主にレセプト作成を行う事務能力を測る試験

診療報酬請求事務能力認定試験は公益財団法人 日本医療保険事務協会が実施していた、主にレセプト作成(診療報酬請求)を中心とする事務能力を測る全国一斉統一試験です。レセプト作成を含む診療報酬請求事務は、医療事務の中でも医療機関の経営を支える重要業務のひとつであり、迅速かつ正確な実務が求められます。

この資格は、医療事務の資格の中で最難関とも言われており、難易度が高い試験として知られてきました。合格できれば、診療報酬請求の実務を「制度・点数表・記載要領・計算」まで含めて適切に行う能力があると認められ、現場でも評価されやすい資格のひとつでした。

【重要】2026年2月時点の最新状況(受験・証明書発行)

近年の大きな変更点として、本試験は「第63回(2025年12月14日実施)」をもって最終回となっています。これから新規に受験することはできませんので、記事内の「試験対策」「受験情報」は、主に取得済みの方の整理・履歴書での活かし方、または今後の学習の目安としてお読みください。

  • 第63回(2025年12月14日)が最終実施
  • 最終回の合格者発表は2026年2月20日(金)
  • 合格証明書の発行受付は2026年2月27日(必着)で終了(希望者のみ)
  • 協会は2026年3月31日(火)に解散予定(同日にホームページ・電話・FAXも閉鎖予定)

※公式発表・試験案内は協会サイトに掲載されています(例:https://www.iryojimu.or.jp/ )。

どのような職種の人々が持っていることが多い?

診療報酬請求事務能力認定試験の取得者が多いのは、基本的に「レセプトを日常的に扱う職種・部署」です。具体的には、次のような方が取得している(または取得を目指してきた)ケースが多いです。

  • 病院の医事課・医事課(外来/入院)でレセプト点検・請求を担当する医療事務
  • クリニックの受付・会計をしつつ、月末月初にレセプト作成・返戻対応も行う事務スタッフ
  • 歯科医院で歯科レセプト(歯科請求)の作成・点検を担当する歯科助手/歯科受付事務
  • 健診機関・訪問診療クリニックなど、保険請求のルール理解が必要な事務担当
  • 医療事務の派遣・業務委託(レセプト点検会社、BPOなど)で請求業務に携わるスタッフ
  • 医療事務講座の受講者(専門学校・通信講座など)で、学習成果の到達点として受験してきた方

特に「返戻(へんれい)」「査定(さてい)」「再請求」など、請求後のやり取りまで含めて担当するポジションほど、点数表と算定ルールへの理解が問われるため、試験合格歴が評価材料になりやすい傾向があります。

診療報酬請求事務能力認定試験を取得しての医療事務の仕事

診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務として働く際、持っていると良い資格(合格歴)として知られてきました。ではそもそも医療事務はどのような仕事をするのでしょうか。ここでは、資格と結びつきが強い「レセプト周辺業務」まで含めて整理します。

仕事内容

病院やクリニックなどの医療機関で、受付、会計、カルテの準備、診療報酬の請求などの事務作業をおこなう仕事です。病院の経営を支える裏方としての役割と、患者さんと接する表の役割の両方を担っています。

医療事務にはレセプト業務も含まれます。この業務は医療機関を経営するための費用を確保するための、もっとも重要とも言えるものでもあります。そのため診療報酬請求事務能力認定試験の合格歴は「レセプト業務を一定レベルで理解している」ことの根拠として評価されやすく、採用時や配置決定の際にプラスになってきました。

レセプト業務で実際にやること(もう少し具体的に)

「レセプト作成」と一言で言っても、月末月初の作成だけではなく、日々の入力・点検の積み重ねで精度が決まります。現場では、例えば次のような作業が発生します。

  • 保険証確認(資格確認)・公費の有無確認・負担割合の取り扱い
  • 算定ルールに沿った入力(初再診、管理料、加算、検査・画像、処置、投薬など)
  • 病名の整合性チェック(算定要件との紐づき、疑義が出ない記載)
  • 月次のレセプト点検(算定漏れ・算定過多・回数制限・同日算定など)
  • 返戻・査定対応(コメント作成、再請求、必要資料の整理)
  • 医師・看護師への確認(記載の追加、オーダー内容の確認など)

このあたりは「ルールを知っているだけ」ではなく、「実際の症例・診療内容に当てはめて、矛盾なく請求できるか」が問われるため、試験で鍛えた基礎が活きやすい領域です。

向いている人

医療現場において患者とのコミュニケーションや、一緒に働くスタッフとのチームワークが大切です。そのため明るい性格の人や気配りができる人が向いています。

また医療事務は事務作業が多いです。ミスなく時間通りに的確に仕事をこなすスキルや、優先順位をつけて冷静に対処できるスキルが求められます。特に月末月初は繁忙期になりやすいので、締切意識・段取り力・集中力も重要です。そのため几帳面な人や数字に強い人、冷静に物事を判断できる人が向いていると言えます。

やりがい

医療事務は医療の現場での職業となるため、患者さんの命に関わってきます。そのため「人の役に立つ」という面で大きなやりがいを感じることでしょう。

また、医療費の仕組みや制度理解が深まると、患者さんからの質問(「これって保険がきくの?」「自己負担は?」など)に対しても、受付・会計で丁寧に案内しやすくなります。日常生活でも役立つような医療知識が得られるためメリットもあるでしょう。

