ホームインスペクターは、住宅の状態を目視で調べることで、改修が必要な箇所、改修の時期や費用などをみきわめて、第三者の立場からアドバイスする専門家です。住宅のお医者さんのような仕事で、住宅の問題を早期に発見した場合は、問題に対処できる専門家を紹介することもあります。

ホームインスペクターになるには、NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会が公認するホームインスペクター(住宅診断士)資格試験に合格し、その後に日本ホームインスペクターズ協会に登録する必要があります。

ホームインスペクターの取得を検討している方の中には、他の資格と組み合わせることによって、キャリアアップや独立開業を考えている方もいることでしょう。そこで今回は、ホームインスペクターとの相性がよい資格をピックアップして紹介したいと思います。

宅地建物取引士(宅建士)

宅建士は、不動産取引の専門家です。宅地や建物の売買や賃借などの仲介を行うことが基本的な役割です。国家資格であり、契約書面への記名・押印や重要事項の説明といった独占業務があります。そうした宅建士とホームインスペクターを持っていることによって、さまざまなメリットが期待できます。

例えば、中古住宅の売買を仲介する際には、ホームインスペクターの資格を取得していることで、信用を得やすくなることや、住宅の取引が建物の状態から見て適正であるかを判断しやすくなることなどが期待できます。

2018年からは、中古住宅の売買時に、ホームインスペクションの説明や斡旋の希望の確認が義務となったため、ホームインスペクターと宅建士の関連性が非常に高くなっています。


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一級建築士、二級建築士

一級建築士、二級建築士は建築物の設計、工事監理などを行うための資格です。一級建築士と二級建築士との違いは、いくつかありますが、最大の違いは、設計できる建物に制限があるかどうかです。一級建築士の場合は設計できる建築物に制限がありませんが、二級建築士は大規模な建築物を設計できません。

ホームインスペクター資格試験の受験者には、こうした建築士の資格を保有している方が多くいます。建築士の方が、この資格を取得することで、消費者が住宅に関する判断を適切に行うことを支援できたり、新しく顧客を獲得する機会を増やすことなどのメリットが得られる可能性があります。

マンション管理士

マンション管理士は、専門的な知識をもって、マンションの管理組合の運営や建物の技術的な問題などについて、管理組合やマンションの所有者などの相談に応じて、アドバイスを行うための資格です。国家資格で、不動産系の資格の中でもかなり難易度が高くなっています。

ホームインスペクターとマンション管理士を保有していると、マンションの診断を行いながら、マンション管理士の業務を行うことやマンションの状態を適切に判断できるマンション管理士として信用を得やすくなることなどが期待できます。

ホームインスペクターのダブルライセンスのまとめ

今回は、ホームインスペクターとのダブルライセンスにおすすめの資格を3つ紹介しました。この他にも、施工管理に関連した資格も比較的相性がよいと思います。

ホームインスペクターは、将来的に需要が増加すると見られています。中古住宅市場の拡大が主要な要因ですが、日本の不動産市場の特殊性も背景にあります。日本の不動産市場は、消費者を軽視する業者も多く、第三者的な立場からのアドバイスは多くの人に、必要とされています。

宅建士や建築士といった資格を保有していて、消費者が適切な判断を行うための仕事をしたい、公正な中古住宅の取引を支えたいと考えている方は、取得を検討してみてはいかがでしょうか。


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