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賃貸不動産経営管理士の資格は、未経験からでも取得できる不動産系の国家資格として人気のものです。
しかし、実際に未経験から資格を取得しても仕事にありつくことはできるのでしょうか?
今回は、未経験からの資格取得から実際に報酬を得るまでに必要な経緯をまとめていきます。
1. 賃貸不動産経営管理士の仕事
∟不動産の中でも賃貸物件に特化したプロ
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸物件に特化したプロを示す国家資格です。登録の条件として、宅建士であること(または2年以上の実務経験があること)が定められています。
賃貸でも契約などに関しては宅建士の仕事の範囲内ですが、入居後の快適な暮らし&価値を維持するノウハウなどは賃貸不動産経営管理士の範囲となります。
∟入居に関するトラブルを未然に防ぐ
賃貸不動産経営管理士は、満室経営のための市場調査や入居者募集の工夫に始まり、入居者の賃料収納業務、退去に伴う敷金生産&原状回復まで、不動産の知識が少ない大家さんを幅広くサポートします。
こうした日々の業務をこなしていくことで入居に関するトラブルを未然に防ぎ、大家さんにスムーズで安定した賃貸経営を続けてもらうことが重要な役割です。
∟高齢者・未経験オーナーの強い味方
高齢化社会によって、これまでは自分で管理できていた人も、高齢化や止むを得ない理由で経験のない親族に物件委ねなければならないという状況が増えてきています。
また、不動産投資などが一般的になったことで自分で買ったマンションを賃貸に出したいというオーナーも増えてきました。
このように賃貸経営のノウハウを持たない人が不動産賃貸において赤字を防ぐためには、賃貸不動産経営管理士が強い味方となるはずです。
2. 賃貸不動産経営管理士の資格取得までの流れ
賃貸不動産経営管理士は、2007年に国家資格となりました。
そのため、取得までには一定の勉強とお金が必要になります。
∟合格率30%の国家資格に合格
賃貸不動産経営管理士試験の合格率は、約30%となっています。
宅建士・マンション管理士などに比べると比較的取りやすい資格ですが、片手間受験で合格できるほど甘いものではありません。
しっかり100時間以上は勉強して臨みたいところですね。
∟登録方法
試験に合格後、登録を受けることで賃貸不動産経営管理士と名乗ることができます。
登録には規定があり、宅建士としての登録を受けていること又は2年以上の賃貸住宅の管理実務経験が求められます。
未経験から登録までを行うには、最低でも宅建士試験に合格してかつ登録までを済ませておく必要があります。
※合格権利は生涯有効のため、登録や証明証の発行は任意です。
∟更新について
賃貸不動産経営管理士証を持ち続けるためには、5年に一度更新が必要になります。2023年現在、更新にあたっての講習の規定などはありません。
更新の時期が近づいてくると郵送で連絡が来ますので、それに沿って更新料を払い込むことで更新ができます。
3. 仕事を得る方法について
賃貸不動産経営管理士の資格を得た後は、どのように仕事に繋げていくことになるのでしょうか?
∟就職先はどんなところ?
メインは賃貸を扱う不動産会社でしょう。
賃貸不動産経営管理士の資格を取る中で、賃貸契約や管理業務に関して体系的な知識を得ることができます。会社側からしても、ある程度の即戦力として期待されるでしょう。
一口に賃貸と言っても、居住の他に店舗やレンタルスペースの運営・民泊など最近では賃貸物件の可能性が広く取り沙汰されています。
そのように新規事業として賃貸経営に乗り出す会社も少なくないので、これからも就職先は増えていくでしょう。
∟独立&開業の可能性はあるのか?
賃貸不動産経営管理士の資格のみで独立&開業はかなり難しいでしょう。
しかし、“賃貸に特化”という看板を持てることは非常に強みになります。
今後の需要によっては、可能性が上がっていくでしょう。
∟都心部or地方ではどちらが有利?
賃貸というと、やはり都心部の方が案件自体は多いと言えます。
地方は持ち家がメインなぶん賃貸経営のノウハウが薄い可能性もあるので、新規開拓としての需要が見込めます。
4. 未経験から賃貸不動産経営管理士を目指す未来
ここまでの情報を踏まえて、業界未経験者が賃貸不動産経営管理士資格をとった後の未来についてまとめていきます。
∟未経験者はまず会社で経験を積むことが優先
賃貸不動産経営管理士の仕事は、完全未経験から独立&開業して収入につなげることが難しい資格です。
まずはしっかりと会社に勤めて経験を積み、賃貸経営・管理業務の経験を積むことが大切です。
∟歴史が浅いため、独立は早計とも言える
賃貸不動産経営管理士は国家資格になってから歴史が浅く、業界内でも知名度が高くありません。まして、顧客となってくれる大家さんからしても「?」となる可能性があります。
まずは信頼関係のある会社の一員として信用してもらい、そこから独立の可能性・必要性を見極めることが大切です。
∟今後の動向を見守ってから身のふりを考える
まだまだ歴史が浅い資格だからこそ、早めに取得して経験を積むことそのものが先行者利益の獲得につながります。
資格の取得がすぐに年収アップにつながらないのはヤキモキする部分もあるでしょうが、今後の動向を最新情報とともに見極めていける立場になるのが良いでしょう。
賃貸不動産経営管理士は未経験から取得しても食べていけるのか?独立&開業の可能性についてのまとめ
いかがでしたでしょうか?
賃貸不動産経営管理士の資格は不動産の国家資格の中でも合格率が高く、挑戦しやすいものです。しかしこの資格単独では、年収を上げることや独立開業は難しいでしょう。
そのためにも、最初にとるべき資格が賃貸不動産経営管理士で適切かどうか?を一度じっくり考えてみてください。