<中小企業診断士とは?>

まずは中小企業診断士がどのような職業であるのか確認していきます。

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対して診断や助言を行う専門家の事を指します。

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○仕事内容

主な仕事内容としては、中小企業を対象とした経営コンサルティングを行います。コンサルティングを行う職業は他にもありますが、中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格であるのが特徴です。

 

○働き方

中小企業診断士としての働き方は様々ですが、大きく分けると「企業内診断士」「独立診断士」の二つに分類されます。

 

「企業内診断士」として働く場合は、企業に所属することになるためそれぞれの企業によって求められる仕事は変わっていきます。中小企業診断士として得た知識を活かし経営企画などで活躍する場合が多いです。

 

「独立診断士」として働く場合は、自身のコンサルティング会社を設立することになります。当然ですが、顧客を自分で獲得していく必要があるためより高い営業スキル・コミュニケーションスキルが求められます。多くの場合は、中小企業診断士としてのスキルをある程度アップさせ人脈をつくったのちに独立を目指すことになります。

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<資格獲得までの道のり>

 

「中小企業診断士」として登録するには「1次試験」、「2次試験」、「実務補習・実務従事」の3つ全てをこなす必要があります。

 

1次試験

1次試験は、中小企業診断士として必要な知識を有しているかを判定する目的で行われます。

 

試験科目は、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の全7科目です。

全科目の合計点数が60%以上かつ、全ての科目で40%以上の点数を獲得することが合格の条件となります。

 

また、1次試験には科目免除制度が適応されています。科目合格の基準は、60%以上の点数を取ることです。有効期限は、3年間であるため3年間の間に全ての科目に合格することができれば1次試験合格の資格が認められます。

 

2次試験

2次試験は、中小企業診断士に必要な応用能力を有しているかを判定する目的で行われます。筆記試験・口述試験の二つの試験があります。

 

筆記試験の試験科目は、「事例1組織・人事」「事例Ⅱマーケティング・流通」「事例Ⅲ生産・技術」「事例Ⅳ財務・会計」の4科目です。合格の条件は、1次試験と同様に全科目の合計得点が60%以上かつ、全ての科目で40%以上の点数を獲得することです。

 

口述試験は、筆記試験の科目からランダムに出題され、60%以上の評定を得ることが合格の条件となります。

 

実務補習・実務従事

2次試験合格後は、3年以内に実務補習を15日以上受講する、または実務従事を15日以上する必要があります。

 

実務補修は2通りあり、15日コースを一度受講するか、5日コースを3回受講するかを選ぶ事ができます。

 

6名程度のグループに分かれて行われ、企業の経営診断やアドバイスを行なっていきます。

 

以上の3つのステップ全てを通過した人が中小企業診断士を名乗ることができます。

学習開始から早くても2年以上かかる人が多く、難易度の高い試験であると言えます。

 

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<中小企業診断士に将来性はある?>

 

中小企業診断士についてのイメージがなんとなくつかめてきたでしょうか。

それでは最後に中小企業診断士の将来性を考察していきたいと思います。

 

1. AIによる代替可能性が低い

中小企業診断士の業務は、経営コンサルティングに重点を置いており、AIによる代替が難しいとされています。これは、経営コンサルティングには、数字に現れない要素を読み取る能力や高いコミュニケーション能力が必要であり、これらは現段階のAI技術では代替が困難なためです。特にブランド価値のような抽象的な要素の評価や、個々の経営者の性格や思考に合わせたアプローチが求められるため、人間特有の能力が重要になります。

 

2. コンサルティングの需要の伸び

経営コンサルティングの需要は、現代の経済環境とビジネスの動向により、今後もさらに伸びると予想されています。新規事業の立ち上げや、事業再生、戦略的支援など、経営に関わる多岐にわたる分野で中小企業診断士の専門知識が求められています。特に、市場の変化に迅速に対応するための革新的な戦略立案や、持続可能な成長を目指す企業にとって、専門的なアドバイスは不可欠です。
さらに、グローバル化の進展やIT化の急速な進行により、中小企業でも新たな課題に直面しています。これらの課題に対応するためには、国際市場の理解やデジタル技術の適用など、専門的な知識が必要です。中小企業診断士はこれらの新しい課題に対応するための戦略立案や実行支援を提供し、企業の成長と競争力の強化に貢献することが期待されています。

 

