人称代名詞と再帰代名詞、oneの用法をまとめて解説
TOEIC®L&Rテストのパート5で代名詞の選択問題は頻出される分野です。関係代名詞以外にも、人称代名詞や再帰代名詞、代名詞「one」の活用法などが代名詞には存在します。
代名詞にはどんな種類と働きがあるのか?
ここではTOEIC®でも目にする「人称代名詞」、「再帰代名詞の強調用法」、「oneの用法」について触れていきます。そもそも代名詞とは、字の通り「名詞」の「代わり」になる品詞です。例えば、TOEIC®L&Rの正式名称は「Test of English for International Communication Listening and Reading」ですが、代名詞を使わずに会話をすると次のようになります。
A:「昨日、Test of English for International Communication Listening and Reading受けてきたけど、君はTest of English for International Communication Listening and Reading受けたことある?」
B:「うん。私も先月、Test of English for International Communication Listening and Reading受けてきたよ。Test of English for International Communication Listening and Readingの中でも、特にReadingのパートが難しかった」
このように代名詞を使わずに会話をすると、非常に会話がしづらいために生まれたのが代名詞です。上記の会話では、代名詞「it(それ)」を使用すれば、次のように会話が短くなります。
A:「昨日Test of English for International Communication Listening and Reading受けてきたけど、君はそれ(it)を受けたことある?」
B:「うん。私も先月それ(it)を受けてきたよ。その(it)中でも特にReadingのパートが難しかった」
代名詞の基本「人称代名詞」を覚えよう
それでは、まず人称代名詞から見ていきましょう。「人称」とは、動作の主体が話し手・聞き手・第三者のいずれであるかの区別のことで、1人称は1人(自分)、2人称は2人(あなた)、3人称は3人(それ以外の人・物)で会話しているところをイメージするとわかりやすいと思います。では人称が分かったところで、下の表をご覧ください。
人称代名詞の主体 | 主格(〜は) | 目的格(〜に・が・を) | 所有格(〜の) | 所有代名詞(〜のもの) | 再帰代名詞(〜自身) |
私 | I | me | my | mine | myself |
私達 | we | us | our | ours | ourselves |
あなた | you | you | your | yours | yourself |
彼 | he | him | his | his | himself |
彼女 | she | her | her | hers | herself |
それ | it | it | its | なし | itself |
彼ら・彼女ら・それら | they | them | their | theirs | themselves |
人称代名詞は主格、目的格、所有格、所有代名詞などと種類の名称表現が分かりにくいですが、主格(~は)、目的格(~に、~が、~を)、所有格(~の)、所有代名詞(~のもの)と訳せるときに、上の表から該当する英語を選べばよいだけです。
(例)
・私は彼が好きだ(I like him.)
・私は彼のペンを使う(I use his pen.)
・そのペンは私のものだ(The pen is mine.)
それでは、次の問題を見ていきましょう。
問題1:The director of HR department thanked Kiyoko Koshino for ______ help with the successful project.
(A)she
(B)hers
(C)herself
(D)her
人称代名詞の問題の解き方としては、「問題文を簡略化して代名詞の種類を明確にすること」です。上の問題文を簡単な文にすると、「He thanked her for ______ help」になります。ここでの「help」は「助け」という意味の名詞です。各人称代名詞を当てはめると、(A)彼は「彼女は」助けに感謝した、(B)彼は「彼女のもの」助けに感謝した、(C)彼は「彼女自身」助けに感謝した、(D)彼は「彼女の」助けに感謝した。意味が通るのは(D)の「彼女の助け」ですね。ですので、答えは(D)で訳は「人事部長は、その成功したプロジェクトでのコシノキヨコの助けに感謝した」となります。
再帰代名詞には主語・目的語を強調する働きがある
続いては、再帰代名詞(~自身)について説明します。再帰代名詞には、「強調用法」という主語や目的語を強調する働きがあります。例えば、「I saw it myself.(私自身それを見た)」、「He himself brought it.(彼は彼自身でそれを持ってきた)」などが強調用法に当てはまります。この文は、再帰代名詞を無くしても「I saw it.(私はそれを見た)」、「He brought it.(彼はそれを持ってきた)」と意味が通じます。再帰代名詞を含む2つの例文は、主語である「私」もしくは「彼」を強調しています。
つまり、1つ目の例文の場合、他の誰でもなく「私」が見たということを強調しており、2つ目の場合も、誰でもなく「彼」が持ってきたということを強調しています。それでは、次の問題を見てみましょう。
問題2:Mr. Nakazawa decided to give the presentation before the potential investors ——- because he knows that matter more than any other employees.
(A)he
(B)him
(C)himself
(D)his
先ほど挙げたテクニックを使って問題文を簡略化すると、「Mr. Nakazawa decided to give the presentation ______ 」になり、「he」、「him」、「his」が入らないと分かります。そのため、答えは(C)himselfとなります。念のためにbecause後の文を訳すと、「彼はその件に関しては他のどの従業員よりもよく知っているから」と答えが正しいことがわかります。
また、プレゼンテーションは他の誰でもなく「彼」がやることを強調しているので、答えのhimselfは再帰代名詞の強調用法です。日本語訳は、「ナカザワ氏はその件に関して従業員の中で一番詳しいため、彼自身が潜在的な投資家の前でプレゼンテーションをすることに決めた」となります。
代名詞「one」は不特定の名詞を表す
ここまで人称代名詞を説明しましたが、他にも「it」、「this」、「these」、「that」、「one」などの代名詞があります。これらの中でもTOEIC®のパート5で目にすることも多い「one」の用法について説明します。代名詞「one」は、「it」と比較するとわかりやすく、「it」は特定の名詞(ヒト・コト・モノ)を表すのに対して、「one」は不特定の名詞(ヒト・コト・モノ)を表します。次の例文を見てください。
(例)
①I can’t find my wallet. Didn’t you see it somewhere?
②I want to eat an apple. Could you buy one for me?
さて、①の文では、代名詞「it」が「私の」財布という“特定”の財布を指しています。それに比べて②では、代名詞「one」は“不特定”のリンゴを指しています。つまり、リンゴならば何でも良いわけです。この違いが理解できていれば、次の問題も解けると思います。
問題3:Tsugaru apple is the most expensive ______ in the fruit market.
(A)it
(B)that
(C)one
(D)those
選択肢が全て代名詞なので、空欄に代名詞に代わる名詞を入れてみると、「Tsugaru apple was the most expensive “apple” in the fruit market.」となります。この“apple”は、不特定のリンゴを指しています。もっとわかりやすく訳すと、「津軽リンゴは“果実市場にある不特定のすべてのリンゴ”の中で一番高かった」という訳になるので、答えは(C)oneとなります。
「人称代名詞」、「再帰代名詞の強調用法」、「oneの用法」と代名詞を説明してきましたがいかがでしょうか? 代名詞はTOEIC®の文法問題にも出題されるだけではなく、普段の会話の中でも使用機会が多いので、今一度使い方などを復習しておきましょう。