ガスに関連する設備の工事、維持、運用事業を行う場合、事業所ごとに設置され、保安の監督を行うのがガス主任技術者です。

ガス主任技術者になるには、同名の資格試験に合格する必要があります。今回は、ガス主任技術者試験の内容について詳しく見ていきたいと思います。

 

ガス主任技術者とは

ガスを供給するには、ガス発生設備、ガスホルダー、ガス精製設備、排送機、圧送機、整圧器、導管、受電設備などのガス工作物が必要となります。これらのガス工作物の工事、維持、運用を行なっている各事業所に設置され、安全管理を行なっているのがガス主任技術者です。ガス主任技術者になるには、一般社団法人 日本ガス機器検査協会が運営するガス主任技術者試験に合格する必要があります。

 

ガス主任技術者の試験概要は?

ガス主任技術者は、保安監督ができる範囲の違いにより甲種、乙種、丙種の3つの区分に分けられています。甲種の範囲は、「ガス工作物の工事、維持及び運用」と定められていて、全てのガス工作物の工事等において保安監督を行うことができます。

同様に、乙種では「最高使用圧力が中程度及び低圧のガス工作物、ならびに特定ガス工作物に係るガス工作物の工事、維持及び運用」、丙種では「特定ガス工作物に係るガス工作物の工事、維持及び運用」の範囲で保安監督が可能となります。

試験は年1回、全国10カ所で開催されます。受験料は区分に関わらず12,700円です。

 

ガス主任技術者の試験内容は?

ガス主任技術者試験は、五肢択一式によるマークシート形式の問題と、論述問題から構成されます。試験内容は、下記の範囲で出題されます。

  • ガス事業関係法令(保安に関するものに限る)
  • ガスに関する物理・化学理論
  • ガス工作物の工事、維持及び運用に関する技術
  • ガス工作物の構造・機能
  • ガスの成分分析・熱量等の測定
  • ガス器具の構造・機能

 

問題方式 科目 出題範囲
甲種 乙種 丙種
マークシート 法令 ガス事業法及び特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律(特監法)に関わる各種の法令についての知識(法令は保安に関するものに限る)
基礎 気体の性質、気体の熱力学と化学反応、燃焼の物理と化学、流体力学と伝熱、ガス技術に使われる技術に関する知識 物質の構成、物性の基礎知識、気体の性状などに関する知識
ガス技術 製造 ガス事業に使われる都市ガス製造の変遷、都市ガスの原料、ガスの製造設備、ガスの熱量調整と燃焼性管理、ガスの熱量・比重の測定及び特殊成分の分析、

ガスの付臭、計装・電気設備、設備建設、設備保全、設備の操業、保安・防災、環境対策などに関する知識

※甲種は高・中・低圧、乙種は中・低圧が対象

ガス小売事業に使われるガス原料とガス発生方式、ガス発生設備の製造能力算定、特定製造所の設置場所、特定ガス発生設備の設置計画、自然気化による特定ガス発生設備、強制気化による特定ガス発生設備、調整装置、特定ガス工作物の操作・運転管理、災害その他非常の場合の措置、特定ガス工作物等の維持管理、圧縮天然ガスによる特定ガス発生設備などに関する知識
供給 供給計画と供給管理、整圧器とその管理、ガスメーターとその管理、導管の設計、防食設計と防食管理、導管の工事、

溶接と非破壊試験、維持管理、地震対策などに関する知識

※甲種は高・中・低圧、乙種は中・低圧が対象

ガス小売事業に係るガスの供給方式、供給の計画、整圧器、ガスメーター、ガス栓、導管の設計・施工、腐食防止対策、導管等の維持管理、地震対策などに関する知識
消費 ガスの燃焼についての基礎、ガス燃焼機器の種類と構造機能、安全装置と安全管理などに関する知識
論述 法令 ガス事業の実施に必要な法令上の基本的知識
ガス技術 製造、供給、消費それぞれに必要な基本的知識

出典:https://www.jia-page.or.jp/exam/examination/outline/

試験時間は、マークシート問題が「法令」「基礎」「ガス技術」の3科目で2時間、論述問題が「法令」と「ガス技術」各1問ずつの計2問で1時間です。科目によっては解答する問題を選択することができます。また、各科目ごとに最低得点が定められていて、1科目でも下回ってしまうとその時点で不合格となってしまいます。科目による偏りのないよう、満遍なく学習を進めることが大切です。

 

甲種・乙種・丙種 配点
科目及び出題数 マークシート 法令 16問全問解答 1問5点
基礎 15問中10問選択し解答 1問5点
ガス技術 27問中20問選択し解答 1問5点
論述 法令 1問全問解答 35点満点
ガス技術 3問中1問選択し解答 35点満点
解答方式 マークシート 五肢択一式
論述 記述式
試験時間 マークシート 2時間(10:00〜12:00)
論述 1時間(13:00〜14:00)
合格基準 次の各項のすべてを満たす者を合格者とする。

1.マークシート問題及び論述問題の合計得点(300点満点)が180点以上であること。

2.マークシート問題の法令科目(80点満点)の得点が25点以上であること。

3.マークシート問題の基礎科目(50点満点)の得点が15点以上であること。

4.マークシート問題のガス技術科目(100点満点)の得点が30点以上であること。

5.論述問題(70点満点)の得点が20点以上であること。

6.論述問題の法令科目(35点満点)及びガス技術科目(35点満点)において0点がないこと。

出典:https://www.jia-page.or.jp/exam/examination/outline/

ガス主任技術者の試験内容のまとめ

今回は、ガス主任技術者の試験内容についてまとめてきました。

ガス主任技術者試験では、細かく最低得点基準が設定されています。科目ごとの偏りがないように学習を進めるようにしてください。