毒物及び劇物取締法で指定されている物質を含む製品を扱う場合、毒物劇物取扱責任者を設置しなければなりません。毒物劇物取扱責任者として従事するための資格を得る方法の一つに同名の資格試験に合格することがありますが、この試験は実施される都道府県ごとに異なります。
今回は、毒物劇物取扱責任者の都道府県ごとの違いについて詳しく見ていきたいと思います。
毒物劇物取扱責任者の基本情報
毒物劇物取扱責任者は、毒物及び劇物取締法で指定されている物質を含む製品を製造、輸入、販売を行う場合に設置が義務付けられている役職です。毒物劇物取扱責任者には同名の資格試験があり、それに合格することで毒物劇物取扱責任者として従事する資格を得ることができます。
毒物劇物取扱責任者は、一般、農業用品目、特定品目の3つの区分に分かれています。一般区分では、全ての毒物及び劇物を取り扱うことができます。また、製造、輸入、販売の全てが許可されるのも一般区分のみとなっています。農業用品目では、厚生労働省令で指定された毒物及び劇物のみ、製品の種類も農業用品に限って取り扱いが可能となります。また、製造を行うことはできず、輸入、販売のみが許可されます。特定品目では、厚生労働省令で指定された特定品目のみの取り扱いが許可され、こちらも輸入、販売のみが可能となります。
毒物劇物取扱責任者の試験自体に受験資格はありません。しかし、以下に該当する方は毒物劇物取扱責任者には就けませんので注意してください。
• 18歳未満の方
• 心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
• 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
• 毒物若しくは劇物または薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
また、薬剤師や、厚生労働省令で指定した学校で、応用化学に関する学科を終了している場合は、既に毒物劇物取扱責任者の資格を有していますので、受験前に一度該当するかどうか確認してみてください。
毒物劇物取扱責任者の試験は都道府県ごとに異なる?
毒物劇物取扱責任者では、試験内容や合格基準など全てにおいて実施される都道府県ごとに異なります。ここでは、東京都を例にご紹介します。
試験は、筆記試験と実地試験に分かれていますが、東京都では実地試験も筆記形式で行われます。試験内容は、筆記試験が「毒物及び劇物に関する法規」、「基礎化学」、「毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱い方法」、実地試験が「毒物及び劇物の識別及び取扱い方法」となっています。試験時間は一般区分で2時間、農業用品目と特定品目で1時間半となっていて、どの区分でも四肢択一式で出題されます。一般区分の合格基準は、筆記試験と実地試験それぞれで100点満点中50点以上かつ、合計120点以上(200点満点)です。農業用品目と特定品目では、筆記試験で90点満点中45点以上、実地試験で60点満点中30点以上かつ、合計で90点以上(150点満点)の得点で合格となります。合格率は一般区分が約50%、農業用品目が約30%です。特定品目に関しては、受験者数が少なく、年によってばらつきがあります。2021年度試験では3人中3人が合格となっています。
毒物劇物取扱責任者の資格は、どの都道府県で取得しても全国で使用できるため、問題が簡単な傾向にある地域で受験するのも良いかもしれません。ただし、近年、難易度の地域差をなくすため、地域ごとに試験内容が統一されている場合があります。最新の試験状況には注意してください。
一般 | 農業用品目 | 特定品目 | |
受験資格 | なし | ||
試験内容 | 筆記試験:「毒物及び劇物に関する法規」、「基礎化学」、「毒物及び劇物に性質及び貯蔵その他取扱い方法」
実地試験:「毒物及び劇物の識別及び取扱方法 |
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試験時間 | 2時間 | 1時間30分 | |
試験形式 | 四肢択一式 | ||
合格基準 | 筆記 50点以上(100点満点)、実地 50点以上(100点満点)
かつ 合計 120点以上(200点満点) |
筆記 45点以上(90点満点)、実地 30点以上(60点満点)
かつ 合計 90点以上(150点満点) |
毒物劇物取扱責任者の都道府県ごとのまとめ
今回は、毒物劇物取扱責任者の都道府県ごとの違いについてまとめてきました。
毒物劇物取扱責任者の試験は都道府県ごとに大きく異なります。ぜひご自分の受験する地域の情報をよく確認するようにしてください。