近年、組込みエンジニアはさまざまな業界において需要が高まっています。組込みエンジニアに限らず、IT人材は慢性的に不足しているとも言われているのが現状です。
そこで、組込みエンジニアを目指す方におすすめできるのが「組込みソフトウェア技術者試験」という資格です。こちらの資格取得のための勉強を通じて、組込みエンジニアとして必要な知識を身に付けることができます。
本記事では、そんな組込みソフトウェア技術者試験を独学で勉強するためにおすすめの参考書9選をご紹介していきます。
組込みソフトウェア技術者試験とは
組込み技術者試験とは、社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が実施している、組込み技術のスキルレベルを測る資格試験です。組込み技術者試験制度のことを、ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)ともいいます。
試験概要を以下の表にまとめました。
クラス1 | クラス2 | |
試験時間 | 120分 | 90分 |
問題数 | 90問 | 120問 |
出題方式 | CBT方式 | |
受験料 | 22,000円 | 16,500円 |
合格基準 | 800点満点、スコア方式 | |
受験資格 | クラス2で500点以上のスコア取得 | 特になし |
評価 | Strategic Director/Chief Expert/Field Professional | グレードA/B/C |
組込みソフトウェア技術者試験は、クラス1(ミドルレベル)とクラス2(エントリレベル)の2種類に分けられています。クラス1(エントリレベル)の方がクラス2(ミドルレベル)よりも易しい試験となっています。
試験時間と問題数と受験料は、それぞれ異なっています。出題形式はCBT形式で、合格基準はスコア方式であるため合否が決まる試験ではありません。
スコアは、800点満点となっています。正答率によってクラス2ではA/B/C、クラス1ではStrategic Director/Chief Expert/Field Professional、それぞれ3つのグレードで評価されます。
クラス1を受験するには、クラス2試験で500点以上を得点する必要があります。クラス2試験での平均点は470点ほどと言われているため、クラス1を受験するためには平均点以上を取得しなければいけません。
組込みソフトウェア技術者試験の対策ポイント
組込みソフトウェア技術者試験を受験する上での勉強時間の目安は、クラス2は50時間ほどと言われています。クラス2で500点以上を取得できれば、クラス1を受験することができるため、クラス1の勉強時間の目安は特にありません。クラス1試験においてより高いグレードの評価をもらえるように勉強に励むとよいでしょう。
それでは、組込みソフトウェア技術者試験を受験する上での対策ポイントについて説明していきます。
まずは組込みソフトウェア開発の基本的なスキルを身に付けましょう。組込みシステムの入門書を使って、組込みエンジニアに必要な知識をインプットしていくことが重要です。
次は、システム開発における設計工程やテスト工程において総合的に分析できる能力が必要となります。実務に使える応用的な知識や、システム開発における総合力を身に付けましょう。問題集を使って演習を繰り返して、これらの知識を定着させていきましょう。
組込みソフトウェア技術者試験のおすすめ参考書
それでは、組込みソフトウェア技術者試験を勉強する上でおすすめの参考書9選を解説していきます。
1.よくわかる組込みシステム開発入門
現場に必要な技術や関連知識を習得することができる、組込みシステム開発の入門書です。本書では実際に手を動かしながらプログラミングを体験できるため、組込みシステムに関する技術を体系的に効率よく学ぶことができます。組込みエンジニアに興味があるという方やETECを受験される予定の方におすすめの1冊です。
2.組込みソフトウェア技術者試験クラス2対策ガイド
ETECのクラス2(エントリレベル)の試験に対応した試験対策本です。豊富な図解で分かりやすく、要点やキーワードもまとまっているため、試験に必要な知識が難なく身に付きます。ETECの教科書として1冊持っておくのがおすすめです。
3.すぐわかる!組込み技術教科書
これから組込みシステム開発をするという方向けの1冊です。ETECのクラス2(エントリレベル)に対応している、試験対策としてもおすすめできる1冊です。組込みソフトと組込みハードの開発技術を丁寧に解説しているため、基礎の基礎がしっかりと身に付きます。
4.組込みソフトウェア技術者試験 クラス2対策実践問題集
ETECのクラス2の試験の出題範囲が網羅された実践的な問題集です。全部で245問を収録しています。こちらをしっかりと演習することで、クラス2でグレードAを取得することができるでしょう。
5.絵で見る 組込みシステム入門
豊富な図解で分かりやすい、組込みシステムの入門書です。ETECのクラス2(エントリレベル)対応の演習問題もついています。初心者の方でも理解しやすい丁寧な解説がされているため、組込みシステムの勉強の取っ掛かりとして最適の1冊です。
6.漫画で解説 組込み開発ストーリー
組込みシステムについて、マンガを通じて楽しく学ぶことのできる1冊です。組込みシステムの全体像を難なく理解することができるため、初心者の方におすすめです。製品企画から完成までのプロセスを追って、実務の具体的なイメージを持つことができます。
7.組込みシステム開発のためのエンベデッド技術
組込みシステム開発について幅広く解説されている、エンベデッド技術の入門書です。技術的視点から解説されている先駆者的な解説書です。演習問題も豊富に掲載されているため、アウトプットも十分にできます。
8.エンベデッドシステム開発のための組込みソフト技術
組込みソフトウェアの基礎から応用まで、体系的に学ぶことができる組込みシステムの技術書です。7の「エンベデッド技術」の第2弾であり、内容は上級レベルとなっています。ETECのクラス1の受験を予定されている方にお勧めの1冊です。
9.組込み系技術者のための安全設計入門
組込みシステム開発の常識でもある安全設計の基本を身に付けることができる入門書となっています。安全の概念や安全設計の基礎から、しっかりと説明されています。実務に役立つため、システム技術者を目指す方には必携の1冊です。
「1・2・3・4・5」で、組込みソフトウェア技術者試験の試験対策を行いましょう。「6・7・8・9」は知識の補完のための補助教材として使うのがおすすめです。
1~9の書籍は全て、ETECの推薦書籍となっています。自分のレベルに合わせて、参考書選びをしてみてください。
組込みソフトウェア技術者試験のおすすめ参考書のまとめ
以上が、組込みソフトウェア技術者試験を独学で学ぶ上でおすすめの参考書9選についてでした。
合否は決まらない試験ではありますが、取得したスコアが受験資格の条件になったり、取得したグレードによって評価が変わったりすることがあります。修直や転職の際にアピールするためには、高得点を目指せるように対策を行うのがよいでしょう。
少しでも興味のある方は、組込みソフトウェア技術者試験の受験を検討されてみてはいかがでしょうか。