臨床検査技師とは医師の指示のもと、患者さんの血液や尿などの検体を用いて腎臓や肝臓の異常をチェックしたり、超音波検査や脳波検査などによって患者さんの身体の表面や内部の異常を調べる仕事です。診断が難しかったり、病気の進行度合いを調べる必要がある場合、臨床検査技師が関与することになります。では、臨床検査技師になるためにはどのような試験に合格しなければいけないのでしょうか。さっそくご紹介していきたいと思います。
臨床検査技師になるまで
臨床検査技師になるためには国家試験を受験しなければいけません。また国家試験には受験資格があり誰でも受験できるというわけではありません。
受験資格
臨床検査技師の国家試験を受験するためには受験資格が必要です。
受験資格を得るためには以下の3つの方法があります。
・高校卒業後、4年制大学で医学・歯学の正規課程修了または獣医学・薬学・保健衛生学の正規課程と臨床生理学などの所定科目を修了すること
・高校卒業後、文部科学大臣が指定する学校または厚生労働大臣が指定する臨床検査技師養成所である3年制の短期大学で、決められた課程を修了すること
・高校卒業後、文部科学大臣が指定する学校または厚生労働大臣が指定する臨床検査技師養成所である専門学校などに3年以上通い、決められた課程を修了すること
国家試験の出題内容
受験資格を得ただけでは臨床検査技師になることはできません。受験資格を得るということはスタート地点に立っただけとも言えます。国家試験に合格しなければ臨床検査技師になることはできないのです。では国家試験の出題内容はどのようなものが挙げられるのでしょうか。臨床検査技師等に関する法律には以下のようなものが出題内容として記載されています。
・ 医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む。)
・公衆衛生学(関係法規を含む。)
・ 臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む。)
・ 臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む。)
・病理組織細胞学
・臨床生理学
・臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む。)
・臨床血液学
・臨床微生物学
・臨床免疫学
このような範囲で200問出題されます。
合格基準
試験はマークシート形式で200問出題されます。合格するためには60%の正答率が必要となります。
合格率
臨床検査技師の合格率についてみていきましょう。2017年は78.7%、2018年は79.3%、2019年は75.2%、2020年は71.5%、2021年は80.2%と合格率は比較的高い試験となっています。試験を受けるには大学などで決められた課程を修了する必要があり、ある程度合格の準備が出来た人たちが受験しているため、このような合格率なっていると言えます。
将来性
臨床検査技師は医療現場において検査全般に関わります。いわば検査のスペシャリストです。しかし現在、検査機器が発展していて実際に働いている方やこれから目指そうとしている方は将来性について不安に感じているかもしれません。しかし臨床検査技師の業務は幅広く、部門ごとに業務内容は異なります。いままで行ってきた業務は検査の自動化が進むことで減少している部分もあるかもしれませんが新たな業務が追加されるなどしているため将来性がないとは決して言えないでしょう。覚えることがたくさんあり大変ではありますが、様々な部門に対応できるスキルを身につけることが大切なのです。他の資格を取得してスキルアップするということも一つの手段であると言えます。向上心を持ち日々努力していくことで将来性が生まれるのではないでしょうか。
給料は?
臨床検査技師の平均年収は男性514万円、女性449万円です。給料は年齢とともに上昇する傾向があり20代前半では年収の平均が320万程度ですが、50代後半の男性は743万円、女性は556万円となっています。もちろん勤め先や年数、経験、専門性によって差はあります。
臨床検査技師の国家試験のまとめ
今回は臨床検査技師の国家試験についてご紹介してきました。国家試験自体の難易度はそこまで高くなく、大学や専門学校でしっかり知識を身につければ合格できる可能性は非常に高いでしょう。将来性も自分の努力次第であると言え、資格を取得するメリットは十分あると言えます。少しでも興味がある方は臨床検査技師の資格を目指してみてはいかがでしょうか。