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診療報酬請求の事務量は年々拡大
現状として画像診断、手術、検査などの医療の向上に伴い、診療報酬請求の事務量は年々拡大しています。
診療報酬請求事務能力認定試験は、診療報酬請求事務に従事する人材の質向上のために実施される統一試験です。厚生労働省が認定しているものでもあります。
また、診療報酬請求の実務を正しく行うために必要な能力を認定する試験であり、実務経験者も多く受験しています。医療保険事務資格試験の最難関と言われるほど難度が高いものとなっています。
どういう人たちが受験するの?
この資格は、初学者向けではなく、すでにある程度の実務をこなす人に向けたものです。そのため、医療事務系の短大生・専門学校生などが多く受験しています。さらに、4年制大学の医療経営・医療情報系の学部の学生も診療情報管理士・医療情報技師などの専門資格取得を目指すなかで、保険医療に関する実践的な知識の習得を目的として受験することもあるようです。しかし受験資格が必要ないため初学者で受験する方も多いようです。
- 医療機関や歯科医院で診療報酬請求に関わる事務職員。
- 医療事務のキャリアを目指す人々。
- 既に医療事務の仕事をしているが、専門知識やスキルを公式に認定してもらいたい人々。
- 医療保険制度や診療報酬に関する知識を深めたい人々。
この試験は、医療機関での請求業務における専門的な知識と能力を認定するためのものであり、医療事務分野でのキャリアを構築または拡張するための重要なステップとなります。
試験日程
7月と12月の日曜日または祝日に、年2回実施される。
試験会場は札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京都、横浜市、新潟市、金沢市、静岡市、名古屋市、大阪府、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市の17箇所となっています。
出題範囲
出題範囲としては大きく分けて以下の6つがあります。これらの範囲に基づいて、試験形式としては実際にレセプトを作成する実技試験とマーク式の学科試験があります。
(1)医療保険制度等・公費負担医療制度の概要
(2)保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識
(3)診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識
(4)医療用語及び医学・薬学の基礎知識
(5)医療関係法規の基礎知識
(6)介護保険制度の概要
それぞれについて簡単に説明していきたいと思います。
医療保険制度等・公費負担医療制度の概要
被用者保険、国民健康保険、退職者医療制度、後期高齢者医療制度についてそれぞれの保険者、加入者、給付、給付率などの制度の概要や保険給付についての知識が問われます。また、生活保護法、精神保健福祉法、障害者総合支援法、感染症法、特定疾患治療研究事業のような患者の医療費負担を軽減する制度についての知識が問われます。
保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識
保険医療機関の指定や保険医の登録、特定機能病院・地域医療支援病院・療養病床のような各種病院、病床の規定と保険医療の取扱いについて問われます。それに加えて保険医療、後期高齢者医療のルールについての知識が求められます。
診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識
保険医療における医療行為・療養の費用の計算方法についての知識や医薬品や特定保険医療材料の価格・請求方法に関する知識について出題されます。また診療報酬請求書・診療報酬明細書を作成するための必要な知識や実技に関しても評価されます。
医療用語及び医学・薬学の基礎知識
診療報酬請求事務を行うために必要な病名、検査法、医薬品などの用語やその略語についての知識や身体の部位、臓器等の位置・名称・機能・異常・治療法について問われます。また、医薬品の種類・名称・規格・形状・単位についての知識も求められます。
医療関係法規の基礎知識
医療法に基づいた医療施設の規定や医師法・歯科医師法などの医療関係者に関する法律に基づいた医療機関の従事者の種類とその業務の基本知識が問われます。
介護保険制度の概要
介護保険制度の保険者・被保険者・給付の内容などの知識について問われます。
合格基準
合格基準は学科試験60%以上、実技試験85%以上となっています。
学科試験、実務試験共に合格基準を満たす必要があります。
受験資格
診療報酬請求事務能力認定試験に受験資格はありません。誰でも受験可能です。
そのためしっかりと計画を立てて勉強のポイントを抑えることができれば独学でも十分対応できると思います。しかし難易度がとても高いため、勉強する前にある一定の医療事務に関する知識が必要です。
合格について
この試験は医科と歯科に分かれています。
それぞれの合格率は以下の通りです。
【医科】33.5%
【歯科】30.4%
合格率はとても低く医療保険事務資格試験の最難関と言われることも納得できるでしょう。
また医科は1万人以上の受験者がいるのに対し、歯科は150人程度の受験者となっております。この診療報酬請求事務能力認定試験を受験する方はほとんどが医科の方を受験していると考えて良いでしょう。
診療報酬請求事務能力認定試験の今後の需要
診療報酬請求事務能力認定試験の今後の需要については、いくつかの異なる見解が存在します。一方で、この試験は医療事務の重要なスキルと知識を証明する資格であり、その難易度は高いとされています。学科試験と実技試験の両方に合格する必要があるため、特に実務経験のない人にとっては挑戦的な試験と言えます。
しかしながら、医療事務の分野ではICT(情報通信技術)の導入が進んでおり、レセプトのチェック作業などが機械化されつつあります。これにより、将来的にはレセプト関連の業務で人の手が必要な部分が減少する可能性があります。すでに一部の医療機関ではレセプトの目視点検を行わないところもあり、今後この傾向は拡大すると考えられます。
さらに、医療事務の資格全般についての認識は病院によって異なり、資格取得者に対して資格手当を支給するなどのメリットを設けている病院もあれば、資格の価値に疑問を持っている病院幹部もいます。そのため、資格取得のメリットは個々の状況に大きく依存します。資格取得のための勉強過程は個人のスキル向上には役立つものの、実際の業務における必要性は場合によって異なると言えるでしょう。
総じて、診療報酬請求事務能力認定試験は難易度が高い資格試験であり、医療事務の分野でのキャリア構築やスキルアップには有用ですが、医療事務業務の自動化の進展や各病院における資格への認識によって、今後の需要は変化する可能性があります 。
診療報酬請求事務能力認定試験の内容のまとめ
診療報酬請求事務能力認定試験について理解していただけたでしょうか。この検定はとても難易度が高いものであり、初学者向けではない出題内容とも言えます。しかし厚生労働省も認定している公的資格でとても高く評価されている資格でもあります。時間に余裕のある方は受験を考えてみてはいかがでしょうか。