臭気判定士になるには、国家試験に合格する必要があります。所得を目指す方の中には働きながら勉強されている方も多く、完全に独学で合格することも難しくはありません。では、臭気判定士の資格を取得するための方法は一体どのようなものなのでしょうか。
ここでは、臭気判定士の勉強法、学習する上でのポイントを紹介します。
独学の人は約半分
資格所得のための方法の1つとして、臭気判定技術講習会に参加することが挙げられます。この臭気判定技術講習会は、自分で受けるコースを選択し受講する仕組みとなっており、コースは科目ごとに分類、参加すると講習会用のテキスト、講義に用いられたスライド資料、過去3年分の過去問題がもらえます。
臭気判定士の公式ホームページによると、「参考書で独学にて勉強される方と、講習会を受講し勉強される方の割合は半分づつくらい」とのことでした、合格者にどれほど独学で勉強された方がいるのかは不明ですが、自分の知識に不安がある方は、臭気判定技術講習会に参加してみると良いかと思います。以下に講習会のコースとその内容をまとめておきます。
コース | 科目 | 講習内容 |
A | 分析統計概論 | ◆統計学の最低限必要な基礎知識 ◆データの基本構造 ◆統計的処理する際の例題解説 |
B | 悪臭防止行政 | ◆悪臭防止法の内容や臭気判定士の役割 ◆臭気発生源及び防止対策に関する基礎知識 |
C | 悪臭測定概論 | ◆機器分析、嗅覚測定に関する知識 ◆特定悪臭物質や臭気指数等の考え方 ◆嗅覚測定法に関する全般的な知識 ◆臭気判定士の作業内容と安全管理 |
D | 嗅覚概論 模擬演習 |
◆嗅覚の仕組みと嗅覚の基本的な特性 ◆におい物質の特性とにおいの役割 ◆実際の問題数に合わせた過去問題の演習 |
大学に行く選択も
臭気判定士に合格するために、大学に通うという選択肢も存在します。例えば愛知県にある「大同大学」という私立大学には、工学部建築学科「かおりデザイン専攻」が設けられており、においについての基礎知識から学ぶことができます。
臭気判定士の資格が所得できる確率はかなり高いと思いますが、4年通う必要があり、私立大学のため学費もかなりかかります。臭気判定士を目指す、というよりは、においについて興味があり、大学で得た知識や技能を用いて幅広く活躍したい方におすすめです。
メインは筆記
臭気判定士になるための試験には、筆記で行われる臭気判定士試験と、実際に嗅覚を用いて行われる嗅覚検査があり、資格を申請するためには両方の試験の合格証を免状申請書に添えて提出しなければなりません。
嗅覚検査という実技試験については、5本のにおいがついた紙から2本の基準となるにおいがついた紙を嗅ぎ当て、5種類ある基準臭のにおい紙を嗅ぎ当てれば合格です。嗅覚が正常であるかを確認するための試験であり、異臭に気づければ何も問題ありません。問題は筆記試験であり、
嗅覚概論 | ・嗅覚の仕組みやにおいの役割等に関する事項 ・嗅覚の 順応や 閾値等 、嗅覚の基本的な特性に関する事項 ・嗅覚とにおい物質の関係に関する事項 ・嗅覚検査やパネルの選定と管理に関する事項 ・においの評価に関する事項 |
悪臭防止行政 | ・規制地域及び規制基準に関する事項 ・臭気判定士(臭気測定業務従事者)に関する事項 ・その他の悪臭防止法、施行令、施行規則、告示等の内容に関する基本的事項 ・悪臭原因物、悪臭苦情及び悪臭防止法の施行状況に関する事項 ・臭気発生源及び悪臭防止対策に関する事項 |
悪臭測定概論 | ・嗅覚測定法全般(測定法の種類、尺度間の関係、希釈等)に関する事項 ・特定悪臭物質の性質・測定等に係る基礎的な知識に関する事項 ・嗅覚測定の精度管理・安全管理に関する事項 ・排出ガスのガス速度、温度、水分等の測定方法(JIS Z 8808)、臭気の拡散に関する基礎的な事項 ・臭気排出強度、脱臭効率の計算など測定結果の解析に関する事項 |
分析統計概論 | ・統計の基本的な考え方に関する事項 ・度数分布、代表値、散布度、単回帰、相関等のデータの基本構造に関する事項 ・統計的推定、統計的仮説検定等に関する事項 ・2点試験法、3点試験法等、臭気測定データの統計的処理に関する事項 ・精度管理に用いる用語等に関する事項 |
秋季指数等の測定実務 | ・ 試料採取に用いる器材とその取り扱いに関する事項 ・試料採取方法に関する事項 ・判定試験に用いる器材とその取り扱いに関する事項 ・判定試験方法に関する事項 ・臭気指数の算出 – 計算問題(5問 ) |
上記科目の1分野につき10問(10点満点)、最後の計算問題は5問(10点)、を解答します。筆記試験対策は資格取得のために必須であり、勉強時間をほぼ筆記試験対策に割く形になるかと思います。
臭気判定士の勉強法のまとめ
以上、臭気判定士の勉強法について紹介しました。
独学で勉強される方も多く見られますが、合格率が30%程度、ということも考えると、臭気判定技術講習会に参加した方が、より合格に近づけると思います。ですが、費用が試験費用に加えて負担になること、また日程のスケジュール調整をしなければならないことから、必ずしも受講する必要はありません。ご自身の知識量や確保できる勉強時間に応じた勉強法を選ぶようにしましょう。