3. 専門性の高い仕事

中小企業診断士は、経営コンサルティング分野において日本唯一の国家資格という特性を持っています。この資格は、経営に関する幅広い知識を要求されるだけでなく、多角的で俯瞰的な視点からの分析能力も必要とされます。つまり、企業の現状分析、市場環境の評価、長期戦略の立案など、広範な経営上の課題に対処するための高度な専門知識が求められるのです。

このような高度な専門性は、新規参入者が容易にマスターできるものではありません。そのため、中小企業診断士は他の職業と比較して、仕事を奪われにくいという特性を持っています。専門知識を身につけ、経験を積むことで、他のコンサルタントとの差別化を図ることが可能です。

 

4. 独占業務の不在と資格の将来性

中小企業診断士は、独占業務を持たない資格です。つまり、この資格を持たない者でも経営コンサルティング業務を行うことが法的に禁止されていないということです。この点が他の専門資格と異なる重要な特徴であり、一見すると資格の価値が低く感じられるかもしれません。

しかし、将来性は独占業務の有無だけで判断されるべきではありません。資格が持つ特性やメリットをどのように活かし、自分のキャリアにどのように結びつけるかが重要です。例えば、中小企業診断士の資格は、経営に関する広範な知識を証明するものとして、キャリアアップや新たな職業機会を探る際の強みになり得ます。また、この資格を通じて得られるネットワークや学習の機会も、将来性を高める重要な要素です。

 

5. 伸びる分野と減少する分野

需要が伸びる分野として、特に注目されているのは事業継承・M&Aと情報化・IT化です。事業継承・M&Aは、経営者の高齢化や後継者不足などの社会的背景により、今後ますます重要性が増すと考えられています。中小企業診断士は、事業継承プロセスの専門的なアドバイスや、M&Aにおける企業評価、交渉支援などの分野で大きな役割を果たします。

一方で、情報化・IT化は、デジタルトランスフォーメーションが進む現代において重要な分野です。中小企業診断士は、中小企業がテクノロジーを活用してビジネスモデルを革新する過程で、技術選定のアドバイスやシステム導入の支援を行います。この分野では、ITとビジネスの双方に精通した知識が求められるため、診断士の専門性が非常に価値あるものとなります。

対照的に、商店街支援や財務管理の分野では、需要が減少する傾向にあります。特に商店街支援は、消費者の購買行動の変化やオンラインショッピングの台頭により、従来の支援方法が効果を発揮しづらくなっています。また、財務管理に関しては、ソフトウェアの進化により自動化が進んでいるため、伝統的な方法に依存する需要が減少しています。

 

6. ダブルライセンスの重要性

中小企業診断士の職務をより効果的に行うためには、他の資格との組み合わせ、いわゆるダブルライセンスが非常に有効です。例えば、社労士の資格を持つことによって、中小企業診断士としての人事労務に関するアドバイスがより具体的かつ専門的になります。また、税理士や公認会計士の資格を持つことで、財務・会計面での高度なアドバイスが可能になり、中小企業の経営者にとってより価値の高いサービスを提供できます。

このように、複数の資格を持つことで、中小企業診断士は自身の専門性を拡大し、より多角的なコンサルティングサービスを提供することができます。このアプローチは、競争が激しい市場において中小企業診断士が差別化を図り、より高い価値を提供するための重要な戦略です。

 

7. 未来予想

将来に向けて、中小企業診断士の需要は継続し、さらに成長すると予想されます。AIに代替されにくい専門性、深い経営や会社の構造に関する知識、そして高度なコミュニケーション能力がこれからのビジネス環境においてより重要になるためです。特に、経営戦略の策定、組織の問題解決、イノベーションの推進など、人間特有の洞察力と創造力を要する分野での需要が高まることが予想されます。

しかし、ビジネス環境の不安定さから、資格取得者の数が増加し、中小企業診断士間の競争が激しくなることも予想されます。このような環境下では、継続的な学習、専門分野の深化、他分野との連携などが、中小企業診断士として成功するための鍵となります。また、絶えず変化する市場のニーズに適応し、新しいサービスを開発する能力も重要になるでしょう。




 

中小企業診断士の将来性のまとめ>

 

まとめると、

中小企業診断士は中小企業の経営課題に対して診断や助言を行う専門家

資格取得までには、一次試験・二次試験の合格、その後の実務補習・実務従事が必要

他の職業と比べても将来性が高い職業であると言える

 

中小企業診断士の資格に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ挑戦してみてください!

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