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管理業務主任者の資格は、未経験からでも取得できる不動産系の国家資格として人気のものです。
しかし、実際に未経験から資格を取得しても仕事にありつくことはできるのでしょうか?
今回は、未経験からの資格取得から実際に報酬を得るまでに必要な経緯をまとめていきます。
1. 管理業務主任者の仕事
∟マンション管理会社に必須の資格
管理業務主任者とは、マンション管理会社側の立場からマンション管理・運営を適切に行うための専門家です。
マンションの管理業務を委託される会社では、管理組合30組につき1名以上の管理業務主任者を設置することが義務付けられています。
∟規約の見直しや改修の計画・立案
管理業務主任者には、管理受諾契約に際する独占業務があります。しかしそれは契約時にしか発生しない仕事のため、業務の大半は管理するマンションの直接的な業務に関することがほとんどでしょう。
日々の生活を快適にするだけでなく、マンションの価値を高く保つための改修工事の計画・立案業務も大切な仕事です。改修工事の積立金の回収や、不足する場合の管理組合との交渉なども大切な業務の一環です。
∟現場対応かサポートかは会社の規模次第
会社のオフィスで管理するマンションの規約を作る、管理組合の総会資料を作成するといった事務作業がメインです。しかし、会社の規模によっては管理業務主任者自身が各マンションのフロントに立つ可能性があります。その際には住民のトラブル(水漏れや設置機械のトラブルなる)に直接介入することもありうるでしょう。
2. 管理業務主任者の資格取得までの流れ
管理業務主任者は、不動産資格の3強と呼ばれる国家資格の一つです。
そのため、取得までには一定の勉強とお金が必要になります。
∟合格率20%の国家資格に合格
管理業務主任者試験の合格率は、約20%となっています。
3強と呼ばれる宅地建物取引士・マンション管理士と比べると合格率は高くなりますが、それでも未経験の独学でサクッと合格できるものではありません。
∟登録方法
試験に合格後、登録を受けることで管理業務主任者と名乗ることができます。
登録には規定があり、2年以上のマンション管理実務経験又は法律で定められた実務講習を修了することが求められます。
未経験から登録までを行うには、この実務講習を経ないと管理業務主任者になることができません。
※合格権利は生涯有効のため、登録や証明証の発行は任意です。
実務講習修了(受講まで2週間程度、実施期間は2日間)
↓
登録申請(登録通知まで約30日)
↓
管理業務主任者証が必要な場合は、別途交付申請(交付まで約30日)
と、合格後に実際に証明書が手元に届くまでにはそれなりの日数が必要になります。
∟更新について
管理業務主任者証を持ち続けるためには、5年に一度法定講習を受けて更新を行う必要があります。
また講習の時期は限られているので、更新が必要な年に受け損ねてしまうとそのまま登録が切れてしまう可能性があります。
管理業務主任者の資格は、登録期限・受講のお知らせ連絡が来ないとの話もあります。有効期限をしっかり確認して、自発的に更新を行いましょう。
3. 仕事を得る方法について
管理業務主任者の資格を得た後は、どのように仕事に繋げていくことになるのでしょうか?
∟就職先はどんなところ?
メインはマンションの管理業務を委託してもらえる、マンション管理会社でしょう。
そのほか、自社マンションを持つ不動産会社や、場合によってはマンションのメンテナンスを請け負う会社などでも重宝される可能性があります。
また宅建士はパート・アルバイトの募集も多いですが、管理業務主任者は正社員での募集がほとんどなのも特徴の一つです。
∟独立&開業の可能性はあるのか?
管理業務主任者の仕事は、今後も需要がある状態が続くと言われています。
また合格者の平均年齢が40代と高めであることから、若い年齢のうちに資格を取って経験を積むメリットも大きいでしょう。
ですが、管理業務主任者の資格はあくまでマンション管理の委託される“会社”にとって重要なものです。
個人で独立してすぐに会社設立&契約獲得となるにはハードルが高いと言わざるを得ません。
∟都心部or地方ではどちらが有利?
マンションは圧倒的に都心部に多く存在します。地方にもチャンスはありますが、その場合は広い地域の管理する必要が出てくるので、必然的に移動距離が長くなる可能性があります。
仕事における移動を苦に思わない人は、地方でも活躍できるかもしれませんね。
4. 未経験から管理業務主任者を目指す未来
ここまでの情報を踏まえて、業界未経験者が管理業務主任者資格をとった後の未来についてまとめていきます。
∟未経験者は企業勤めで経験を積むのが最適
管理業務主任者の仕事は、完全未経験から独立&開業して収入につなげることが難しい資格です。
まずはしっかりと会社に勤めて経験を積み、自分に管理業務が向いているのかどうかも見極めることが必要です。
∟独立の必然性は会社での待遇次第?
管理業務主任者は、マンション管理を委託される会社にとってなくてはならない存在です。
会社にとっての必要性を高めていけば、待遇を上げてもらうことで年収アップも見込めるかもしれません。
無理に独立して不安定な道に進むよりも、会社での存在価値を高めていくだけで安定して収入をアップする方法もあるはずです。
∟自己研鑽のためにダブルライセンスが有効
そのためにも、管理業務主任者だけでなくさまざまな資格を掛け合わせたダブルライセンス・トリプルライセンスを目指すのが良いでしょう。
3強と言われる宅建士・マンション管理士だけでなく、現場の機材トラブルに対応できる技能系の資格・経理関係の資格など、幅を持たせることで自分の価値を高められるはずです。
管理業務主任者は未経験から取得しても食べていけるのか?独立&開業の可能性についてのまとめ
いかがでしたでしょうか?
管理業務主任者の資格は不動産資格の中でも3本の指に入る人気資格ですが、管理マンションの数に対して必要とされる設置人数が少ない傾向にあります。
この資格単独では、年収を上げることや独立開業は難しいでしょう。
そのためにも、最初にとるべき資格が管理業務主任者で適切かどうか?を一度じっくり考えてみてください。