<税理士の将来性>

 

「税理士は近いうちになくなる」というようなことを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

そのように言われるようになった要因として大きいのが、2014年にオックスフォード大学の准教授によって出された『雇用の未来』という論文です。

 

この論文では、20年後までには今の仕事の約50%は、AIによって代替され消滅する可能性が高いという予測を発表し大きな反響を呼びました。

 

そしてその中のコンピューターによって奪われる可能性の高い仕事として「簿記、会計、監査の事務員」が挙げられていたことから、税理士の仕事は近い将来完全になくなると言われるようになったということです。

 

さて、本当に税理士の仕事はAIによって完全に奪われてしまうのでしょうか。

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○AIの及ぼす影響

まずは、論文で言われていたようにAIによってなくなる可能性の高い業務とはどのようなものなのか確認していきます。

 

・比較的単純な仕分け作業や記帳代行業務

 

上記の業務は、AIの得意とする分野であり、また人がやることで起こりうるミスなどを防ぎ迅速に正確に作業を行うことができるためAIに置き換わる可能性が高いと言えます。

 

実際に近年ではこのような作業においてAIによる自動化を取り入れ始めている企業も多くなってきており、今後さらに増えていくことが予想されます。

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○本当に税理士という職業はなくなるのか

ここまで税理士業務のうちどのような業務がAIに代替されやすいのか確認してきました。

 

続いて、「IT先進国」としてそして税理士がないなくなった国として有名なエストニアの事例を参考にしながら、日本の税理士の未来を考えていきます。

 

・IT先進国エストニア

エストニアは、東欧バルト三国の一つで人口は約130万人と日本で言うと青森県の人口と同じくらいの小さな国です。

 

なぜそのような国がIT大国と言われるのかというと、「Skype」がエストニア発であることやIT企業が非常に多いことなどが挙げられますが、その中でも大きな理由であるのが行政手続きのデジタル化です。

 

エストニア国民は約98%が電子IDカードを所有しており、行政手続きの99%をオンライン上で完結できる唯一の国となっています。

 

行政手続きのデジタル化の流れの中で、2000年にe-Tax制度が導入され申告納税から会社設立に至るまでを個人がデジタル上で簡単に手続きできるようになりました。

 

これによってエストニアからは「税理士はいなくなった」と言われています。

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・日本の税理士の未来

以上のようなエストニアの事例を参考にするといずれ日本からも税理士がいなくなると考えられそうですが、実際には日本から税理士が完全にいなくなる可能性は低いと考えられます。

 

そのように考える理由は2点あります。

 

1点目は、厳密に言うとエストニアの税理士は完全にいなくなったとはいえないという点です。

 

デジタル化によって仕事がなくなったと言われていますが、実際はデジタル化仕切れない手続きや人でしかできない業務は残っており、大幅に業務内容は変化したものの残っているといえます。

 

2点目は、エストニアの制度を日本に適応するのは難しいという点です。

 

先ほど紹介した通り、エストニアの人口は130万人程度と日本と比べてかなり少ないことがわかります。

 

さらにエストニアではデジタル化と同時に税制の簡素化が行われました。

 

これによって税理士なしでの申告が可能になったこともあり、現状税制が複雑な日本でほとんど全てをデジタル化することは難しいと考えます。

 

以上の理由から、日本の税理士が完全になくなるということは考えにくいというのが結論になります。

 

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<税理士として活躍し続けるためには>

 

ここまで、日本では税理士が完全になくなる可能性は低いと考える理由を解説してきました。

 

しかし、日本ではデジタル化が全く進まず以前の制度がこのまま維持されるというわけではありません。

 

そのため、これからの時代で長く税理士として活躍し続けるためにはどうすればいいのか、2点を挙げて説明していきます。

 

①AIをうまく活用する

現在でも様々な企業で税務におけるAI化は導入されており、一部の業務がAIに代替されるということは避けられないでしょう。

 

しかし、そのように定型業務をAIが代替していくことをマイナス要素として捉えるのではなく、むしろプラスに捉えて共生していくことが求められます。

 

これまで定型業務に費やしていた時間を他の人にしかできない仕事に充てる事で、よりレベルアップした業務を行うことができるようになります。

 

そのためには、AIの特性を踏まえたうえで使えるところはうまく活用していくことが大切です。

 

②専門性を高める

定型業務をAIが代替するとなると、顧客の求める税理士にしかできない業務への期待は上がることが考えられます。

 

その期待に応えるためにも、顧客が自分に何を求めているのかを正確に把握し、専門的な知識を身に付け、能力を高めていくことが求められます。

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<まとめ>

 

 

結論としては、

 

AIによって日本の税理士が完全になくなることは考えにくいが、時代に合わせて変化し続けることが求められる!

 

ということになります。

 

税理士を目指そうとされている方は、「税理士はなくなってしまうのではないか」と不安になるのではなくて、是非「自分はどんな税理士になりたいか」をよく考えてみてください。