中小企業診断士(以下、診断士と略する場合もある)とは、試験に合格すると、経済産業省大臣に登録される国家資格です。
経済産業省令において、経営診断または助言を行う者として規定された、経営分野での国家資格は、中小企業診断士のみです。
中小企業に適切な経営の診断及び経営に関する助言を行う、経営コンサルタントです。
中小企業に限らず、経営に関する知識を有しており、日本版MBAなどと言われています。
そして、中小企業と行政機関・金融機関の橋渡しをする、企業経営の適正化において、重要な役割に位置付けられています。
中小企業診断士の資格取得後は、どのような仕事に携わることができるのでしょうか?
中小起業診断士は、開業独立する診断士と、企業内診断士に分かれます。
開業診断士の仕事内容を例に、中小企業診断士の仕事内容を見ていきましょう。
診断士の携わる仕事は、大抵、「診る」「書く」「話す」に分類されます。
中小企業診断士の仕事
1.診る
「診る」仕事とはコンサルティングや企業経営診断のことです。
独立した診断士が最初に仕事として、選択することが多いのが、公的機関のコンサルティングや経営支援です。商工会や中小企業連合会などの公的機関で窓口相談や、補助金・助成金・融資の申請支援を行なったりします。コンサルティング業務の内容は、色々あります。融資について事業計画策定の支援や、市場分析などがあります。現在、コロナ禍、補助金等の公的支援はピークを迎えており、公的機関に支援を求める中小企業は沢山あります。また、それがきっかけとなって、顧問契約や、企業診断の依頼が来るなど、様々な道につながりますので、公的機関にてのコンサルティングは人気な仕事の一つです。
2.書く
「書く」仕事とは執筆活動です。企業が仕事を依頼する際に、ビジネス書の出版等があると信頼度が高まります。執筆活動は、自分の仕事スケジュールをコントロールでき、名刺やウェブサイト以上に、自分自身の宣伝となります。また、執筆活動を通じ、知識も深まるので、自分自身にとっても役に立つ分野の仕事です。実績がないうちは、個人宛に、ビジネス書の執筆が突然くることは、ないので、民間の団体が主催するブログ等のSNSでの執筆などから参加し、書く力を習得している診断士も大勢います。
また、①でも述べた公的機関補助金や助成金の申請書作成の代行という仕事も、「書く」の中でも、大きな仕事の一つです。国が中小企業に向けて用意している補助金は数多くあります。しかし、採択されるには、実現可能かつ魅力のある事業計画などを、時間をかけてわかりやすく作らなくてはなりません。知識のない一般の中小企業の事業者が、事業計画や申請書を作るのは至難の業です。中小企業の依頼を受けて、採択率の高い、事業計画をコンサルティングしながら書き上げるのも診断士の得意とするお仕事の一つです。
3.話す
「話す」仕事とは講演会・セミナー・講師業と様々あります。新型コロナウィルスの流行により、セミナーや研修は、一時期、ほぼ、中止となりましたが、現在は、オンラインへと移行しつつあります。
診断士が行う講師業の代表的なものは、下記の通りです。
A. 資格学校の講師
B. 商工会の経営セミナーなどの講師や中小企業の従業員向けのスキルアップセミナー
C. 経営者向けの経営セミナー
D. 企業研修講師
研修講師は、研修コンテンツ会社が提供する資料をもとに、話を進めていくものと、コンテンツから自身で作成してくものとがあります。企業研修においては、企業コンサルティングをして、問題点を探り、そしてその問題点をセミナーとして形にし、それを通じ、解決していくという形も、診断士ならではの手法です。セミナー講師や研修は、評判が良いと、リピートにつながります。そして、コンサルティング・分析・コンテンツ作成・セミナー開催という流れを自分自身のみで確立すると、高い報酬を得ることも可能となります。
中小企業診断士の仕事内容のまとめ
診断士の仕事は大きく、「診る」「書く」「話す」に分類されます。
「診る」コンサルティング業務・経営支援・公的機関での窓口業務など
「書く」の記事やビジネス書の執筆活動や補助金の申請書類の作成など
「話す」仕事のセミナー講師や資格講師、企業研修講師など
それぞれ、仕事のしかたや報酬額は異なりますが、自身のコミュニケーション能力の中で得意とするものを強みに、仕事を広げていくのはいかがでしょうか。