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証券アナリストとは
証券アナリストは、企業が公開している決算報告書などの情報に基づいて、
高度な専門知識や分析技術を駆使し、企業の有価証券の価値や動向の予想、投資家への助言、保険商品の取り扱いなどの金融サービスを提供する職業のことを指します。
近年では、投資意思決定の様々な過程に参画するプロフェッショナルのことを指します。
セルサイド(証券会社など)、バイサイド(投資信託・保険会社・銀行)の両方に所属します。
証券アナリストになるためには
証券アナリストとして金融商品を取り扱う際に、必要となるのは「CMA資格」と呼ばれる資格です。
CMA資格を取得するためには、公益社団法人日本証券アナリスト協会が定める講座(CMA講座)を受講し、その内容に関する試験に合格した上で、3年以上の実務経験を積む必要があります。
CMA講座と付随するテストは、2段階(一次試験、二次試験)に分かれています。
この2段階の講座受講とテストをそれぞれ突破する必要があります。
一次試験の科目と出題科目は下記のとおりです。
数学力を問う問題や統計学について問う問題も多いので、数学や統計学に疎い方は特に対策が必要でしょう。
一次試験を突破するには、こちらの科目に全て合格する必要があります。
証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 回帰分析 |
統計的検定 | |
モダン・ポートフォリオ理論 | |
株式ポートフォリオ | |
債券ポートフォリオ | |
デリバティブと投資戦略 | |
投資政策 | |
アセット・アロケーション | |
国際証券投資 | |
オルタナティブ投資 | |
信用リスク・モデル | |
行動ファイナンス | |
コーポレートファイナンスと企業分析 | 株式価値評価 |
コーポレート・ファイナンス | |
コーポレート・ガバナンス | |
会計制度 | |
企業分析 | |
市場と経済の分析 | 景気循環と経済成長 |
マクロモデル(IS-LM分析、総需要-総供給分析など)と経済政策 | |
金融理論と金融政策 | |
為替レート決定理論(購買力平価説、金利平価説など)と為替介入 | |
ミクロ経済学(ゲームの理論、情報の経済学) | |
職業倫理・行為基準 | 証券アナリスト行為基準の各基準 |
投資情報の提供等 | |
投資の適合性の原則 | |
受任者としての信任業務 | |
未公開の重要な情報の利用の禁止等 など | |
続いて、2次試験です。
これも一次試験同様、全ての科目で合格点を取る必要があります。
科目 | 出題項目 |
証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 基本統計量、正規分布(証券分析とポートフォリオ理論の基礎) |
現在価値と将来価値 | |
証券市場の機能と仕組み | |
ファンダメンタル分析 | |
株式分析 | |
債券分析 | |
デリバティブ分析 | |
ポートフォリオ・マネジメント | |
財務分析 | 証券アナリストと財務分析 |
主要な財務諸表 | |
企業会計の仕組み | |
収益・費用の測定 | |
その他の主要会計分野 | |
財務諸表分析の基礎 | |
株式価値評価モデル | |
経済 | ミクロ経済学 |
消費者行動の分析 | |
企業行動の分析 | |
市場均衡と市場の効率性 | |
マクロ経済学 | |
国民経済計算と財市場 | |
金融市場と金融政策 | |
資産市場と利子率の決定 | |
財政政策と金融政策の効果 | |
中長期的なマクロ経済 | |
為替レートの見方・考え方 | |
国際収支の見方・考え方 | |
マクロ政策と為替レート | |
いずれのテストも合格率は5割前後と難易度はそこまで高いとは言えないので、努力が報われやすい試験といえるでしょう。
しかし、計算問題など数学の知識を要求される問題も多いため、油断は禁物です。
おすすめ参考書4選
ようやく本題に入ります。
ここでは、証券アナリスト試験の中の数学・統計学関連の参考書を、
「入門書」「数学書」「演習用」の4冊紹介します。
<入門書>
投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門 プライシング・ポートフォリオ・リスク管理
数学について、非常にわかりやすく解説されているので、数学に久しく触れていない方や数学に苦手意識のある方でも、つまずくことなく数学力を身につけられるでしょう。
<数学書>
証券アナリストのための数学再入門
数学についてもう一段階、ステップアップしたいと考える人や、まだまだ数学が苦手だと考える方にもってこいの一冊です。
<演習用>
証券アナリスト1次対策総まとめテキスト 証券分析
どの試験対策に関しても、演習量がモノを言います。
入門書で覚えたことを、実際に問題を解きながら、テキストを読みながら、定着させていきましょう。
Tac出版の本書は、解説が充実していますので、間違えた箇所は特に解決を読み込みましょう。
こちらは、問題集と言うより、テキスト・教科書としての意味合いが強いです。
ですから、下記の過去問集とセットで取り組むことをお勧めします。
証券アナリスト1次試験過去問題集 証券分析
こちらは過去問題集です。
証券アナリストの試験では、過去に出題された問題が再び出題されることがあります。
また、演習用として用いることで、試験内容をより深く理解できるでしょう。
まとめ
ここまで、証券アナリストの数学分野の参考書を4冊紹介しました。
- 入門書:投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門 プライシング・ポートフォリオ・リスク管理
- 数学書:証券アナリストのための数学再入門
- 演習用:証券アナリスト1次対策総まとめテキスト 証券分析
- 演習用:証券アナリスト1次試験過去問題集 証券分析