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「専門的な資格が欲しい」
「ガス事業に関する資格を取得したい」
このような方におすすめなのが「ガス主任技術者」です。
本試験は、ガス工作物を取り扱う事業所において保安の監督を行うガス主任技術者として従事するための資格が習得するための資格試験です。
本記事では、ガス主任技術者の合格を目指す上でおすすめの参考書をご紹介していきます。
ガス主任技術者試験について
ガス事業者は、ガス事業法に基づき事業所ごとにガス主任技術者を選任し、ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督を行わせる必要があります。ガス主任技術者となるにはガス主任技術者免状の交付を受けているかつ、既定の実務経験を有している必要があります。
ガス主任技術者免状を取得するに足りているかを判定するために行われているのがガス主任技術者試験です。
それでは、ガス主任技術者試験の概要に関して以下にまとめていきます。
【概要】
甲種 | 乙種 | 丙種 | |
受験資格 | なし | ||
試験方式 | 【マークシート問題】五肢択一式
【論述問題】記述式 |
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問題数 | 【マークシート問題】
・法令:16問中16問解答 ・基礎:15問中10問選択し解答 ・ガス技術:27問中20問選択し解答 【論述問題】 ・法令:1問中1問解答 ・ガス技術:3問中1問選択し解答 |
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試験時間 | 【マークシート問題】2時間
【論述問題】1時間 |
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受験料 | 12,700円 | ||
合格基準 | 次の各項のすべてを満たす者
・マークシート問題及び論述問題の合計得点(300点満点)が180点以上 ・マークシート問題の法令科目(80点満点)の得点が25点以上 ・マークシート問題の基礎科目(50点満点)の得点が15点以上 ・マークシート問題のガス技術科目(100点満点)の得点が30点以上 ・論述問題(70点満点)の得点が20点以上 ・論述問題の法令科目(35点満点)及びガス技術科目(35点満点)において0点がないこと |
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試験範囲 | ・ガス事業関係法令(保安に関するものに限る)
・ガスに関する物理及び化学理論 ・ガス工作物の工事、維持及び運用に関する技術 ・ガス工作物の構造及び機能 ・ガスの成分分析及び熱量等の測定 ・ガス器具の構造及び機能 |
【出題内容】
甲種 | 乙種 | 丙種 | |||
マークシート問題 | 法令 | ガス事業法及び特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律(特監法)に関わる各種の法令についての知識
(法令は保安に関するものに限る。) |
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基礎 | 気体の性質、気体の熱力学と化学反応、燃焼の物理と化学、流体力学と伝熱、ガス技術に使われる材料などに関する知識 | 物質の構成、物性の基礎知識、気体の性状などに関する知識 | |||
ガス技術 | 製造 | ガス事業に使われる都市ガス製造の変遷、都市ガスの原料、ガスの製造設備、ガスの熱量調整と燃焼性管理、ガスの熱量・比重の測定及び特殊成分の分析、ガスの付臭、計装・電気設備、設備建設、設備保全、設備の操業、保安・防災、環境対策などに関する知識
ただし、甲種は高・中・低圧のすべてを、乙種は中圧と低圧を対象とする。 |
ガス小売事業に使われるガス原料とガス発生方式、ガス発生設備の製造能力算定、特定製造所の設置場所、特定ガス発生設備の設置計画、自然気化による特定ガス発生設備、強制気化による特定ガス発生設備、調整装置、特定ガス工作物の操作・運転管理、災害その他非常の場合の措置、特定ガス工作物等の維持管理、圧縮天然ガスによる特定ガス発生設備などに関する知識 | ||
供給 | 供給計画と供給管理、整圧器とその管理、ガスメーターとその管理、導管の設計、防食設計と防食管理、導管の工事、溶接と非破壊試験、維持管理、地震対策などに関する知識
ただし、甲種は高・中・低圧のすべてを、乙種は中圧と低圧を対象とする。 |
ガス小売事業に係るガスの供給方式、供給の計画、整圧器、ガスメーター、ガス栓、導管の設計・施工、腐食防止対策、導管等の維持管理、地震対策などに関する知識 | |||
消費 | ガスの燃焼についての基礎、ガス燃焼機器の種類と構造機能、安全装置と安全管理などに関する知識 | ||||
論述問題 | 法令 | ガス事業の実施に必要な法令上の基本的知識 | |||
