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デザインをする上で必要な要素の一つである「色」に関する資格は、多く存在しています。
スタンダードな色関連の資格である「色彩検定」と「カラーコーディネーター検定試験」と「ADEC色彩士検定」、
今流行りの「パーソナルカラー」に関する資格である「色彩技能パーソナルカラー検定」と「パーソナルカラリスト検定」と「色彩活用パーソナルカラー検定」、
「福祉」関する資格である「色彩福祉®︎検定」と「色彩活用ライフケアカラー検定」、
などがあります。
その中で特に、色彩検定とカラーコーディネーター検定試験が世間的に知られており、受験者が多くいます。2021年度全シーズンでの受験者数は、色彩検定(1級・2級・3級・UC級)は59,367人、カラーコーディネーター検定試験(アドバンス・スタンダード)は6,332人と、級の多さの関係で色彩検定の方が多く感じてしまいますが、2020年度のカラーコーディネーター検定試験では、5,879人と、年々受験者数の勢いがあります。
その故、どちらの資格を受験しようか迷っている人が多いです。
今回の記事では、この2つの資格の違いについて解説し、どちらの資格があなたに向いているのかを紹介していきます。
色彩検定とカラーコーディネーター検定試験の概要
まずは色彩検定からご紹介
色彩検定はそもそもどんな検定なの?
色彩検定の始まりは、1990年に開催された第1回ファッションカラーコーディネーター検定試験という検定からです。この時は、一般的な主婦層の方が多く受験していましたが、日本の色彩文化の発展や生涯学習にも良いとされ、1995年に文部科学省が認定し、2006年に文部科学省が後援して、現在の名称である文部科学省後援色彩検定が誕生しました。
「色」を上手に使うには、持って生まれてのセンスではなく、色の特徴や配色技法などといった色の法則を使うことが重要になります。その法則を学ぶことより、あなたも色彩マスターを目指しませんか?
色彩検定の具体的な受験者数、受験者層は?
まず受験者数からご紹介します。
2021年度では、以下の通りになります。
1級 | 2級 | 3級 | UC級 | 合計 | |
志願者(人) | 2,302 | 18,886 | 33,278 | 4,901 | 59,367 |
合格率(%) | 52.7 | 77.9 | 76.8 | 89.7 | – |
色彩検定受験者(色彩検定HPより)
後ほどで詳細を説明させていただきますが、検定レベルは4つに分かれています。
右からUC級→3級→2級→1級とレベルが上がっていきます。特に3級と2級の受験者が多いのが特徴です。
考えられる理由は、3級の場合はベーシックな色彩知識関連の中で1番優しいレベルであるからと、全てマーク形式だからだと考えます。
2級の場合は、履歴書でアピールしやすいレベルだからと、マーク形式+記述形式(配色技法の名称)で回答できるものだからだと推測します。
1級は色彩検定の中で最難関であるから一番受験者が少ないのですが、
UC級は2018年の冬期にて開設されたものなので、他のレベルよりも認知はされていないからだと考えられます。ただし、合格率は1番高いです。
次にどの層が受験しているのかです。
下の図をご覧ください。
色彩検定受験者(色彩検定HPより)
この図は学生と社会人別に分けた円グラフです。
そして学生の中には、特に大学生・専門学生・高校生の受験者が多いです。考えられる要因は、受験や就活時に利用するためでしょう。
一方社会人の方では、流通・販売・小売・サービス業・IT・コンピューター・各種メーカー・ファッション・デザインといったように、クリエイティブ関連だけでなく、様々な日常的なデザインに関わる職業の受験者がいることがわかります。
色彩検定受験者(色彩検定HPより)
次にこちらの図ですが、左は合格後の活動分野、右は年代別の志願比率を示したものです。
この左の図からは、クリエイティブに囚われずにどの分野のデザインにも活かされることがわかります。
そして右の図では、10代20代の世代が7割くらい占めていることがわかり、受験や就活目的の方が多いと推測します。
色彩検定のレベルと問題形式は?