苦労すること

医療事務では医療知識が必要です。覚えることもたくさんあるでしょう。特に医療事務特有の業務であるレセプト業務などは、未経験の人にとっては慣れるまで時間がかかり、とても苦労すると思います。

また、現場では制度改定(点数や算定要件の変更)もあるため「一度覚えたら終わり」ではなく、必要に応じて学び直す姿勢も求められます。分からないことを放置せず、確認しながら精度を上げていくことが大切です。

そのために診療報酬請求事務能力認定試験はとても良い資格だと思います。この資格は主にレセプト作成を行う事務能力を証明するものです。そのためこの資格を持っているということは、ある程度レセプト業務を行う際の知識が習得できている状態であると言えるのです。未経験で何も知識がない0からのスタートとは苦労度が格段に異なるでしょう。

 

医療事務仕事をするのに必須の資格はありません。しかし診療報酬請求事務能力認定試験の資格(合格歴)を持っていると、採用や給料アップの際に優遇されることが多いと言われてきました。実際に合格した方々はこのように言っています。

・就職活動の強みになる。
・当試験合格が応募条件になっている求人もあるので、選択肢が増え有利になる。
・履歴書に記入でき、アピールポイントになる。
・実務経験はないが、当試験に合格していることで採用(評価)された。
・幅広い知識を習得できたことで、処理能力が向上し効率も上がった。
・自分の力(知識)に自信が持てるようになった。
・周囲の評価が高まった(信頼を得た)
・ポストが改善された。
・昇給した。
・手当が付くようになった。
・契約社員(パート)から正社員になった。
・医療事務講座の講師を任されることになった。

これらのことを見るとわかるように、医療事務資格の最高峰ともいえる診療報酬請求事務能力認定試験はメリットも多いですね。加えて、現場での信頼(「この人に点検を任せやすい」)につながりやすいのも、レセプト業務系資格の大きな特徴です。

試験内容の特徴(参考:過去の出題範囲・形式)

※本試験は最終回をもって終了しています。ここでは「取得済みの方の振り返り」や「今後の学習の目安」として、過去の試験案内・ガイドラインに基づく特徴を整理します。

医科・歯科に分かれる

試験は「医科」「歯科」に分かれており、どちらかを選択して受験する形式でした。医科は病院・クリニックの外来/入院の請求を広く扱い、歯科は歯科特有の算定(歯式・処置・補綴など)も含めた理解が重要になります。

学科+実技(レセプト作成)で問われる

大きくは学科試験(制度・ルール・医学用語など)と、実技試験(診療報酬請求事務の実技=実際の症例に対する算定・記載)で構成されていました。単なる暗記ではなく、「算定要件を満たすか」「算定の組み合わせが妥当か」「回数・同日・併算定のルールは守れているか」など、実務に近い判断力が問われる点が難関と言われる理由です。

難易度が上がりやすいポイント

学習時・実務時に躓きやすいのは、だいたい次の領域です。

  • 算定要件(“できる/できない”の条件)を正確に拾う
  • 加算の取り違え(付けられる加算・付けられない加算)
  • 同日算定・併算定・回数制限・包括の理解
  • 病名と算定の整合性(疑義が出にくい組み立て)
  • 薬剤・材料・検査などの単価/算定単位の扱い
  • 入力は合っているのに、記載要領の不足で減点されるケース

合格率の目安(回によって変動)

回によって上下はありますが、医科は概ね30%前後の回が多く、歯科も30%台〜(回によっては)高めに出ることがあるなど、いずれも簡単とは言えない水準で推移してきました。難易度が高いと言われるのは、実技での「正確さ」と「総合力」が求められるためです。

試験が終了した今、医療事務で評価されるスキル

本試験は終了しましたが、医療事務(特にレセプト)の現場で評価されるスキルそのものは変わりません。これから医療事務を目指す方・未経験で入った方は、資格名よりも「実務で困らない基礎力」を意識すると強いです。

現場で強い人の共通点

  • 算定根拠を説明できる(なぜその点数になるか)
  • 返戻・査定の原因を切り分けられる(制度・入力・病名・記載要領)
  • 点検の観点を持っている(漏れ・過多・整合性・回数)
  • 医師・看護師に確認するタイミングが適切(早めに相談できる)
  • 改定や運用変更にキャッチアップできる

これからの学習の考え方(おすすめの順番)

  • まずは保険の仕組み(負担割合・公費・請求の流れ)を押さえる
  • 次に頻出算定(初再診、管理料、投薬、検査、画像、処置)を固める
  • 最後に“例外ルール”を増やしていく(同日・回数・包括・併算定)

この順番で学ぶと、暗記が「点」ではなく「線」でつながり、実務でも判断が早くなりやすいです。

診療報酬請求事務能力認定試験のポイント

  • 診療報酬請求(レセプト)に特化した全国一斉統一試験として、医療事務系の中でも難関とされてきた
  • 取得者が多いのは、病院の医事課・クリニックのレセプト担当など「実際に請求を担う職種」
  • 学科+実技で、制度理解だけでなく「症例に合わせて正しく請求できるか」が問われる点が特徴
  • 合格歴があると、採用・配置・業務の信頼面でプラスに働きやすい
  • 【重要】第63回(2025年12月14日)で最終回となり、これから新規受験はできない
  • 合格証明書の発行受付など、期限がある手続きは早めに確認が必要