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不動産の仕事と一口に言っても、取り扱うものは多岐にわたります。
実はそれぞれの分野において、その道のプロであることを証明できる民間資格が多数存在するのはご存知でしょうか?
今回は、国家資格ではないけれど専門性が高く、その道のプロとしてお客さまからの信頼を集められる不動産系の民間資格をまとめました。
1. 民間資格を取得するメリット・デメリット
民間資格なんてとっても意味がないんじゃないか?と不安な方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、民間資格を取るメリットとデメリットを整理してみました。
∟メリット:不動産の初心者でもわかりやすい肩書きが手に入る
最も大きなメリットは「初心者がわかりやすい肩書き」でお客様からの信頼を得ることができる点です。
自分の住まいや土地などは、そうそう簡単に住み替えたりすることができません。
もしかしたら一生のうちでたった1回だけかもしれない、そんな方がお客様としていらっしゃいます。
そんな素人でも名刺を見ただけで「あ、こんなプロの人に担当してもらえるんだ」と思ってもらえる。民間資格ネーミングには、そんな分かりやすさがあります。
∟メリット:受験のハードルが低い
民間資格は取得にかかる時間や条件がかなり少ないものがほとんどです。
国家資格だと年単位で勉強をする必要があり、プライベートの時間も削られることが多くなってしまいます。
その点、民間資格は場合によっては1日の講義だけで取得できることもあります。
∟デメリット:受講料が高い
国家資格に比べて、受講料が高めのものが多いです。
受講料の他に公式テキストなどを購入しなければならないなど、目先の出費としては大きなものになります。
また短期間で取得するものがほとんどのため、どのように実務に落とし込んでいくかを自分自身で工夫していかなければなりません。
∟デメリット:未経験のうちは可能性を狭めてしまう
受験に際する条件に実務経験などが含まれないため、未経験者でも取得ができます。しかし最初から専門性ばかりを突き詰めてしまうと、就職した会社ではその業務を扱っていなかったり、変に偏った知識を持つことで混乱してしまう可能性があります。
では、メリットとデメリットを整理したところで、一体どれくらいの民間資格があるのかを見ていきましょう。
2. 不動産売買に関わる民間資格
まずは不動産業界の基礎、売買に関わる資格です。
∟投資不動産取引士
2016年に作られた、投資用不動産取引に特化した専門家を認定する資格です。
不動産の中でも投資用の不動産に特化することで、これから不動産投資を始めようとする人や、投資による利益を上げたい人へのコンサルティングが可能になります。
主催 :一般社団法人 投資不動産流通協会
試験 :年3回
四肢択一形式のオンライン試験
出題数40問/試験時間90分
有効期間:5年
∟競売不動産取扱主任者
不動産競売のプロとして、一般消費者を守りサポートするための資格を指します。競売代行業は誰でも開業が可能なため、知識を持たない人でも代行が可能になってしまいます。そのような中でしっかりと一線を画していることが証明できます。
主催 :一般社団法人 不動産競売流通協会
試験 :年1回
全国各地での四肢択一形式筆記試験
出題数50問/試験時間120分
有効期間:5年
∟古民家鑑定士
「築50年以上の木造住宅」で「伝統構法で建てられている」ものを古民家として、その伝統工法・資材を理解して持続可能な形で次世代に継承するための知識を備えている鑑定士です。
主催 :一般財団法人 職業技能振興会
試験 :月1〜2回
全国各地で「総論」「伝統構法」「在来構法」の3科目試験
公式テキスト持ち込み可/試験時間50分
有効期間:3年
∟任意売却取扱主任者
任意売却について安全かつ適切な取引が行われるように、任意売却希望者の相談役として金融機関や弁護士などとの連携を図ってサポートを行うプロです。任意売却の知名度の低さや相談先の少なさから倦厭されがちでしたが、コロナ禍での社会情勢の移り変わりで注目度が上がっています。
主催 :一般社団法人全国住宅ローン救済・任意売却支援協会
試験 :年1回
全国3〜4カ所で四肢択一式と記述式の試験