色彩検定のレベルと形式は以下のようになります。
UC級
一般社会人、公共、福祉、設計者など
色が見えるしくみ、ユニバーサルデザイン、色覚多様性、高齢者の見え方など。配色における注意点や改善方法を理解している。
3級
色をはじめて学ぶ人向け
光と色、色の分類と三属性、色彩心理、色彩調和、ファッション、インテリアなど。以上のような色彩に関する基本的な事柄を理解している。
2級
実務に応用したい方向け
照明、色名、表色系、配色技能、配色イメージ、ビジュアルデザイン、ファッション、プロダクト、インテリア、エクステリアなど。3級の内容に加え、以上のような基本的な事柄を理解し、技能を持っている。
1級
プロフェッショナル向け
色彩と文化、色彩調和論、色の知覚、ファッションビジネス、プロダクトデザイン、インテリアカラーコーディネーション、環境色彩、ユニバーサルデザインなど。2級と3級の内容に加え、以上のような事柄を十分に理解し、技能を持っている。
試験内容 | 試験時間 | 問題形式 | 合格ライン | |
1級 | ・色彩と文化 ・色彩調和論 ・光と色 ・色の表示 ・測色 ・色彩心理 ・色彩とビジネス ・ファッション ・景観色彩 |
1次:80分、2次:90分 | 1次:マークシート方式 2次:記述式(一部実技) |
満点の70%前後。問題の難易度により多少変動。 |
2級 | ・色のユニバーサルデザイン ・光と色 ・色の表示 ・色彩心理 ・色彩調和 ・配色イメージ ・ビジュアル ・ファッション ・インテリア ・景観色彩 ・慣用色名 |
70分 | マークシート方式(一部記述式) | 満点の70%前後。問題の難易度により多少変動。 |
3級 | ・色のはたらき ・光と色 ・色の表示 ・色彩心理 ・インテリア ・色彩調和 ・配色イメージ ・ファッション ・慣用色名 |
60分 | マークシート方式 | 満点の70%前後。問題の難易度により多少変動。 |
UC級 | ・色のユニバーサルデザイン ・色が見えるしくみ ・色の表し方 ・色覚のタイプによる色の見え方 ・高齢者の見え方 ・色のUDの進め方 |
60分 | マークシート方式(一部記述式) | 満点の70%前後。問題の難易度により多少変動。 |
色彩検定レベル説明(色彩検定HPより)
こちらの資格では、指定された会場に出向いて受験します。
1級以外のレベルは1回の試験で取得可能ですが、1級は2次試験まであります。
2次試験を受験できるのは、1次試験合格者と前回1級合格した方に限りますので注意を。
そして併願受験はできますが、1級と2級、2級と3級の組み合わせでしか受験はできませんのでご注意を。
色彩検定の勉強時間の目安は?
・色彩検定1級
1日2時間を目安にすると、2〜3ヶ月必要とされます。
・色彩検定2級
3級の知識が身についている場合は2ヶ月程度だと言われますが、
そうでない場合は3級が身につくのは1ヶ月、そして+2ヶ月の勉強時間が必要とされますので、3ヶ月程度だとされています。
・色彩検定3級
1ヶ月程度で身につくと言われます。
・色彩検定UC級
3週間〜1ヶ月程度で身につくと言われます。
次にカラーコーディネーター検定試験をご紹介
カラーコーディネーター検定試験はそもそもどんな検定なの?
東京商工会議所が主催している民間の検定試験です。東京商工会議所の初めての企画検定として1995年から開始され、2019年時点では57万人も受験しています。そのうち25万人が合格しています。そのため知名度が高く、就職、転職時に有利な資格です。色彩検定と同様、色の性質や与える影響などを知り、それを仕事や日常生活に活かすことを目的としています。
元々は上から1級・2級・3級という順にレベルが分かれていましたが、時代のニーズを考慮し、2020年6月からはスタンダードクラス(従来でいう3級レベルに相当)・アドバンスクラス(従来でいう1級・2級レベルに相当)で構成されました。
そのため過去問が少ないのがデメリットですが、以前の1級と比べ、アドバンスクラスの試験範囲が狭まっているので、取得しやすくなっています。
カラーコーディネーター検定試験
カラーコーディネーター検定試験の具体的な受験者数、受験者層は?
受験者数からご紹介します。
2021年度では、以下の通りになります。
シーズン・試験回 | 級 | 受験者数(人) | 実受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
第1シーズン | アドバンス | 514 | 494 | 324 | 65.60% |
第50回 | スタンダード | 2,289 | 2,181 | 1,832 | 84.00% |
第2シーズン | アドバンス | 843 | 764 | 471 | 61.60% |
第51回 | スタンダード | 2,686 | 2,547 | 2,112 | 82.90% |
合計 | アドバンス | 1,357 | 1,258 | 795 | 63.20% |
スタンダード | 4,975 | 4,728 | 3,944 | 83.40% |
カラーコーディネーター検定試験受験者(カラーコーディネーター検定試験HPより)
1級 | 2級 | 3級 | UC級 | 合計 | |
志願者(人) | 2,302 | 18,886 | 33,278 | 4,901 | 59,367 |
合格率(%) | 52.7 | 77.9 | 76.8 | 89.7 | – |
色彩検定受験者(色彩検定HPより)
先程の色彩検定受験者と合格率を比較し、色彩検定でいう3級と該当するスタンダードクラスでは、受験者は色彩検定3級33,278人、スタンダードクラス4,728人と少なくなりますが,
合格率から見ると、色彩検定3級は76.8%、スタンダードクラスは83.4%と高くなっています。
アドバンスクラスでは、色彩検定で言う1級と比較すると、受験者は色彩検定1級2,302人、アドバンスクラス1,258人とこちらも少なくなりますが,
合格率から見ると、色彩検定1級は52.7%、スタンダードクラスは63.20%と高い傾向です。
これらの考えられる要因としては、試験内容がリニューアルしてから範囲が狭まったために合格率が高くなったと推測します。
カラーコーディネーター検定試験のレベルと問題形式は?
