医師国家試験合格後の道

医師国家試験は一人前の医師になるまでの通過点でしかありません。しかし医師国家試験に合格しない限り医師免許は取得できません。では医師国家試験に合格した学生たちはどのような進路を選択しているのでしょうか。
最も多い一般的な進路は研修医として2年間の初期臨床研修を行い、その後、専門科を決めてから専門修得コースで3年間研修を行うパターンです。
それが終わったら大学院で研究に従事し博士の学位取得を目指す、海外留学をするなどさまざまな選択肢があります。人によっては開業する人もいるでしょう。また医師として現場で活躍するのではなく、研究者や医療技官として働く人もいます。

<2年間の初期臨床研修>
「診療に従事しようとする医師は、指定された病院で2年以上の臨床研修を受けなければならない」と医師法で定められています。そのため医師国家試験合格者たちは大学病院で研修医として働き始めます。
研修医は研修へ従事する義務がありアルバイトは禁止されています。
また2年間の研修では内科6か月以上、救急3か月以上、および2年目の地域医療研修1か月が必須とされています。その他外科・麻酔科・小児科・産婦人科・精神科のうち2つ以上の診療科の研修が必須です。

初期研修を行い、さまざまな科を回っていく中でどの科に進みたいかを決定します。
そして後期研修に進みます。初期研修は慣れないことも多く、きついと感じたり苦労することも多いと思います。しかし研修をしなければ医師としての腕も磨くことはできません。精神的な面も考えながら働くことが大切です。

<3年間の後期研修>
後期研修とは各学会が定めた専門医の取得を目的とする医師の研修期間です。後期研修は厚生労働省のシステムとして明確に定められたものではなく初期研修と比較すると比較的緩いと感じることが多いと思います。
つまり後期研修の目的は初期研修で幅広く学んだあと、それぞれの専門のキャリアを磨くことなのです。

初期研修で働く病院を決めるには

初期研修で働く病院を決めるためにはマッチングという制度があります。医師国家試験に合格してから病院を決めるのではなく医学部6年生のうちに研修に行きたい病院に順位をつけて提出します。そして病院側も採用したい医学生に順位をつけて提出し双方の希望が一致したときにマッチングが成立となり4月から研修医としてその病院で働くことになります。
自分に合った病院を見つけるためにも早い時期から病院について情報収集などを行い、病院見学なども積極的にすると良いでしょう。

もし希望通りにマッチングがいかず、アンマッチになってしまったとしても2次募集中の病院を探すなど早い行動が大切です。

研修医の大変さとは

研修医ということはまだ卒業してから間も無いということです。いくら国家試験に合格したからといえ実際に現場で活躍しなければわからないことはたくさんあります。知識や経験が十分ではない状態で患者さんを担当する精神的プレッシャーも大きいです。また突然の呼び出しなどの対応を求められることもあるでしょう。

また研修医はまだ一人前の完全な医師では無いため給料もそこまで高くはありません。一般的な新卒社会人よりは高いかもしれませんが研修医の年収は300-500万円ほどとなっておりお金の面で苦労する人もいるかもしれません。

まとめ

今回は医師国家試験後のことについて説明してきました。試験に合格して開放的な気持ちになるのはわかります。しかし医師として活躍するには医師国家試験がゴールでは無いのです。あくまで中間地点なのです。研修医として働いていく中で辛いことはたくさんあると思います。しかし医師としての責任感と自覚を持って働くことで立派な医師に近づけると思います。この記事を読むことで研修医について理解が深まる手助けとなれれば幸いです。