形容詞の限定用法と叙述用法の違いとは? それぞれの活用を理解しよう
名詞の性質や状態を表すときに使用するのが形容詞。TOEIC®L&Rテストの文法問題でも品詞問題の一つとして出題されます。形容詞の使い方は数えるほどしかないので、覚えてしまえば品詞問題は得点源にすることができます。
形容詞には限定用法と叙述用法の二つがある
ここでは形容詞の二つの用法を説明します。そもそも、形容詞には名詞を修飾して事物の性質や状態を表わし、名詞が「どのようなものか?」という情報を追加する役割を果たします。そのことを踏まえて形容詞には、名詞の前(後ろの場合もある)に形容詞がつく「限定用法」と、形容詞が名詞の補語(C)になる「叙述用法」の二つの用法があると覚えましょう。
【限定用法】
例:a beautiful girl
「“美しい”少女」
【叙述用法】
例1:She is beautiful.(SVC)
「彼女は“美しい”」
例2:She always keeps her room clean.(SVOC)
「彼女は部屋をいつも“きれい”にしている」
補語とは主語や目的語の説明するもので、上記の例の場合、【例1】She(S)=beautiful(C)、【例2】his room(O)=clean(C)という関係が成り立ちます。このように形容詞は、名詞や動詞の後ろに置かれるという性質があると分かります。また、例えば【1】の場合、「very」という副詞を付けて、「She is very beautiful.」とした場合は、副詞の後ろに置くこともあります。
形容詞は様々なポジションを取るとわかりましたが、TOEIC®の問題で特に聞かれる特性は「形容詞は名詞を修飾する」という点です。副詞との違いをよく聞かれますが、副詞は形容詞と異なり名詞を修飾することが出来ません。よって、TOEIC®では、この特性を理解していることが得点に繋がります。では、次の問題を見ていきましょう。
問題1(限定用法):The director required staff to finish the cleaning before the ______ opening of the store.
(A)office
(B)officially
(C)official
(D)close
問題1は、形容詞の限定用法の問題です。選択肢に複数の異なった品詞が存在するため、まずはいつものように主語となる名詞に対する動詞を探します。この文の主語は「The director」で、動詞は「required」です。次に節がないかを確認します。「Before」の後を見ると動詞が一切存在せず、また冠詞である「the」の後に動詞を置くことができませんので、「before」の後は動詞のない句ということになります。
節:文の中で2語以上のまとまりで「S+V」を持つ。
【例】I lost a pen which I bought at the store.(“which S+V”の部分が節)
句:文の中で2語以上のまとまりで「S+V」を持たない。
【例】It is great to read a book.(“to read a book”の部分が句)
問題1に話を戻すと、空欄の直後に「opening」という名詞があることから、もし空欄に名詞が入るとしても、名詞が連続する「名詞の形容詞的用法」以外ありえないことがわかります。後は、文章に適した形容詞を選ぶだけなので、形容詞の(C)officialと(D)closeの内、文脈に合う(C)officialが正解となります。
問題部分の「official opening of the store(店の公式な開店)」は、「opening(開店)」という名詞の前に「official(公式な)」という形容詞がつくことで、「開店」が「公式」なものであるという情報を付加する「限定用法」の役割を果たします。問題1の日本語訳は「上司は、その店が公式に開店する前に掃除を済ませることを要求した」となります。
問題2(叙述用法):Dublic cleaner ZT, which is ______ for people who need to clean the wall paper, is now available online.
(A)perfects
(B)perfecting
(C)perfectly
(D)perfect
問題2は形容詞の「叙述用法」を問う問題です。文を見るとカンマ(,)で括っている箇所(, which is ______ for people who need to clean the wall paper,)があります。該当箇所の用法を「非制限用法」の挿入節と言います。非制限用法とは、関係代名詞で先行詞の説明している箇所(カンマで括った箇所)を省略しても、文章の大意が変わらないものを言います。問題文の非制限用法の部分を除外した文を見てください。
Dublic cleaner ZT is now available online.(Dublic cleaner ZTはオンラインで購入が出来切るようになりました)
このように非制限用法の箇所を省略しても文意が通ります。さて、空欄の部分の直前に「S+V」があることから、空欄部分に名詞か形容詞が入るとわかります。ここで解答が形容詞である場合は「叙述用法」となり、【例1】She is beautiful.(SVC)と同じ形になります。解答する際には、「which」を「Dublic cleaner ZT」に変えて当てはめればわかります。「Dublic cleaner ZT is [(D) perfect] for people…」と形容詞以外は文が成り立たないので、答えは(D)perfectとなります。
いかがでしたでしょうか? 形容詞には「限定用法」と「叙述用法」の二つの用法があり、両方とも「名詞を修飾する」という性質を知っていれば、TOEIC®で出題されても「形容詞であるか・ないか」の見分けがつき正答率が上がってきます。ここで形容詞の特性を理解してしまいましょう。