択一問題40問・記述式2問/試験時間120分
有効期間:5年
3. 不動産管理に関わる民間資格
不動産の中でも管理に重点をおいた民間資格です。
∟マンション大規模修繕プランナー
マンションの価値を維持するために欠かせない大規模修繕に関して、国土交通省が定める修繕・改修マニュアルに基づいた計画を立てるプロです。効果的な修繕計画を立てることでマンション管理組合やオーナーに対して適切なアドバイスを行います。
主催 :NPO法人 日本住宅性能検査協会
試験 :随時
WEB講習を受講後、そのままWEB試験
有効期間:2年
∟ホームインスペクター(住宅診断士)
住宅の屋根や外装、小屋裏から床下までの住宅全体を目視し、劣化状況や欠陥の有無を判断。メンテナンスのためのアドバイスを行う資格です。住宅の購入・売却の前に住宅診断を入れることで、客観的な視点から住宅の管理状況を把握することができます。
主催 :NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会
試験 :年4回
四肢択一形式のCBT方式
出題数50問/試験時間90分
有効期間:2年
4. 不動産経営に関わる民間資格
管理だけでなく、経営として利益を出すところまでを範囲とした資格です。
∟ビル経営管理士
一定以上の規模(階数が5以上で、延べ面積が1000m2を超える賃貸)のビル経営におけるプロを示す資格です。地権者に代わってビルの経営に関する企画・立案から運営に至るまでを幅広くカバーします。
主催 :一般財団法人 日本ビルヂング協会連合会
試験 :年1回
「総合問題(免除あり)」「企画・立案業務」「賃貸営業業務」「管理・運営業務」の4科目(3科目)。科目数によって試験方法が異なる。
総合問題(60分・30点)それ以外各試験時間(45分・90点)
有効期間:5年
∟不動産コンサルティングマスター
宅建士・不動産鑑定士・一級建築士のみが対象となる民間資格です。対象の業務に一定期間従事した上で、試験に合格した人のみが獲得できる不動産のプロとして幅広く相談に乗れることを認めてくれます。
主催 :公益財団法人 不動産流通推進センター
試験 :年1回
全国12カ所で開催。択一式試験と記述式試験の二段構え
有効期間:5年
5. 不動産賃貸に関わる民間資格
最後に、不動産賃貸における民間資格のご紹介です。
∟敷金診断士
不動産賃貸において最も多いトラブルの「敷金・保証金」をめぐるトラブルを解決するプロとして認定される資格です。試験に合格しただけでなく、所定の講習を受けることで初めて認定されます。
主催 :特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会
試験 :随時
CBT方式で50問/90分
有効期間:2年
∟空き家管理士
これまで個人の厚意のみに頼りきりだった空き家管理に、一定のガイドラインを設け、資産としての価値を保つ管理を行うスペシャリストです。必要があれば地域の自治体や士業と連携をとって、資産としての価値を残すサポートも行います。
主催 :一般社団法人 空き家管理士協会
試験 :随時
オンラインによる対策講座&試験に合格
有効期間:3年
∟認定サブリース建物取扱主任者
近年多くの不動産オーナーが活用してるサブリースにおいて、長期的な収支計画や管理会社・建設業者の選定などで不動産オーナーをサポートするスペシャリストです。
主催 :特定非営利活動法人 日本住宅性能検査協会
試験 :随時
認定講座を受講後、レポートの提出を行うことで講習が修了。
有効期間:2年
実はこんなにある!国家資格じゃないけど専門性が高い「不動産系民間資格」をまとめてみたのまとめ
いかがでしたでしょうか?
いずれも具体的な名前がついているものが多く、不動産に詳しくない人でも「〇〇の分野のプロなんだ!」と一発で理解できるものが多いですよね。
しかしその分「どの程度のプロなのか」「信頼性はどこまであるのか」など疑り深くなってしまう人もいるでしょう。
資格を取っただけで満足せず、目の前のお客様の信頼を得るための努力は日々怠らないようにしないといけませんね。
それでも、資格・肩書きの効果は目を見張るものがあるかもしれません。ぜひご自身のスキルアップのためにも、民間資格の取得を検討してみてください。