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日商簿記検定の各級のレベルと出題範囲
まずは、日商簿記の各級がどのくらいのレベルなのか、それに合わせて出題範囲を確認していきます。
・3級
3級のレベルは、
・すべてのビジネスパーソンにとって必須の会計の基本知識を身につけている
・企業で日常的に行われる取引に基づいており、個人経営の商店や中小企業の経理実務の適切な処理を行うことのできるレベル
であると言われており、一般的な学習時間は、100時間程度となります。
3級の出題科目は、「商業簿記」のみとなっています。 出題範囲としては、「簿記の基本原理」「諸取引の処理」「決算」「株式会社会計」です。
・2級
2級のレベルは、
・財務諸表から、企業の経営状況を把握することができる
・大企業における様々な場面での経理実務の処理も適切に行うことができるレベル であると言われており、一般的な学習時間は、250〜350時間となります。
2級の出題科目は、「商業簿記」「工業簿記」となっています。 配点は、商業簿記60点、工業簿記40点の合計100点満点です。 出題範囲としては、商業簿記では、3級に加えて「有価証券」「無形固定資産」「本支店会計」などが追加されます。 工業簿記では、「材料」「労務費」「経費」など商業簿記ではなかった勘定科目が新たに出題されます。
・1級
1級のレベルは、
・合格すると税理士試験の受験資格を得ることができる
・企業会計の全てを理解し、経営管理や経営分析を行うことができるレベル であると言われおり、一般的な学習時間は500〜1000時間となります。
1級の出題科目は、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」となっています。 配点は、それぞれの科目25点ずつの100点満点です。
出題範囲としては、商業簿記・工業簿記では2級の出題範囲に加え応用力が必要になる問題が多く出題されます。 会計学では、標準的な問題が多くなっていますが、専門用語の暗記や理解が必要となります。 原価計算では、「意思決定会計」や「予算実績差異分析」など管理会計の知識が問われます。
公認会計士試験と日商簿記検定の比較
これまで日商簿記各級のレベルと出題範囲を確認してきました。それぞれの級のなんとなくの雰囲気が掴めたでしょうか。 続いて、日商簿記と公認会計士試験の比較をしていきます。
・出題科目 日商簿記の出題科目は先ほど確認した通りですので、ここでは会計士試験の出題科目を確認していきます。
短答式試験:財務会計論、管理会計論、監査論、企業法
論文式試験:会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、民法、統計学)
会計士試験では、1級の科目からさらに会計以外の科目が追加されていることがわかります。
そして二つに共通している「財務会計論」「管理会計論」に出題範囲としては、簿記1級の出題範囲はほとんど全て会計士試験の出題範囲に含まれていると言えます。 また、公認会計士試験の一般的な学習時間は、4000時間以上と言われています。
以上をまとめると、出題範囲・レベル共に 公認会計士試験>簿記1級 となります。
簿記1級を取得してから公認会計士の勉強を始めるべき?
それでは最後に、「簿記1級を取得してから公認会計士の勉強を始めるべきか」について考えていきます。 結論から言いますと、 簿記1級を取得してから公認会計士の勉強を始めるべき! だと考えます。 こう考える理由は、 会計士試験の勉強期間は、約1年半〜2年間と非常に長いためです。 税理士試験とは違い、公認会計士試験の受験条件に簿記1球の取得はないため必須ではありません。 しかし、2年後の公認会計士試験合格という壮大な目標のみで勉強し続けるのは容易ではありません。 そのため、3級、2級、1級とそれぞれの合格を短期目標として定めることで最終的なゴールまでのターゲットとするのがおすすめです。 また、その際には各級単なる合格を目指すのではなく、会計士試験合格への通過点として満点合格を目指していくとよいでしょう。
公認会計士試験の合格に日商簿記検定は必要のまとめ
公認会計士試験に簿記の取得は必要かというテーマで、二つの試験を比較してきました。 まとめると、 公認会計士試験の受験に日商簿記1級の取得は必須ではないが、短期的な目標とするために1級まで取得してから会計士試験の勉強を始めるのがおすすめ! 「1級までとるのは効率的でない」と考える方でも、会計の勉強に自分が合っているのかを確かめる意味で、最低でも3級を取得してから始めるのが良いのではないでしょうか。