不動産鑑定士の資格は、不動産業界のみならず文系国家資格として最高峰と言われるものの一つです。年収も初年度で600万円以上が期待されるなど、かなり魅力的な仕事になっています。

しかし、仕事ができるようになるまでの難易度が非常に高いことでも有名です。

それでは資格取得によって収入を上げるまでの間、一体どれくらいのお金が必要なのか?

ぜひこの記事を参考にしてみてください。

 

大島 大容 (著)
出版社 : 中央経済社; 第3版 、出典:出版社HP

 

 

1. 不動産鑑定士の維持費とは?

 

不動産鑑定士の維持費とはそもそもどのようなものを言うのでしょうか?

この記事の中では、以下のように分類して計算を進めていきます。

 

∟その1:国家試験合格まで

不動産鑑定士試験に合格するまでに必要な金額をまとめます。

全員に等しくかかる受験料の他にも、教材費なども含めて考えてみることで最終的な総額が把握しやすくなります。

 

∟その2:不動産鑑定士の登録まで

試験合格から不動産鑑定士としての登録までに必要な金額をまとめます。

試験に合格するだけでも「国家試験合格」という権利を得られます。

実際に不動産鑑定の業務に携わるためには登録を済ませなければなりません。

不動産鑑定士の場合は、業務経験の有無にかかわらず全員が実務研修を年単位でこなす必要があります。

 

∟その3:仕事に携わる不動産鑑定士であり続けるため

不動産鑑定士として登録した後に必要な金額をまとめます。

ここまでの金額をまとめることで、最終的に年収が上がるタイミングが見えてくるはずです。

 

また、この記事内では顔写真が必要な場合に1000円ずつ計上しています。しかし、実際はスマホのカメラで撮影OKのものも多くあります。

多めに見積もっているので、参考程度でご覧ください。

 

 

2. その1:国家試験合格まで

∟試験合格までの教材費

 

独学であればあるほど抑えられる金額ですが、不動産鑑定士の試験は二段構えであることに加えて、文系国家資格の中でもトップクラスの難易度です。最低でも資格学校の短期講習や模試などを利用することを考慮した方が良いでしょう。

 

短期講習費として15万円ほどと計算します。

 

 

∟試験の受験料

 

国家試験の受験料は13,000円です。

これは受験者全員が支払わなければなりません。

 

また、郵送で申込する場合は規定に沿った顔写真が必要になります。(オンライン申請ではデータ可)

この顔写真撮影費で1,000円も計算しましょう。

 

 

大島 大容 (著)
出版社 : 中央経済社; 第3版 、出典:出版社HP

 

2. その2:不動産鑑定士の登録まで

 

不動産鑑定士の場合は、業務経験の有無にかかわらず全員が実務研修を年単位でこなす必要があります。

研修終了後の修了考査合格で、ようやく登録に至ることができます。

 

 

∟実務研修受講料

実務研修は「講義」「基本演習」「実地演習」の3つの課程に分かれています。

実務講習には約100万円の費用が必要になります。(日本不動産鑑定士協会連合会に支払うものと、実地演習実施機関に払うもので最も費用がかかった場合を考慮)

また、実地訓練のための現地までの移動費なども自腹になります。

 

ここではさまざまな費用を加算して120万円と見積らせていただきます。

 

実際には実地演習実施期間に就職先の業者を選ぶと、会社側が負担してくれる可能性があります。

ここの出費がネックの人は、就職先を選ぶことで費用を抑えることが可能になります。

 

∟修了考査受験手数料

実務研修を終えた後に、修了考査があります。これに合格することで、晴れて不動産鑑定士として鑑定業務に従事することが可能になります。

こちらの受験には36,300円の費用がかかります。

 

また、顔写真の提出が必要になるので1,000円も計算しましょう。

 

∟登録にかかる手数料

 

不動産鑑定士の登録には、登録免許税として60,000円の費用が発生します。

 

また、この登録申請の際に

 

・身分証明書(300円)※

・住民票(300円)

 

が必要になります。

 

大島 大容 (著)
出版社 : 中央経済社; 第3版 、出典:出版社HP

 

 

3. その3:仕事に携わる不動産鑑定士であり続けるため

∟不動産鑑定士の更新

 

不動産鑑定士証には、登録の更新制度がありません。

一度登録を行えば、以降は半永続的に追加経費を支払う必要がないのです。

 

 

∟公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会

こちらは任意での加入になりますが、全国の不動産鑑定士はまた不動産鑑定業者が集う協会があります。

加入することで会報誌の提供を受けられたり取引事例閲覧サービス(有料)を利用することで手軽に取引価格事例を見ることができます。

 

個人の場合は、入会費で25,000円、会費が月々4,200円かかります。

 

ここでは入会費と1年分の会費を合わせて75,400円を計上したいと思います。

 

 

 

5. 総額まとめ

 

さて、ここまで必要な金額をずらりと書き出してみました。

最終的にどれくらいの金額までかかるのかをまとめたいと思います。

不動産鑑定業を行う会社に所属する場合は個人で協会に会費を支払う必要がない場合が多いですが、今回は多めに見積もる前提で追加して計算を行います。

 

 

∟総額 1,476,700円

 

内訳

短期講習費…150,000円

試験受験料(+顔写真代) …14,000円

実務研修受講料…1,200,000円

修了考査受験手数料(+必要書類など) …37,300円円

日本不動産鑑定士協会連合会費用(年間) …75,400円

 

 

不動産鑑定士の維持費はいくら?受験料〜不動産鑑定士1年目までの総額をまとめてみたのまとめ

 

不動産鑑定士はマイナーな資格ながらに高級取りとして注目されることが多いです。

しかし、実際には1年目で全ての試験に合格して資格の登録まで進めるのは全体のわずか3%程度。しかもストレートで合格しても必要経費が100万円越えというハードルの高さがあります。

 

みなさんはこの数字を見て、どのように感じられたでしょうか?

 

不動産鑑定士に興味を持たれた方は、ぜひ今回の記事を参考にして自分の合格プランを考えてみましょう。