ガス技術 | 製造、供給、消費それぞれに必要な基本的知識 |
ガス主任技術者試験は、甲種・乙種・丙種の3つの区分に分かれて行われています。取得区分によって業務範囲が下記のように異なります。
・甲種:ガス工作物の工事・維持及び運用
・乙種:最高使用圧力が中圧及び低圧のガス工作物の工事・維持及び運用、特定ガス工作物及び当該特定ガス工作物に係るガス工作物の工事・維持及び運用
・丙種:特定ガス工作物及び当該特定ガス工作物に係るガス工作物の工事、維持及び運用
試験は五肢選択式のマークシート問題と、記述式の論述問題で行われます。
科目ごとに合格基準が設けられているので、全科目で基準を満たす必要があります。
続いて、ガス主任技術者試験の合格率を見てみましょう。
ガス主任技術者試験の合格率
2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | |
甲種 | 20.5% | 10.5% | 6.6% | 18.9% | 16.2% |
乙種 | 23.4% | 16.6% | 11.6% | 25.1% | 16.5% |
丙種 | 28.3% | 24.2% | 17.0% | 23.1% | 25.0% |
ガス主任技術者試験の合格率は、甲種・乙種で10〜20%程度、丙種で25%程度となっています。
ガス主任技術者試験の対策ポイント
上記項目で見たように、ガス主任技術者試験の合格率は甲種・乙種で10〜20%程度、丙種で25%程度と、どの区分でも難易度は高くなっています。
勉強時間は80〜100時間が目安となるようです。勉強のペースにもよりますが、2〜3ヶ月程度かかる計算となります。一方で、300〜500時間程度勉強したといった例も見られたので、スケジュールには余裕を持って臨みましょう。
それでは、ガス主任技術者試験の対策ポイントを見ていきましょう。
主な学習の進め方としては、一般的な資格試験の勉強方法であるテキストと問題集の反復演習となります。
ガス主任技術者試験の難易度が高い理由のひとつとして、目新しい問題が出題されやすいという点が挙げられます。過去問にはない問題が毎年出題されているようです。
ですが、本試験の合格基準は6割と、他の資格試験に比べて低めに設定されているので、しっかりと過去問で対策できていれば合格には問題ないレベルの点数を取得できると思います。過去問で知識をつけることで初見問題への対応力も付くと思うので、しっかりと演習に取り組んでいきましょう。
ガス主任技術者試験の科目別対策ポイント
ガス主任技術者試験では、科目ごとに合格基準が設定されているので、科目別の対策ポイントも押さえておきましょう。
まずマークシート問題についてですが、法令科目と基礎科目を得点源にできるようにしておきましょう。というのも、この2教科は暗記問題が多いことに加え、過去問からの出題も多いので対策しやすいです。ただし、基礎科目には計算問題も含まれるので、解き方はしっかりと身に付けておきましょう。
製造科目については多少難易度の高い科目となっています。過去問にはない、新しい問題が出やすいところなので、合格基準である30点を上回ることができるよう対策しておくと良いと思います。
論述問題については、試験時間をうまく使えるかが合格への鍵になります。時間内に問題を解き、それを伝わりやすいように文章で表すための練習をしっかりと積んでおくことが重要です。
科目的には、どちらかというと法令科目の方が書きやすいので、できるだけ得点を取れるようにしておきましょう。ただし、足切りは両科目ともあるので、最低限の得点はできるようにしておく必要があります。
ガス主任技術者試験のおすすめ参考書
それでは、ガス主任技術者試験の対策におすすめの参考書をご紹介します。
1.ガス主任試験を受ける前と合格した後に読む本
学習方法や受験の心構え、合格後の活用法が書かれています。本書を読んでおくと学習計画が立てやすくなるので、初めて受験される方は一読しておくと良いと思います。
2.甲種ガス主任技術者試験 模擬問題集 受験用 ~ポケット版~
過去問以外の問題で演習を行うことができる模擬問題集です。5年分相当の問題が掲載されているので、実践式で勉強したいという方におすすめの問題集です。
3.乙種ガス主任技術者試験 模擬問題集 受験用 ~ポケット版~
上記テキストの乙種版です。サイズもコンパクトなので、持ち歩いて隙間時間に取り組むこともできます。
4.丙種ガス主任技術者試験 精選問題集 (LICENCE BOOKS)
丙種対策用の問題集です。5年分の過去問を分野別に整理し、詳しい解答・解説とともに掲載してあるので、分野ごとの学習が可能です。扱っている問題が少々古い点にだけ注意してください。
ガス主任技術者試験のおすすめ参考書のまとめ
ここでは、ガス主任技術者試験のおすすめ参考書をご紹介しました。
ガス主任技術者は、事業所の保安監督を行うために必携の資格です。資格を取得しておくと、企業によっては資格手当てや昇給が望めます。
ぜひこの機会にガス主任技術者試験の受験を検討してみてはいかがでしょうか。