臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会の認定を受けている心理専門職です。臨床心理学の知識や技術を用いてクライエントの心理的な問題の解決のサポートをします。教育分野や医療・保健分野、福祉分野、司法分野など様々な分野で活躍しています。

臨床心理士は5領域といわれる医療・教育・産業・福祉・司法という複雑な領域に関わって働くことのできる資格ですが同じような資格として公認心理士という資格もあります。

これら2つの資格の違いはどのようなものなのでしょうか。それでは、臨床心理士と公認心理士の違いについてご紹介していきます。

臨床心理士と公認心理士について

概要

【臨床心理士】
先ほども説明した通り臨床心理士は公益財団法人の「日本臨床心理士資格認定協会」が認定している民間資格です。新しい知識やスキルの獲得のために5年ごとの更新が義務付けられています。

【公認心理士】
公認心理士とは「公認心理師法」にもとづく2018年からつくられた国家資格です。

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出典:出版社HP

受験資格

【臨床心理士】
・指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を満たしている
・臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了している
・諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における2年以上の心理臨床経験がある
・医師免許取得者で、取得後2年以上の心理臨床経験がある

【公認心理士】
・4年制大学で指定の科目を履修しさらに大学院で指定の科目を履修している
・4年制大学で指定の科目を履修し卒業後特定の施設で2年以上の実務経験がある
・外国の大学において心理に関する科目を修め、さらに外国の大学院において心理に関する科目を修了している

このように臨床心理士は、修士課程の2年間のカリキュラムで養成されるのに対し公認心理師は基本的に大学で4年間、大学院修士課程で2年間というような最低6年の間心理学を学ぶようにカリキュラムが作られています。
また臨床心理士は公認心理士と比較すると少ない年数でカリキュラムを修了できますが5年ごとの更新が必要なのです。

業務内容

臨床心理士と公認心理士の業務内容にそこまで大きな違いはありません。というのも公認心理士は2018年に誕生したばかりの新しい資格であり公認心理士限定の…、臨床心理士限定の…というような独占業務がまだ無いのです。

しいていうならば臨床心理士は心理臨床実践に関する研究・調査とその発表、公認心理師は心の健康に関する情報の発信・提供がメインとなっています。また、臨床心理士は個人に対する心理療法が主ですが、公認心理士は他の職種との連携が大切になってきます。

どちらの資格を取得するべき?

臨床心理士と公認心理士の大きな違いは民間資格であるか国家資格であるかということです。繰り返しになりますが公認心理士は2018年に新たに誕生した資格であり今後どのようになっていくかはまだわかりません。しかし、公認心理士は国家資格でもあることから、信頼性も強く、需要が高まってくるのではないでしょうか。もしかすると公認心理士に限定された仕事も出てくるかもしれません。

また、公認心理師の養成に対応している4年制大学の心理学部・学科などに進学すればその後の判断で臨床心理士の資格を取得したいと変えることも可能であり、両方の資格を取ることも可能なのです。そのため迷っている方は公認心理士を一度目指す形で大学に進学すれば良いのではないでしょうか。

 

もちろん、臨床心理士と公認心理士、それぞれには独自の特徴と魅力があります。公認心理士は国家資格としての信頼性と権威を備えており、これからの社会でさらにその需要が高まることが予想されます。特に、公的機関や教育機関などでの就職を考えている方にとって、公認心理士の資格は大きな強みとなるでしょう。

一方、臨床心理士は民間資格ではありますが、その実績や専門性は高く評価されており、深い人間理解や豊富な経験を要する仕事に従事することができます。臨床現場での経験を積みたい、あるいは研究や教育に携わりたいという方には、臨床心理士が適しているかもしれません。

結局のところ、どちらの資格を追求するかは、個々のキャリアゴールや興味、価値観によって異なります。将来的にどのような分野で活躍したいか、どのような役割を果たしたいかを考慮に入れ、自分にとって最適な道を選択することが大切です。

 

 

臨床心理士と公認心理士の違いについてのまとめ

 

臨床心理士と公認心理士、これらの資格はどちらも心理学の専門家として重要な役割を果たしますが、その背景にある資格の性質や取得に至るプロセス、提供できるサービスの内容などには顕著な違いがあります。

公認心理士は国家資格であり、その取得は一定の教育基準と試験に合格することが必要ですが、それによって得られるのは社会的な信頼性と広がりつつある職域です。一方、臨床心理士は民間資格でありながら、その専門的知識と実践経験は非常に評価されており、特に個別の心理療法やケースワークに深く関わることが可能です。

どちらの資格も、それぞれの道を追求する者にとっては、その価値と意義は計り知れないものがあります。大切なのは、自分の内面と向き合い、どの道が自分の人生やキャリアにとって最も意味を持つかを見極めることです。そして、その道を進む決意を固めたら、必要な学習や経験を積み重ね、専門家としての資質を磨いていくことが重要です。

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出典:出版社HP