カラーコーディネーター検定のレベルと形式は以下のようになります。
各級 | 各級の基準 | 出題範囲 | 合格基準 |
スタンダードクラス | 日常から見た色彩に関する基礎的な知識について理解している。 | スタンダードクラス公式テキストに該当する知識と、 それを理解した上での応用力を問います。 | 100点満点とし、70点以上をもって合格とします。 |
アドバンスクラス | スタンダードクラスの知識に加え、ビジネスにおける色彩の活用事例など幅広い知識を有している。 | アドバンスクラス公式テキストに該当する知識と、それを理解した上での応用力を問います。 | 100点満点とし、70点以上をもって合格とします。 |
カラーコーディネーター検定試験レベル説明(カラーコーディネーター検定試験HPより)
受験方式は2つあり、IBT(私物のPCで受験する方式)・CBT(テストセンターのPCで受験する方式)のどちらかの試験方式が選べます。
試験時間はどちらも90分です。
どちらのコースも多肢選択式で回答します。
そして、どちらのコースも年齢・学歴・性別・国籍問わず受験できますので、ご自分に合ったレベルに挑戦してみてください。また併願受験もできますので、どちらのレベルで受験しようかと迷っている方は併願すると良いでしょう。
カラーコーディネーター検定試験の勉強時間の目安は?
カラーコーディネーター検定試験の公式ホームページに実際の合格者の勉強期間と時間を調査した結果のグラフが載っていましたので、以下の通りになります。
・勉強した期間・時間はどのくらいですか?
アドバンスクラスの勉強期間
アドバンスクラスの勉強時間(1日あたり)
スタンダードクラスの勉強期間
スタンダードクラスの勉強時間(1日あたり)
カラーコーディネーター検定試験合格者勉強期間と時間(カラーコーディネーター検定試験HPより)
アドバンスクラス合格者の勉強期間は、上から1ヶ月未満、1〜2ヶ月未満、2〜3ヶ月未満の順に多いことがわかりました。
そして1日の勉強時間は、上から1〜2時間、30分〜1時間、30分未満の順に多いことがわかり、勉強期間は短いかわりに、1日の勉強時間が長かった合格者が多いことが判明しました。
次にスタンダードクラスの合格者の勉強期間は、上から1〜2ヶ月、1ヶ月未満、2〜3ヶ月の順に多いことがわかります。
そして1日あたりの勉強時間は、上から30分〜1時間、1〜2時間、30分未満の順に多いことがわかました。勉強期間はスタンダートの方が長い傾向にあるが、1日あたりの勉強時間はアドバンスの方が長い傾向です。
これはあくまでも一例ですが、この勉強時間を参考にしながら公式テキストでインプットとアウトプットして勉強してみてください。
色彩検定とカラーコーディネーター検定がどちらが向いている?
これまで、色彩検定とカラーコーディネーター検定試験の概要について述べてきましたが、ここからはどちらの資格があなたに向いているのかについて書いていきたいと思います。
わかりやすく解説するために、
世間一般的に認識している2つの検定の特徴を下に記します。
色彩検定:
・試験内容の幅が広い
(理由;日本の色彩文化の発展や生涯学習を目的としているから)
カラーコーディネーター検定試験:
・色彩検定と比べ専門的な内容
以上の通りになりますが、最初の概要に書いてあるように、色彩検定の始まりの趣旨は一般の人々にも色の知識を活かしてもらうこと、カラーコーディネーター検定試験はビジネスシーンで色彩知識を活かせるような制度を設けることですので、あながちこの認識は間違っていないと考えます。
ただし、色彩検定は受験者層で述べた通り、ファッション業界だけでなくインテリア業界やメーカー、建築・環境計画業界など様々な分野にも活かされますので、一般生活だけでなく幅広い分野への就職活動に活かされるでしょう。
カラーコーディネーター検定試験の方は、2020年6月から様々なビジネスシーンに特化した内容となっていますので、企業のマーケティングや商品開発、広告デザイナーなどへの就職活動として取得すると良いでしょう。
また、カラーコーディネーター検定試験のリニューアル前は、色彩検定よりも難易度が高く、
色彩検定3級と2級取得した後に、カラーコーディネーター検定試験3級、
色彩検定1級取得した後に、カラーコーディネーター検定試験2級と1級(3分野)
といったように受験する人が多かったようです。
しかし、色彩検定との問題のベクトルが違いますので、個人的には目指している分野に合わせてどちらを受験するかを判断した方が良いと考えます。
これら書いてきたことを踏まえ、
クリエイティブ関連の仕事を目指している方は色彩検定、
ビジネスシーンで活かしたいと考えている方はカラーコーディネーター検定試験
を受験すると良いでしょう。
もちろんどっちも受験しても損はないと思います。
どちらを受験しようか迷っている方は、まずはこれらの特徴を見て判断してみてください。
色彩検定とカラーコーディネーター検定試験の違いのまとめ
色彩検定とカラーコーディネーター検定試験の概要と、どちらの資格があなたに向いているのかついて書いてきました。
就職活動の参考になりましたら、大変嬉しいです。