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公認会計士を目指そうか迷っているという方の中には公認会計士には将来性がないのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オックスフォード大学 イケル・A・オズボーン准教授が2014年に発表した論文『雇用の未来』は日本でも大きな話題になりました。
その中で、AIによってなくなる可能性の高い職業として「簿記、会計、監査の事務員」が挙げられていたことから、公認会計士という将来職業もなくなるのではないかと言われるようになりました。
本当に公認会計士の仕事はAIに代替されてしまうのでしょうか?
結論から言いますと、AIによって公認会計士の仕事が完全に奪われてしまう可能性は低いと考えます。
そう考える理由を詳しく解説していきます!
<AIが公認会計士の仕事を奪う?>
前述したように公認会計士の将来性を考えるうえで、深い関係にあるのがAIなどのテクノロジーの発展です。
たしかにAI技術の発展は現在の会計業界にも大きな影響を及ぼしており、さらに今後も影響を与え続けます。
しかし、『雇用の未来』以降一般的に言われるようになったように公認会計士としての職業がなくなる可能性は極めて低いと言えます。
そう考える理由は、公認会計士の仕事は、企業の提出する決算書に対して最終的に適正であるか不適切であるかを保証することであり、この責任をAIが負うことはできないためです。
ここでは、どのような業務がAIによって自動化される可能性が高いのか解説していきます。
○AIに代替される可能性が高い業務
・単純なルーティン作業
仕訳入力作業などの定型業務は人がやると時間がかかること、またAIが得意とする作業であることからAIによって代替される可能性が高い業務であると言えます。
このような比較的単純な定型業務に関しては、既に企業側でもAIによる自動化を進めている場合が多く、今後もさらに自動化が進み人がやる必要はなくなっていく可能性が高いと考えられます。
○AIに代替される可能性が低い業務
・顧客との関わりが必要となる業務
公認会計士の業務の中でも重要性が高いといえるのが、監査に必要となる資料を顧客に適切に提出させる業務です。この業務は、正確に監査をし、不正を見逃さないためには重要ですが、AIに自動化させることは不可能であると言えます。
・会計処理の選択などの最終的な判断
仕訳入力作業はAIによって代替される可能性が高い業務であるとしましたが、実際に決算書をつくり上げるためには様々な状況を適切に判断し、会計処理方法を選択する必要があります。このように定型業務から外れる臨機応変な対応が求められる業務は、AIに代替させることが難しいといえます。
以上の他にも会計士の行う仕事は様々ありますが、AIによって自動化されるものがある一方で、人が行うことに意味のある仕事も多く完全に代替されるようなことにはならないと考えます。
<これからの公認会計士に求められるスキル>
ここまで「AIによって公認会計士の仕事が完全に奪われる可能性は低い」ということについて説明してきました。
しかし、AIなどのテクノロジーの発展によって公認会計士として求められるスキルに変化がみられることも事実です。
これからの公認会計士として求められるスキルはどのようなものであるのか、特に求められていくと考えるスキルを2つ挙げて解説していきます。
○データ分析力
まず一つ目に挙げるのは、データ分析力です。
今後、公認会計士として活躍していくためには、テクノロジーの発展をAIによって仕事を奪われると考えるのではなく、それらをうまく活用していく必要があります。
AIにより以前は多くの労力と時間を奪われていた作業が自動化されることで、その分をより顧客にとって役立つ情報を提供するための時間に使うことができるようになります。
そして、AIにより膨大なデータをより簡単に得ることも可能になります。
そのため、得たデータを活用・分析し顧客の欲しい情報をいかに集められるかが重要となっていくことが考えられます。
○コンサルティング力
二つ目に挙げるのは、コンサルティング力です。
繰り返しになりますが、AIによって定型業務は自動化されていきます。そのような状況の中では、定型業務ではない人でしかできない業務の重要性が増していきます。
顧客との信頼関係の構築や、顧客が抱えるトラブルの相談に乗ること、さらにこれまでの経験で培ってきた直感などを頼りにしたコンサルティングのスキルの向上が求められていくことになると考えられます。
<まとめ>
ここまで、公認会計士の将来とAIの関係性について解説してきました。
まとめると、
AIによって公認会計士の仕事が完全に奪われる可能性は低いが、「データ分析力」「コンサルティング力」がより求められるようになる
ということになります。
ぜひ以上のことを意識してみてください!