消防法で定められている、ガソリン等の石油類、金属粉等の燃焼性の高い物質を危険物と呼びます。これらの取り扱いや、その立ち合い時に必要となる国家資格が危険物取扱者です。

危険物取扱者は複数に分かれていて、所有している資格によって取り扱える危険物の種類も異なります。今回は、危険物取扱者の分類ごとに詳しく見ていきたいと思います。

危険物取扱者には分類がある?

燃焼性の高い物質は、消防法によって危険物として定められています。これらの危険物を一定量以上取り扱う場合に必要となる国家資格が危険物取扱者です。また、ガソリンスタンドなど、資格非所有者が危険物を取り扱う場合にも資格所有者の立ち合いが必要となります。このように日常生活でも必要とされる場合があるので、需要の高い資格です。

危険物取扱者は、甲・乙・丙種の3つに、乙種はさらに第1類〜第6類に分類されていて、それぞれ取り扱い可能となる危険物が異なります。必要なものを受験して取得するのが良いでしょう。

危険物取扱者 甲種の概要

危険物取扱者の中で、最も難しいのが甲種です。甲種を取得すると、全ての危険物の取り扱い及び立ち合いが可能となります。甲種のみ、学歴もしくは乙種の合格歴等の受験資格が設けられていますので、受験の際には注意してください。受験資格について詳しくは公式サイトを参照してください(http://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/qualified01.html)。

危険物取扱者の試験は、全ての分類において3科目で構成されています。甲種では、「危険物に関する法令」が15問、「物理学及び化学」が10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」が20問出題されます。試験方式は五肢択一式で、試験時間は150分間となっています。各科目それぞれ60%以上の得点で合格となります。甲種の合格率は30〜40%程度となっています。受験者はそれなりに化学の知識がある人であるにもかかわらずこの程度の合格率であることから、難易度の高い資格試験であることがわかります。資格取得のためにはまとまった学習期間が必要となるでしょう。

また、乙種を第1類から第6類まで取得した場合も全ての危険物を取り扱うことができますが、甲種との違いはどこにあるのでしょうか。その主な違いとして挙げられるのが危険物保安監督者の資格要件です。危険物保安監督者となる場合には甲種または該当危険物の乙種の取得、および6ヶ月以上の実務経験が必要となります。この実務経験の数え方に違いが出てきます。乙種では、類ごとに6ヶ月以上の実務経験が必要となりますが、甲種では全ての危険物で合算となります。複数の類にまたがった危険物保安監督者となる見込みがある場合は、乙種を全部取得するよりも甲種を取得するのが良いでしょう。

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出典:出版社HP

危険物取扱者 乙種の概要

乙種は第1類〜第6類に分類され、取得している資格によって取り扱い及び立ち合いができる危険物が異なります。中でも危険物取扱者を通して一番人気なのが乙4と言われる乙種第4類で、総受験者数の3分の2を占めます。乙4では、ガソリン、アルコール類等の引火性液体の取り扱いを可能とします。危険物の中でも身近な物質であり、需要も高いため人気の資格です。

乙種の試験は、「危険物に関する法令」15問、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」10問から構成されます。試験方式は五肢択一式で、試験時間は120分間です。合格基準は甲種と同じく、各科目で60%以上の得点で合格となります。合格率は乙4のみ30〜40%で、その他の類では60%程度です。乙4のみ合格率が低くなっている理由としては、受験者数が極端に多いことが挙げられます。乙4受験者の中には学校や会社によって受験が義務となっている例もあり、受験者のレベルが他の類と比べて高くありません。試験のレベルが乙4だけ極端に高いということはありませんので、きちんと勉強しておけば合格も難しくないでしょう。

また、乙種では、いずれか一つの類に合格すれば他の類を受験する際に「危険物に関する法令」、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の2科目が免除される制度があります。多種類の資格が必要となる際には、是非この制度を活用してください。

危険物取扱者 丙種の概要

乙種第4類で取り扱える危険物からさらに種類を絞ったのが丙種です。丙種ではガソリン、灯油、軽油、重油等の取り扱いのみが可能となり、立ち会い資格はありません。
丙種では、「危険物に関する法令」10問、「燃焼及び消火に関する基礎知識」5問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」10問が出題されます。取り扱いできる危険物が限られる分、問題数は少なく、問題自体も基礎的な内容となっています。危険物取扱者の受験が初めてで、物理や化学分野に自信がない方にはおすすめです。試験方法は四肢択一式、試験時間は75分間です。合格基準は他の種と同じで、各科目で60%以上の得点で合格となります。合格率は50%程度です。

免状の種類 取扱いのできる危険物
甲種 全種類の危険物
乙種 第1類 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機化酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類、よう素酸塩類、過マンガン酸塩類、重クロム酸塩類などの酸化性固体
第2類 硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体などの可燃性固体
第3類 カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りんなどの自然発火性物質及び禁水性物質
第4類 ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物性油類などの引火性液体
第5類 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンなどの自己反応性物質
第6類 過塩素酸、過酸化水素、硝酸、ハロゲン間化合物などの酸化性液体
丙種 ガソリン、灯油、軽油、重油など
甲種 乙種 丙種
分類 第1類〜第6類
受験資格 あり なし なし
受験科目 「危険物に関する法令」:15問

「物理学及び化学」:10問

「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」:20問

「危険物に関する法令」:15問

「基礎的な物理学及び基礎的な化学」:10問

「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」:10問

「危険物に関する法令」:10問

「燃焼及び消火に関する基礎知識」:5問

「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」:10問

試験方法 五肢択一式 五肢択一式 四肢択一式
試験時間 150分 120分 75分
合格基準 試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上

危険物取扱者の種類についてのまとめ

今回は、危険物取扱者を分類ごとに特徴をまとめてきました。

危険物取扱者は、分類ごとに取り扱える危険物の種類など大きく違いが生じることがわかりました。種類もかなり多いため、ご自分に必要な分類にぜひチャレンジしてみてください。

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出典:出版社HP