にとっては解答しにくい出題範囲が含まれていたり、不動産関連の法律は事前の知識が無ければ、学習時間がどうしても長くなりやすいです。さらに、基準点を下回る科目が一つでもあれば不合格となる条件もあり、苦手科目を無くさなければなりません。
こうした要因によって、土地家屋調査士試験の難易度は高いとされています。
土地家屋調査士試験の学習時間の目安
土地家屋調査士試験の難易度は高いですが、学習時間の目安はどのくらいなのでしょうか。
目安として資格予備校などが提示している時間は1,000時間〜1,500時間が多く、基本は1,000時間となっています。学習期間は1年半程度としており、長い期間学習を続ける必要があります。
ただし、宅建士試験などで民法をすでに学んでいたりすると、学習時間は短縮できます。測量士や測量士補、1級・2級建築士をすでに取得している場合は、筆記試験の午前の部が免除されるため、大幅に負担が軽減できるでしょう。
まとめ
今回は、土地家屋調査士試験の難易度と勉強時間について紹介してきました。難易度が高く、必要とされる勉強時間も長いですが、その分独立開業がしやすい資格で、不動産登記や調査、測量の専門家として活躍できる資格です。
実務経験や営業力、交渉力などが物をいう仕事で大変なことも多いですが、不動産の登記や調査、筆界特定などの手続きの代理に興味があれば、取得を目指してみてはいかがでしょうか。